• HOME
  • 今週の一言
  • 浦部法穂の憲法雑記帳
  • 憲法関連論文・書籍情報
  • シネマde憲法
  • 憲法をめぐる動向
  • 事務局からのご案内
  • 研究所紹介
  • 賛助会員募集
  • プライバシーポリシー
シネマde憲法

「現役日藝生による映画祭 中国を知る」のご案内

 花崎哲さん(憲法を考える映画の会)



 毎年、12月に渋谷のユーロスペースで開かれる「現役日藝生による映画祭」。
 毎年、アップデートなテーマに沿って、古今東西、縦横無尽、劇映画からドキュメンタリーまで選び抜いたプログラム。企画と構成を現役学生がやっていることに感心すると共に、こんなにそれぞれのテーマに的確な映画を見つけ出して構成できること、うらやましい限りです。
 そのテーマもどちらかといえばタブーに近いものや、風当たりも強そうな問題意識の高いものに挑戦しています。「考える映画」作品を探して上映会にしようとしている私たちにとっては掘り出し物満載の刺激的な映画祭です。
 (このご案内の巻末に、これまでの年ごとの「現役日藝生による映画祭」のテーマと作品をわかる範囲で書き並べました。「問題意識を持った映画会」を企画しようとするときのプログラム選びに大いに役立ちます。)

そして、今年のテーマは、「中国を知る」

と き:12月12日(土)〜12月18日(金)
ところ:渋谷・ユーロスペース

10回目となる現役日藝生企画・運営の映画祭。 今年のテーマは『中国を知る』。
【作品一覧】
『上海-支那事変後方記録-』(亀井文夫/1938年/日本/77分)
『戦ふ兵隊』(亀井文夫/1939年/日本/66分)
『独立愚連隊』(岡本喜八/1959年/日本/108分)
『香港の夜』(千葉泰樹/1961年/日本/118分)
『未完の対局』(佐藤純彌、段吉順/1982年/日本・中国/133分)
『ラストエンペラー』(ベルナルド・ベルトルッチ/1987年/イタリア・英国・中国/163分)
『愛について、東京』(柳町光男/1992年/日本/113分)
『珈琲時光』(侯孝賢/2003年/日本/103分)
『蟻の兵隊』(池谷薫/2005年/日本/101分)
『天安門、恋人たち』(ロウ・イエ/2006年/中国・フランス/140分)
『イップ・マン 序章』(ウィルソン・イップ/2008年/香港・中国/108分)
『ジョン・ラーべ〜南京のシンドラー〜』(フロリアン・ガレンベルガー/2009年/ドイツ・フランス・中国/129分)
『湾生回家』(ホァン・ミンチェン/2015年/台湾/111分)
『選挙に出たい』(邢菲(ケイヒ)/2016年/中国・日本/78分)
『乱世備忘 僕らの雨傘運動』(陳梓桓/2016年/香港/128分)

主催:日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年「映画ビジネスⅣ」ゼミ、ユーロスペース

【開催趣旨】
 12月12日(土)~12月18日(金)の一週間、ユーロスペースにて学生企画の「映画祭『中国を知る』」を開催し、14番組15本を上映予定です。日藝生企画の映画祭は今年でちょうど10回目を迎えます。
 中国は現在、香港の民主派の逮捕で連日世界的な注目を集めています。ほかにも、日本を始めとする各国との領土問題、米国との覇権争いなど中国がニュースで取り上げられない日はありません。
 映画を学ぶ私たちも、この「近くて遠い大国」を、大学生という視点から知りたいと思いこの映画祭を企画しました。今年は新型コロナウイルスの影響を受け、オンラインでの企画会議を始め、感染症対策を徹底した上での試写会の実施など、これまで様々な工夫を行い、12月の映画祭の開催を目指しています。

