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シネマde憲法
「自主制作・上映映画見本市 #3」のご案内
 花崎哲さん(憲法を考える映画の会)

  自主制作によって作られた主にドキュメンタリー映画を、自主上映を行っている人たちに見てもらって、地域で、地方で上映の機会を作っていただこうと始めた「自主制作・上映映画見本市」、(今年4月に紹介、9月に紹介)に続き今回で3回目になります。
 今まで憲法を考える映画の会が上映して好評だった作品を中心に、そうした中で知り合った自主映画作家の方の協力を得て、「こういう映画も上映できるよ」「少し前の作品であっても『今の、私たちの問題を考える』映画として見直せるよ」と薦められる映画を集めています。

「自主制作・上映映画見本市 #3」
と き:2020年1月13日(月・祝・成人の日)(9:30—21:00 開場9:00)
ところ:文京区民センター3A会議室
   (地下鉄春日駅2分・後楽園駅5分・第1回、第2回と同じ会場です)

プログラム:
09:00      開場予定
09:30〜10:40 「陸軍前橋飛行場 私たちの村も戦場だった」69分
11:00〜12:30 「靖国・地霊・天皇」 90分
13:00〜15:00 「憲法を武器として 恵庭事件 知られざる50年目の真実」110分
15:00〜15:50  恵庭事件弁護団 内藤功弁護士のお話
15:50〜16:50 「9条を抱きしめて」50分
17:00〜17:40 「反戦を唱う女たち」33分
18:00〜19:10 「裁判所前の男」65分
19:30〜20:45 「選挙が生まれる 長野と群馬の挑戦」71分
21:00     閉場予定
参加費:1日券・1回券共通1000円均一 学生・500円

【作品解説】

以下それぞれの作品解説に、私なりのそれぞれの映画を選んだわけやそれぞれの映画を見たときの思い出を書き添えさせていただきます。

09:30〜10:40
「陸軍前橋飛行場 私たちの村も戦場だった」69分


2018年制作 69分 飯塚俊雄 監督 配給:アムール 027-231-4168 
太平洋戦争末期に群馬県の旧群馬町(現・高崎市)に急造された陸軍前橋飛行場に関する記録や証言をたどり、戦後70年以上がたち風化しつつある戦争体験を現代に伝えていく。
太平洋戦争のさなか、群馬県の中央部に作られた前橋飛行場だったが、利用されたのは敗戦までのわずか1年だった。
建設のため田畑が強制買収され、地域の人々が駆り出され、そして完成した飛行場から訓練された若者たちが戦場に飛び立っていった。
戦時中の村人の苦痛や忍耐生活を記録した「村日記」を今に伝える住谷佳禹さんをはじめ、当時を知る人々の証言を丹念に収録した。

 今年4月の「憲法映画祭2019」で上映した作品です。「私たちの村も戦場だった」という副題が示すように、あの時代を地方に生きた人々が身をもって体験したローカルな戦争の記録です。
 同時に「記憶を記録に」というこの映画の紹介の言葉のように、戦争という歴史から今の私たちが何を学ぶのか、そうしたことを繰り返さないためにも、記録を正確に残していくことの重要さを訴えています。そのことは今の私たちの政治に投げかけるのも強くあります。
「シネマDE憲法」の作品紹介

11:00〜12:30
「靖国・地霊・天皇」 90分


2014年制作 90分 大浦信行監督 配給:ハイクロスシネマトグラフィ 03-6459-2546
歴史認識やA級戦犯合祀、首相参拝などで常に政治的な問題にも発展する靖国神社について、異なる意見をもつ人々の意見を交えながら、地下に眠る246万余りの戦没者の霊の声に耳を傾けることで、思想やイデオロギーを超えた観点から靖国とは何かを考察するドキュメンタリー。
合祀撤廃、政教分離を訴えた「ノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟」でも弁護人を務める大口昭彦氏と、右派陣営の代理人弁護士として、歴史認識問題や靖国問題、政治思想をめぐる事件を数多く手がける徳永信一氏が、それぞれの「靖国への思い」を語る。

