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シネマde憲法

第10回死刑映画週間─「差別と分断の中の死刑制度」のご案内

 花崎哲さん(憲法を考える映画の会)



  2月13日から19日まで渋谷で行われる「死刑映画週間」上映会は、今年で10回目を迎えます。
 ドキュメンタリー、劇映画などの別にこだわらず、毎年、それぞれのテーマで選び抜かれたプログラムは、「死刑」、あるいは「司法」「裁判」について、あるいはそれらに関わってくる政治、社会、家族などに至る人と人との関係までを深く考えるきっかけを与えてくれます。
 それだけでなく、ひとつのテーマをめぐって、さまざまな立場、側面から、さまざまな表現の形で描いていくことを通して、プログラムがつくられていることに、いつも感心しています。
 ともすれば、あまり知らないままで公開が終わってしまう映画も含めて、こうしたいろいろ、一人ひとりが「考えることのできる名画」を、1回だけではなく、いつでもみんなで見て考えることができるものにしていけないかと、つい思ってしまいます。

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第10回死刑映画週間-「差別と分断」のなかの死刑制度
と き:2021年2月13日(土)〜2月19日(金)
ところ:渋谷ユーロスペース
   東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 3F(渋谷・文化村前交差点左折)
   アクセス
主 催:死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム 90 ユーロスペース

 コロナ以前にも、「差別と分断」が世界を切り裂いていた。
「外国人」「よそ者」「弱者」を強く排斥することで、国内の選挙民の支持を得る政治家が、あちこちで生まれていた。
 日本も例外ではない。
 コロナはこの傾向に拍車をかけつつある。
 姿を見せない「敵」=ウイルスに怯える人びとの心は、いままで以上に、この種の排外的煽動に乗りやすい。
 死刑も、国家が放つ〈強い〉言葉の典型だろう。
 今年は、奇しくも、7本の作品が、ここ数年に制作されたものだ。
 死刑制度は、いま、ここで、私たちが直面している、逃れることのできない社会問題なのだ。

■上映作品【(監督、制作年)*トーク(1回限り)】
『処刑の丘』(ラリーサ・シェピチコ、1976)
『8番目の男』(ホン・スンワン、2019)*トーク:李泳釆
『菊とギロチン』(瀬々敬久、2018)*トーク:太田昌国
『ウォーデン 消えた死刑囚』(ニマ・ジャウィディ、2019)*トーク:村山木乃実
『粛清裁判』(セルゲイ・ロズニツァ、2018)*トーク:池田嘉郎
『コリーニ事件』(マルコ・クロイツパイントナー、2019)*トーク:木村草太
『プリズン・サークル』(坂上香、2019)*トーク:坂上香
『アメリカン・プリズナー』(ティモシー・ウッドワード・Jr.2017)*トーク:柳下毅一郎