 日藝映画祭は、企画立案から作品選定、上映交渉や会場運営まで、私たち学生が主体となって開催しています。今年で10回目となる映画祭のテーマは「中国を知る」。中国、台湾、香港と様々な切り口から「中国」の存在を明らかにしていきます。
 揺らぐ香港情勢の報道に衝撃を受けたことが企画の発端でありますが、国家安全維持法が施行されて以来、民主活動家の逮捕など、事態は悪化していく一方です。
 本祭では、2014年に起こった雨傘運動を追ったドキュメンタリー『乱世備忘 僕らの雨傘運動』を上映し、トークショーでは香港情勢に詳しいフリーライターの伯川星矢さんに、現在の香港情勢について語っていただきます。ほか、各界から著名人をお招きして、11作品のトークを予定しております。
 本祭は中国の国内情勢を扱った作品だけではなく、日中関係、特に日中戦争を描いた作品を多く選定し、切り込んだ内容の映画祭となっております。
 そのような学生ならではの試みに、中国人作家として初めて芥川賞を受賞された、作家・日本大学芸術学部教授 楊逸さん、ワイドショーなど各メディアでの発言が注目されている作家 乙武洋匡さん、昨年度の日藝映画祭に観客として足を運んでくださったクイズプレーヤー伊沢拓司さんより、激励のコメントをいただいております。
 映画祭で販売するパンフレットには、中国を中心にアジア圏で数多くの映画作品を手がけているプロデューサー井関惺さんと市山尚三さんに行ったインタビューが掲載されております。
映画製作の現場から見える中国の姿について深く語っていただき、中国の新たな面を知ることができました。

【各作品について】
 まず日中戦争を題材にした作品を何本か選んだ。
 注目は亀井文夫監督の記録映画2作品。
 検閲により公開禁止となった幻の名作である『戦ふ兵隊』(1939)とともに、戦意高揚を目的に製作された『上海 -支那事変後方記録-』(1938)を上映する。
 第二次世界大戦終結後、中国に残留し内戦に巻き込まれた日本兵を巡る“日本軍山西省残留問題”に焦点を当てた池谷薫監督の『蟻の兵隊』(2005)では、戦争の被害者である日本兵の加害者である一面が浮き彫りになる。
 日中合作映画である佐藤純彌、段吉順共同監督の『未完の対局』(1982)のほか、清朝最後の皇帝溥儀の生涯をイタリア人のベルナルド・ベルトルッチ監督が描いた『ラストエンペラー』(1987) 、岡本喜八監督『独立愚連隊』(1959)も『イップ・マン 序章』(2008)も日中戦争を描く。この4本は娯楽性も高い。ドイツの権利元と交渉した『ジョン・ラーベ~南京のシンドラー』(2009)も用意。
 さらに、中国人監督が日本で制作した作品として侯孝賢監督、一青窈、浅野忠信共演の『珈琲時光』(2003)や、新宿区議選挙に立候補した李小牧氏の選挙活動を追った『選挙に出たい』(2016)を上映。さらに柳町光男監督が早い時期に在日中国人を描く『愛について、東京』(1992)も加える。
 歴史的な視点に立てば不可欠だと考えたため、今回の「中国」にはあえて香港や台湾も含むことにした。
 千葉泰樹監督『香港の夜』(1961)は戦後の日本と香港の関係を見せる。
 日本統治時代の台湾を映し出したホアン・ミンチェン監督『湾生回家』(2015)は、戦後日本に引き上げた人々が再び台湾を訪れ当時を振り返るドキュメンタリー。
 『珈琲時光』も台湾人監督が台湾と日本の関係を描いている。日中関係に留まらず、香港の雨傘運動を描いた『乱世備忘 僕らの雨傘運動』(2016)など国内の運動を描いた作品も上映する。
 台湾・香港情勢を理解することで、私たちが中国という国をより身近な存在として捉える機会にしたい。映画に映る日中関係を単に知識として知るだけではなく、学生である私たちの視点から改めて考え直す。

【開催概要】
□会場/一般のお問い合わせ:ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 3F TEL:03-3461-0211)
□公式ホームページ
Twitter
Facebook
Instagram
--------------------------------
【プログラム】(★:上映後トーク)
12月12日(土)
10:30 未完の対局(133分)
    ★土川勉さん(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭ディレクター)
13:30 湾生回家(111分)★竹中信子さん(湾生出演者)
16:00 香港の夜(118分)★田島良一(日本大学芸術学部映画学科教授)
18:45 選挙に出たい(78分)★李小牧さん(主演、作家)
18:25 蟻の兵隊 ★池谷薫監督