 今年の「あいちトリエンナーレ」で天皇の肖像を燃やした映像として攻撃の対象となった大浦信行監督の『遠近を抱えてPART2』。その映像がどのような映像なのかを見たいと思って、11月3日、『遠近を抱えてPART2』とこの映画の上映会を行いました。『遠近を抱えてPART2』の制作意図を理解するためにも、この『靖国・地霊・天皇』を一緒に見ていくことがよいと思ったからです。そして私はこの『靖国・地霊・天皇』を、戦争に行くことを余儀なくされた若者たちの反戦の思いの映画ととりました。上映会を拡げたい映画です。
「シネマDE憲法」の作品紹介

13:00〜15:00
「憲法を武器として 恵庭事件 知られざる50年目の真実」110分


2017年制作 110分 稲塚秀孝監督 配給:タキオンジャパン 090-3433-6644
恵庭事件は1962年、北海道恵庭町自衛隊島松演習場近くで酪農を営む野崎牧場の兄弟が自衛隊の通信線を切断したことに始まる。
それは長年、戦闘機や大砲の騒音被害を受け、牛の乳量が落ち、家庭の健康が損なわれ、約束が守られなかったことから、やむにやまれぬ実力行使だった。しかし、国(検察)は、自衛隊法121条「防衛の用に供するもの」違反事件で起訴、「自衛隊の公然化」を国民に突きつけるものとなった。映画は事件と裁判の経過がどのようなものであったか、再現によって描き、今、自衛隊と日本国憲法を問う。

 映画『憲法を武器として』は、私たちの上映会以来、稲塚秀孝監督が同じ会場の文京区民センターで毎月「東京連続上映会」として上映会を開いています。それは今回この会で30回目になります。
 恵庭事件の起きた過程、恵庭裁判が憲法判断を避けて無罪判決に至った裁判の経過を劇形式で再現するとともに、と当事者へのインタビューを交えて、巧みに構成し、この裁判が示した、あるいは示さなかった「自衛隊と日本国憲法」の問題を今の私たちに投げかけます。
「シネマDE憲法」の作品紹介

15:00〜15:50  
 恵庭事件弁護団 内藤功弁護士のお話

 映画の後のトークとして、裁判劇の中でも、またインタビューとしても劇中に登場する恵庭事件弁護団の内藤功弁護士にお話ししていただきます。まさに今、問題になっている改憲や自衛隊の問題が明らかになります。

15:50〜16:50
「9条を抱きしめて」50分


2013年制作 50分中川一郎監督 配給:平塚淳次郞 0797-72-7550
アレン・ネルソンさんは1947年にニューヨーク州のブルックリンで生まれ、貧困生活から逃れようと18歳で海兵隊に入隊。沖縄での訓練を経て、1966年19歳でベトナムの最前線に派遣された。
過酷な戦場を生き延びたネルソンさんは、戦争の恐ろしさを、そして憲法9条の大切さを、心をこめて私たちに語り続けた。戦争という殺戮に関わった一人として、戦争や暴力の恐ろしさを訴え、人間が平和に生きていくための道筋を、優しくも力強く語りかけています。

 憲法を考える映画の会では、2014年4月第11回目の映画会でこの映画を上映しています。アメリカ海兵隊でベトナム戦争を戦った兵士の体験から戦争の悲惨さ訴え、彼の日本国憲法第9条との出会いを描いたこの映画は、憲法を考える映画として新鮮でした。
 つい最近、私たちの「憲法を考える映画のリスト」を見た方から、「この映画の貸出料は本当に1000円なんですか?これなら私たちでも上映会ができそう」というお便りをいただきました。「とってもいい映画ですよ、是非上映会を開いて下さい」とお誘いしたのが、この映画をもう一度自分たちでも見直したいと思ったきっかけでした。

17:00〜17:40
「反戦を唱う女たち」33分


1988年制作 33分清水千恵子監督配給:0H企画 03-3309-6107
肩ひじはらずに、いまいるところから、語りつなごう!「平和のために訴える」「戦争への道を許さない女たちの連絡会」の渋谷駅頭・反戦マラソン演説会のドキュメント。
「現代の政治の混濁、この腐敗に対してノーと言い続ける勇気をここで新たに確認したいと思います」(澤地久枝)「私が恐ろしいと思うのは私の知らないうちに戦争が始まっていた、わからないうちに戦争は始まるんですね」(戸川昌子)「目や耳をふさがれて、戦争に総動員されていった、あの歴史の教訓を広く呼び起こし、この道を何としても押し返してゆくために力を合わせたいと思います」(加瀬さつき)