■入場料金:一般1500円/大学・専門学校生1300円/シニア1100円/会員1100円/高校生800円
※ただし「ウォーテン 消えた死刑囚」は当日券一般1800円/大学生・専門学校生1500円(前売券はご利用いただけます)
前売券:5回券4500円/3回券2800円/1回券1000円
※ユーロスペースHPでは3日前から各回開始1時間前まで座席指定券が購入できます(各種クレジットカードのみ、詳しくはユーロスべ一ス劇場HPを確認ください)
※前売券は3日前より劇場窓口にて座席指定券とお引き換えできます。オンラインでのこ利用はできません。
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上映スケジュール(各回入れ替え制)
2月13日(土)
 11:00 『粛清裁判』
 13:30 『コリーニ事件』
 上映終了後トーク:木村草太(憲法学者)
 16:30 『8番目の男』
 19:00 『処刑の丘』
2月14日(日)
 10:30 『菊とギロチン』
 14:00 『プリズン・サークル』
 上映終了後トーク:坂上香(映画監督)
 17:15 『ウォーデン 消えた死刑囚』
 19:15 『アメリカン・プリズナー』
2月15日(月)
 11:00 『プリズン・サークル』
 14:00 『処刑の丘』
 16:30 『コリーニ事件』
 19:00 『8番目の男』
 上映終了後トーク:李泳采(日韓・日朝関係史学者)
2月16日(火)
 11:00 『アメリカン・プリズナー』
 13:30 『8番目の男』
 16:00 『プリズン・サークル』
 19:00 『粛清裁判』
 上映終了後トーク:池田嘉郎(近現代ロシア史学者)
2月17日(水)
 11:00 『処刑の丘』
 13:30 『コリーニ事件』
 16:00 『菊とギロチン』
 19:40 『ウォーデン 消えた死刑囚』
 上映終了後トーク:村山木乃実(現代イラン文学者)
2月18日(木)
 11:00 『8番目の男』
 13:30 『プリズン・サークル』
 16:30 『粛清裁判』
 19:00 『アメリカン・プリズナー』
 上映終了後トーク:柳下毅一郎(映画評論家)
2月19日(金)
 11:00 『コリーニ事件』
 13:30 『ウォーデン 消えた死刑囚』
 16:00 『処刑の丘』
 18:30 『菊とギロチン』
 上映終了後トーク:太田昌国(評論家)
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上映作品紹介
『粛清裁判』
 2月13日(土)11:00 2月16日(火)19:00 2月18日(木)16:30
監督=セルゲイ・ロズニツァ
2018年制作/オランダ、ロシア映画/123分
【物語】ロシア革命から13年後の1930年、モスクワ。
 8名の大学教授や技術者が西側諸国と結託しクーデターを企てた容疑で裁判にかけられる。
 産業党事件の名で知られる、独裁体制を確立しつつあったスターリンによる見せしめ裁判である。労働者主体の革命を企図するスターリンは、帝政時代から特権的な位置にい続ける技師を餌食にして、国内の引き締めを狙ったのだ。公開裁判だったので、記録映像か残っていた。
 そのアーカイブ・フィルムは2017年に発見され、ロズニツァがこれを再構成した。
 法廷は被告らへの極刑を待ち望む傍聴人で毎回あふれている。
 全国各地では、「反革命者への死刑」を求める巨万のデモ(主要都市で数百万人が参加したと言われる)が行われる。民衆が独裁権力の嘘を見抜けないまま、これを後押しするとき、そこにどんな社会が現れるかを指し示す。

『コリーニ事件』
 2月13日(土)13:30 2月15日(月)16:30 2月17日(水)13:30 2月19日(全)11:00
監督=マルコ・クロイツパイントナー
2019年制作/ドイツ映画/123分
原作=フェルディナント・フォン・シーラッハ「コリーニ事件」(創元推理文庫刊)
出演=エリアス・ムバレク、アレクサンドラ・マリア・ララ、
   ハイナー・ラウターバッハ、フランコ・ネロ
【物語】経済界の大ものが惨殺された。30年以上ドイツでまじめに働いてきたイタリア人ファブリコ・コリーニが、なぜ殺人事件を犯したのか。新米の弁護士ライネンは、この事件の国選弁護人に任命される。
 被害者はライネンの少年時代からの恩人だった。被告人コリーニは事件の動機については目を閉ざしたまま何も語ろうとしない。ライネンは弁護に窮するが、事件を調べていくなかで、事件はドイツ史上最大の司法スキャンダルへと発展していく。
 やがてドイツ国民が最も知りたくなかった真実に向き合うことになる。

『8番目の男』
 2月13日(土)16:30 2月15日(月)19:00 2月16日(火)13:30 2月18日(木)11:00
監督=ホン・スンワン
2019年制作/韓国映画/114分
出演=ムン・ソリ、パク・ヒョンシク、ペク・スジャン、キム・ミギョン、
   ユン・ギョンホ、ソ・ジョンヨン、チョ・ハンチョル、キム・ホンパ、
   チョ・スハン
【物語】2008年韓国に国民参与裁判が導入された。その初めての実際の裁判に基づいて描かれた作品。年齢も職業もまちまちのふつうの人々8人が陪審員として選ばれる。
 事件は証拠・証言・自白もすべてそろった明白な殺人事件で、量刑を決めるだけのはずだった。ところが被告人がいきなり容疑を否認したため、陪審員たちは急きょ有罪か無罪かの決断を迫られることとなる。
 裁判長が迅速に裁判を進めようとするが、8番陪審員ナムの突発的な行動などにより、裁判は思わぬ方向に進んでいくことになってしまう。

『処刑の丘』
 2月13日(土)19:00 2月15日(月)14:00 2月17日(水)11:00 2月19日(金)16:00
監督=ラリーサ・シェピチコ
1976年制作/ソ連映画/35ミリ・フイルム/110分
出演=ボリス・プロートニコフ、ウラジミール・ゴスチューヒン、
   アナトリー・ソロニーツィン
【物語】1942年の冬、ナチス・ドイツに占領されたベラルーシ。パルチザンの二人の兵士リューバクとソトニコフは食料の調達を命じられる。しかしドイツ軍に発見され捕獲される。
 ドイツ軍への協力者ポルトノフは元教師だが、情け容赦ない尋問をする。情報を知らせれば命を助けてやる、と交換条件が出される。捕虜となったリューバクとソトニコフは違った行動をすることとなる。
 女性監督ラリーサ・シェピチコが、戦場を舞台に対照的な二人の兵士の内面を鋭く描いた本作品は、1977年のベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。