12月13日(日)
10:00 ジョン・ラーベ~南京のシンドラー(129分)
12:40 上海-志那事変後方記録-/戦ふ兵隊(143分)
    ★阿部隆さん(日本ドキュメントフィルム代表・プロデューサー)
15:50 独立愚連隊(108分)★岡本みねこさん(映画監督、映画プロデューサー)

12月14日(月)
10:30 未完の対局(133分)
13:20 珈琲時光(103分)
15:30 湾生回家(111分)
18:00 乱世備忘 僕らの雨傘運動(128分)
    ★伯川星矢さん(フリーライター、通訳・翻訳者)

12月15日(火)
10:00 ジョン・ラーベ~南京のシンドラー~(129分)
12:50 愛について、東京(113分)
15:20 イップ・マン序章(108分)
17:50 天安門、恋人たち(140分)★荒井晴彦さん(脚本家、映画監督)

12月16日(水)
10:15 香港の夜(118分)
12:45 選挙に出たい(78分)
14:35 上海-志那事変後方記録-/戦ふ兵隊(143分)
17:40 ラストエンペラー(163分)前説 古賀太(日本大学芸術学部映画学科教授)

12月17日(木)
10:30 独立愚連隊(108分)
12:50 乱世備忘 僕らの雨傘運動(128分)
15:30 天安門、恋人たち(140分)
18:20 愛について、東京(113分)★柳町光男監督(予定)

12月18日(金)
10:30 ラストエンペラー(163分)
13:50 蟻の兵隊(101分)
16:05 イップ・マン序章(108分)
18:40 伽排時光(103分)

【作品紹介】
『上海-支那事変後方記録-』
(亀井文夫/1938年/日本/16mm/77分/配給:東宝映画/所蔵:日本ドキュメントフィルム)
『戦ふ兵隊』
(亀井文夫/1939年/日本/16mm/66分/配給:東宝映画/所蔵:日本ドキュメントフィルム)
 日中戦争の実状をありありと映し出す、亀井文夫による当時の記録映画二作品の併映。「支那事変後方記録」のサブタイトルを持つ『上海』は、盧溝橋事件や上海租界などの歴史的事象に基づき、いかにして日中戦争が起こったかを辿る。『上海』同様、軍部の後援で製作されたにも関わらず、検閲により公開禁止処分を受けた『戦ふ兵隊』は、日中戦争下の中国人や日本兵を等身大の視点で見つめる。戦意高揚を目的として作られた両作だが、亀井文夫の秘めたる思いが写実的なカメラと巧みな編集によって表出する。

『独立愚連隊』
(岡本喜八/1959年/日本/35mm/108分/配給:東宝)
 巨匠・岡本喜八の出世作であり、シリーズ化もされた戦争アクション映画の金字塔。舞台は戦争末期の中国・北支戦線。従軍記者と名乗る荒木(佐藤允)は、慰安婦と心中したとされる見習士官の死の真相を探るため、各隊の落ちこぼれが集まる警備隊“独立愚連隊”に潜入する。
事件の背後に潜む不正を突き止めた荒木だったが、そこには敵軍が迫っていた。西部劇のタッチを取り入れ、快活な娯楽活劇として描いた岡本の演出は、戦後日本の戦争映画に新風を吹き込んだ。三船敏郎、鶴田浩二(中国の馬賊役)ら名優の怪演も必見。

『香港の夜』
(千葉泰樹/1961年/日本/35mm/118分/配給:東宝)
 宝田明が主演、香港の真珠と称される尤敏がヒロインを務め、司葉子ら豪華キャストが脇を固める国境を越えた恋愛もの。宝田明演じる田中弘が、仕事で香港に行った時に出会ったのが呉麓紅(尤敏)。時代や過去に翻弄されながらも親睦を深めてゆく二人。もどかしい二人を見守る助演の司葉子の演技も光る。香港の夜の街並みや観光地も華やかで目を惹かれる。敗戦から16年たった日本は、どのように香港をとらえているだろうか。当時の香港も懐かしい『香港の星』『ホノルル-東京-香港』と続く、千葉泰樹監督による香港三部作の一作目。