 2018年8月に上映会を行った「在日」(歴史編・人物編)シリーズのスタッフで、今も活発にこの映画の上映会を行っている清水千恵子さんの第1回監督作品です。
 1980年代後半、当時の日本社会党委員長の土井たか子さんはじめ、「女が社会を変えるとき」と、女性たちが活発な活動を行う潮流がありました。「戦争を許さない女たち」の渋谷駅頭での連続演説会を記録したこの映画もそうした中のものです。戦争に反対する市民の運動、その中での女性たちからの発言、今の市民の反戦運動にも新鮮に響くものを感じました。

18:00〜19:10
「裁判所前の男」65分


2015年制作 65分松原明監督配給:ビデオプレス 03-3530-8588
裁判所批判を続ける大髙正二さんのドキュメンタリー。2007年から2013年までの7年間を記録。
「裁判官の数を増やせ」など、ごくまっとうの訴えを裁判所前で連日行った大髙さんは、裁判所内にカメラ付き携帯を持ち込んだことを理由に強制退去させられ、その時に守衛を殴ったという理由で逮捕され、3年近く勾留されました。
国家権力が「もの言う人間」をひねりつぶそうとしたのです。秘蔵映像を通して、知られることのなかった裁判所の闇が浮かび上がります。

 実はこの映画『裁判所前の男』、私がこの「シネマ・DE・憲法」に映画の紹介というか、感想を書き始めたほとんど初期の頃の紹介作品です。2015年4月。
中野ゼロホールで行われた試写会でこの映画を見て、裁判所の横暴に抗議し孤軍奮闘する大高さんに文字通り密着したこの映画に、「こういう映画もあるんだ」とちょっとびっくりし、映画の果たす役割をあらためて感じました。司法について考える映画はなかなかなかったので、これもプログラムに入れられるかなと気になっていました。
 今回、「自主制作上映映画見本市」を一緒にやっているビデオプレスの松原明さんに、プログラムを相談したときに、「いい映画なんだが、あまり知られていない映画としては…」と言われてすぐこの映画のことを想い返しました。

19:30〜20:45
「選挙が生まれる 長野と群馬の挑戦」71分


2016年制作71分湯本雅典監督配給:湯本雅典 090-6039-6748 
2015年9月、集団的自衛権の行使容認を含む「安全保障関連法」が成立した。その後、全国で同法を廃止させるために、野党は共闘して国政選挙を闘おうという声が上がり始めた。熊本県では早々と2016年夏の参議院選挙区の野党候補一本化が実現した。しかしほかの選挙区ではなかなか候補者の一本化が進まず、時間だけが過ぎていった。2016年参議院選挙、長野・群馬の野党共闘の記録。2016年夏の参議院選挙の地方区一人区では、32選挙区すべてで野党統一候補が実現し、11選挙区で勝利した。結果的に憲法改正発議に必要な3分の2議席は「改憲派」に握られてしまったが、民主主義は確かにスタートした。

 今年6月に第51回憲法を考える映画の会上映した『沖縄から叫ぶ戦争の時代』の湯本雅典監督の2016年の作品です。学校の先生からドキュメンタリー映画を作るようになった湯本さんは、今、考えるべき問題について分かりやすく、見せてくれます。
 その湯本さんの作品に選挙を捉えたものがあることは前から知っていてとても気になっていました。この映画は2016年夏の野党共闘の動きをとらえたもの、続編に『選挙が生まれる2東京 私たちは歩き始めた』があり、湯本さんとしてはそちらの方が「今を考える」ならおすすめ、とのことでしたが、それはまた次の機会に。これからの選挙の中で、私たちはどう自分たちの「選挙」を作っていくことができるのか、繰り返し見ていき、活かして行く価値のある映画と思います。
 
 「自主制作上映映画見本市」はもともとランダムに作品を選んできましたが、こうして今回のプログラムを並べてみると、それぞれの作品が描いたことの歴史的な順番になっていることに気がつきました。そしてそこで描いていることは戦争に反対していく、そのためにどうしていったらよいかを私たちに考えさせるものになっています。
 是非みなさんに来てみていただき、あちこちでこれらの映画を上映し、多くの人が考える機会を作っていっていただければと思っています。

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