『菊とギロチン』
 2月14日(日)10:30 2月17日(水)16:00 2月19日(金)18:30
監督=瀬々敬久
2018年制作/日本映画/189分
脚本=瀬々敬久+相澤虎之助
撮影=鍋島淳裕
音楽=安川午朗
出演=東出昌大、寛一郎、木竜麻生、韓英恵、井浦新、川瀬陽太、大森立嗣
【物語】1920年代前半、関東大震災直後の日本。
 日清戦争以降、戦争に次ぐ戦争を経験してきた日本は急速に不寛容な社会へ向かっていた。
 アナキストグループ「ギロチン社」の青年たちは、官憲にアナキスト思想家・大杉栄が虐殺されたことに怒り、復讐を画策していた。そこへ、当時全国各地を巡回興行していた女相撲の一行がやってきた。社会的に孤立したアナキスト青年たち、女だという理由で幾重もの困難を抱えて女相撲に行き着いた女たち――次第に心を通わせてゆく両者の間には、さまざまな物語が繰り広げられてゆく。史実にフィクションを交えて展開される、アナーキーな青春群像劇。

『プリズン・サークル』
 2月14日(日)14:00 2月15日(月)11:00 2月16日(火)16:00 2月18日(木)13:30
監督・制作・編集=坂上香
2019年制作/日本映画/136分
撮影=南幸男
録音=森英司
アニメーション監督=若見ありさ
【物語】日本の刑務所内に入り撮影を敢行したドキュメンタリー作品。
 日本初となる長期(2年間)にわたる撮影は、取材許可が下りるまでに6年間を要した。
 撮影したのは「島根あさひ社会復帰促進センター」で、官民協働の新しい刑務所。
 警備や職業訓練などを民間が担い、ドアの施錠や食事の搬送は自動化されICタグとCCTVカメラが受刑者を監視する。
 しかし、その真の新しさは受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促すプログラムを日本で唯一導入している点にある。
 カメラは、窃盗や詐欺、強盗傷人、傷害致死などで服役する若者たちが新たな生き方を模索する姿を追いかけていく。

『ウォーデン 消えた死刑囚』
 2月14日(日)17:15 2月17日(水)19:40 2月19日(金)13:30
監督・脚本=ニマ・ジャウィディ
2019年制作/イラン映画/90分
出演=ナヴィッド・モハマドザデー、パリナーズ・イサドヤール
【物語】1966年イスラム革命前のイラン南部にある刑務所が、新空港建設のために立ち退くこととなる。所長のヤヘド少佐は、囚人を新しい刑務所に移送する任務を負うことになる。無事任務を果たせば大きな出世を約束されていて、それは少佐にとっては難しいことではないと思われた。
 ところが、一人の死刑囚が行方不明との報告が届く。所外への脱走は決してありえないと考えた少佐は、所内の敵底した捜索を決意する。事情を聴くために死刑囚を担当していたソーシャル・ワーカーを呼び寄せる。美しく聡明な彼女に少佐は以前から惹かれていたのだが…。
 1980年生れの監督ニマ・ジャウィディの長編2作目。

『アメリカン・プリズナー』
 2月14日(日)19:15
 2月16日(火)11:00
 2月18日(木)19:00
監督=ティモシー・ウッドワード・Jr.
2017年制作/アメリカ映画/107分
出演=デニーズ・リチャーズ、カイウィ・ライマン、ブルース・ダーン
【物語】犯罪心理学者アマンダは、選挙が近いテキサス州知事の依頼で、教十時間後に刑に処せられる死刑囚ジャクソンと直接会うこととなる。
 ジャクソンの死刑執行をするべきかどうかを判断するためだった。刑務所でアマンダはジャクソンから彼の過去を聴き取っていく。彼は幼いころ、親戚の男から性的虐待を受けていた。
17歳の時、その男に暴力を振るって逃げ出す。そして、出会ったマーティンと泥棒稼業に励むようになっていく。
 警官の夫が殉職した過去を持つアマンダは死刑に肯定的であったが、シャクソンのすさまじい生育歴を聴く中で微妙に変化していくのだが…。

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