『未完の対局』
(佐藤純彌、段吉順/1982年/日本・中国/35㎜→Blu-ray/133分/配給:ワコー)
 国交正常化10周年記念で製作された、戦後初の本格的日中合作映画。1924年、北京で碁の名人・况易山(孫道臨)に出会った日本の棋士・松波麟作(三國連太郎)は、彼の息子である阿明(沈冠初)の才能を見込んで、弟子として日本に連れ帰る。松波の元で修行を積み、注目の若手棋士となった阿明だが、日中戦争が始まり軍部から日本への帰化を要求される。日中両国に翻弄された棋士たちを描いた大作。モントリオール世界映画祭グランプリ、日本アカデミー賞優秀作品賞、中国映画金鶏賞特別賞など多くの賞を受賞。

『ラストエンペラー』
(ベルナルド・ベルトルッチ/1987年/イタリア・イギリス・中国/DCP /163分/配給:東北新社)
 清朝最後の皇帝溥儀の波乱に満ちた生涯を描いた歴史的大作。1950年、太平洋戦争の終結と満洲国の崩壊により、共産主義国家として誕生した中華人民共和国の都市、ハルピン。ソ連での拘留を解かれた中国人戦犯でごった返す駅の中に、ひとり列から離れ、自殺を試みる男の姿があった。薄れゆく意識の中で、日本と中国に翻弄された人生が脳裏に蘇る。監督・脚本のベルナルド・ベルトルッチと名手ヴィットリオ・ストラーロの卓越したカメラが格調高い作品世界を構築する。米アカデミー賞9部門受賞。

『愛について、東京』
(柳町光男/1992年/日本/35mm/113分/配給:パイオニアLDC、キネマ旬報社/所蔵:国立映画アーカイブ)
 80年代から90年代にかけて日本映画の先頭を走った柳町光男監督が、国際化が進む東京を舞台に、外国人や留学生の存在を正面から描いた作品。と場でアルバイトをしながら日本語学校に通う一方、いかさまパチンコで金を儲ける中国人留学生・方純(ウー・シャオトン)、日本生まれの中国人少女・アイリン(岡坂[現・黒沢]あすか)、中年のパチンコ店長・遠藤([現・藤岡])弘の妙な三角関係を描く。1992年ヴェネツィア国際映画祭ほか各国映画祭招待。1993年度キネマ旬報ベストテン第7位。

『珈琲時光』
(侯孝賢/2003年/日本/35mm/103分/配給:松竹)
 台湾ニューシネマから世界の巨匠となった侯孝賢監督が、小津安二郎生誕100周年を記念して日本で撮影した現代版『東京物語』。神保町の古本屋店主の肇(浅野忠信)は、フリーの物書きの陽子(一青窈)を密かに思う。一方、陽子は台湾にいる恋人との間で身籠り、周りの助言に耳を貸すことなくマイペースに生きる。そんな日々の中で陽子は身近にある大切なものに気付き始めていく。日本アカデミー賞新人俳優賞を一青窈が受賞。ヴェネツィア国際映画祭コンペほか出品、釜山国際映画祭Asian Filmmaker of the Year受賞。

『蟻の兵隊』
(池谷薫/2005年/日本/35mm/101分/配給:蓮ユニバース)
 戦争を被害と加害の両面から描き、“日本軍山西省残留問題”の真相に迫った大ヒットドキュメンタリー。今も体内に残る砲弾の破片。それは「戦後も戦った日本兵」という苦い記憶を奥村和一に突き付ける。かつて奥村が所属した部隊は、軍命により戦後も中国に残留し、中国の内戦を戦った。しかし日本政府は兵士たちが志願して勝手に戦争をつづけたと見なしこの事実を黙殺する。真相を求めて中国を再訪した奥村だが、訓練として命じられた殺人の記憶がよみがえる。香港国際映画祭人道に関する優秀映画賞受賞。

『天安門、恋人たち』
(ロウ・イエ/2006年/中国・フランス/35mm/140分/配給:ダゲレオ出版、イメージフォーラム・フィルム・シリーズ→アップリンク)
 カンヌ国際映画祭コンペ出品後、天安門事件を扱ったこととその過激な性描写から、ロウ・イエ監督が5年間の映画制作禁止をうけた衝撃作。1987年、学生たちの間で自由と民主化を求める声が高まる中、北京の大学で出会ったユー・ホンとチョウ・ウェイは深く愛し合う。しかし89年の天安門事件を境に、2人は離ればなれになってしまう。激動の20世紀後半の中国を生きる若者たちのリアルな姿を、恋愛を通して痛切に描く。監督自身も実際に天安門事件を体験。中国では現在も上映が禁止。

『イップ・マン 序章』
(ウィルソン・イップ/2008年/香港・中国/35mm/108分/配給:染野企業電影工作室)
 ブルース・リーの唯一の師匠として知られる詠春拳の達人、イップ・マンの激動の生涯を描いたシリーズの記念すべき第1作目。舞台は1930年代の中国広東省。佛山で最強と謳われるイップ・マンの元には挑戦者が絶えず訪れ、優れた実力と人格から尊敬を集めていた。ところが日中戦争の勃発により街が日本軍に占領され、平和な日常が一変。空手で数々の武術家を破る日本軍将校・三浦はイップ・マンの噂を聞きつけて……。主演は世界的アクションスターのドニー・イェン。第28回香港電影金像奨最優秀作品賞受賞。

『ジョン・ラーべ~南京のシンドラー~』
(フロリアン・ガレンベルガー/2009年/ドイツ・フランス・中国/35㎜→Blu-ray/129分/配給:南京・史実を守る映画祭実行委員会/Courtesy:Beta Film)
 内外で今も議論を呼ぶ南京事件を、ドイツ人監督が南京安全区国際委員長のドイツ人、ジョン・ラーベの視点から見つめ直す作品。1937年12月、日中戦争の最中、日本軍は南京へ侵攻し陥落させる。ラーベら国際委員会メンバーは人道的な方法で家をなくした中国人を救おうとするが、朝香宮(香川照之)率いる日本軍は彼らに対し厳しく迫る。ドイツ映画賞4部門、バイエルン映画賞2部門を受賞するも日本では現在上映権が終了。今回ドイツの権利元と交渉の末上映が実現した本映画祭必見の珠玉の一作。

『湾生回家』
(ホァン・ミンチェン/2015年/台湾/DCP/111分/配給:太秦)
 「湾生」と呼ばれる日本人の台湾への想いをつづったドキュメンタリー。日本統治下の台湾で生まれ育った日本人である「湾生」の人々は、故郷である台湾を訪れ、かつて住んでいた家や友人たちとの再会を果たす。敗戦によって強制送還された彼らが抱き続けた台湾への望郷の念と、かつての思い出を辿っていく姿を記録した湾生ひとりひとりの物語。日本ではあまり知られていない日本と台湾のつながりが描かれる。2015年、台湾で最も話題になったドキュメンタリー映画であり、日本では大阪アジアン映画祭2016観客賞受賞。

『選挙に出たい』
(邢菲(ケイヒ)/2016年/中国・日本/DCP/78分/配給:きろくびと)
 中国出身で、「歌舞伎町案内人」として有名な李小牧氏が、新宿区議会議員選挙で戦う姿を追ったドキュメンタリー。日本に帰化した中国人として、また歌舞伎町を愛する者として、独特な視点からのメッセージを道行く人々に訴えかける。浴びせかけられる罵倒や批判には一歩も引かず毅然と対応するが、政党の選挙ルールに翻弄され困惑。現状に疑問を抱いた彼はある大事なことを呼びかけ始める。制作当時日本在住の中国人女性監督・邢菲(ケイヒ)の初監督作品。中国出身の二人が選挙を通して見た日本の姿とは。

『乱世備忘 僕らの雨傘運動』
(陳梓桓/2016年/香港/Blu-ray/128分/配給:太秦)
 雨傘運動に参加し、青春を香港の未来へと捧げた若者たちの79日間の戦いを描く社会派群像劇ドキュメンタリー。2014年、香港は熱気に包まれた。民主的な行政長官選出を求め、多くの市民が立ち上がった。催涙弾、そして香港当局からの不当な弾圧から身を守る盾となった雨傘を手に、若者たちは希望を胸に戦う。警察とデモ隊が衝突する緊迫した最前線。親中派から浴びせられる暴言。香港の”今”を、圧倒的リアリティで描く。山形国際ドキュメンタリー映画祭小川伸介賞ほか受賞。現在も注目を集める香港を知るための一作。

ちなみにこれまでの年ごとの「現役日藝生による映画祭」のテーマと作品は、
 2019年テーマ 「スポーツの光と影」
『花形選手』『競泳選手ジャン・タリス』『あなた買います』『長距離ランナーの孤独』『おれについてこい!』『リトル・ファイター 少女たちの光と影』『勇者たちの休息』『セックス・チェック 第二の性』『スパルタ教育 くたばれ親父』『スパルタの海』『ピンポン』『オフサイド・ガールズ』『ひゃくはち』『オリ・マキの人生で最も幸せな日』『疑惑のチャンピオン』『ザ・ビッグハウス』『破天荒ボクサー』(http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000405)

 2018年テーマ 「朝鮮半島と私たち」
『戦後在日五〇年史[在日]歴史篇』『伽耶子のために』『キューポラのある街』『有りがたうさん(清水宏監督作品「京城」「ともだち」併映)』『沈黙−立ち上がる慰安』『絞死刑』『授業料(記録映像「銃後の朝鮮」「朝鮮の愛國日」併映)』『空と風と星の詩人〜尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯〜』『にあんちゃん』『GO』『血と骨』『KT』『パッチギ!』『かぞくのくに』(http://www.jicl.jp/cinema/backnumber/20181205.html)

 2017年テーマ 「映画と天皇」
『戦ふ兵隊』『日本の悲劇』『日本敗れず』『孤獨の人』『明治天皇と日露大戦争』『拝啓天皇陛下様』『日本春歌考』『日本のいちばん長い日』『軍旗はためく下に』『ゆきゆきて、神軍』『新しい神様』『太陽』『天皇と軍隊』『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』『インペリアル 戦争のつくり方』(http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000224)

 2016年テーマ 「信じる人を見る宗教映画祭」
『裁かるゝジャンヌ』『天草四郎時貞』『冬の光』『ノスタルジア』『奇跡の海』『ある朝スウプは』『カナリア』『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』『ジーザス・キャンプ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~』『シークレット・サンシャイン』『神々と男たち』『セデック・バレ』『神は死んだのか』『禁じられた歌声』『水の声を聞く』(http://eigapress.net/?eid=264)

 2015年テーマ 「ニッポンマイノリティ」
『リュミエール映画 日本篇』『チセ・ア・カラ われらいえをつくる』『蜂の巣の子供たち』『コタンの口笛』『神々の深き欲望』『橋のない川 第一部』『地の群れ』『苦海浄土』『あいラブ優ちゃん』『砂の器』『異邦人の河』『泥の河』『二十才の微熱』『A』『ピュ~ぴる』『戦場ぬ止み』(http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000057)

 2014年テーマ 「ワーカーズ2014」
『赤線地帯』『その場所に女ありて』『故郷』『会社物語 MEMORIES OF YOU』『浮き雲』『この自由な世界で』『四川のうた』『川の底からこんにちは』『ある機関助士』『ドキュメント路上』『女工哀歌』『遭難フリーター』『サウダーヂ』『ある精肉店のはなし』『夢は牛のお医者さん』(http://webneo.org/archives/27748)

2012年テーマ 「映画祭1968」
『日大闘争』『続日大闘争』『圧殺の森 --高崎経済大学闘争の記録--』『緋牡丹博徒』『東風』『絞死刑』『光の雨』『死者よ来たりて我が退路を断て』『69 sixty nine』『マイ・バック・ページ』『ドリーマーズ』『パルチザン前史』『録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(http://www.outsideintokyo.jp/j/news/eigasai1968.html)


バックナンバー
バックナンバー

〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-5
TEL:03-5489-2153 Mail:info@jicl.jp
Copyright© Japan Institute of Constitutional Law. All rights reserved.
プライバシーポリシー