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偏って誤りの多い教科書を採択させない新聞意見広告に賛同を

2011年3月7日


小俣三郎(「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク・事務局)


■「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の問題点

 1997年に設立された「新しい歴史教科書をつくる会」は、先のアジア・太平洋戦争の反省を元に築かれた戦後の歴史教育を「自虐史観」と否定し、子どもたちに日本人としての自信と誇りを持たせるためと称して、先の戦争を「自存自衛」と肯定し美化する教科書づくりを進めています。

 「つくる会」の歴史教科書(扶桑社刊)は、歴史学の成果を無視した特異な内容で、歴史事実に誤りが多く、また、日本の植民地支配や侵略戦争を正当化・美化し、日本の戦争の加害や被害をほとんど書いていません。戦争肯定など歪曲した歴史を子どもたちに刷り込むことによって、子どもたちを「戦争をする国」の忠実な国民に育てることをねらっているとしか言いようがありません。また、公民教科書(扶桑社刊)は、日本国憲法を「世界最古の憲法」と敵視し、憲法改悪を主張したり、子どもの権利や両性の平等を敵視したりするものとなっています。こうした内容のため、扶桑社自身が「各地の教育委員会の評価が低く、右寄り過ぎる」として、「つくる会」との教科書作りをやめた程です。

 扶桑社版教科書は、内容上に重大な問題があるだけではありません。教育的な面からみても、子どもの学習に支障きたす、ふさわしくないものです。私たちは、扶桑社版教科書に多くの間違いがあることを指摘してきましたが、扶桑社はそれらをまったく訂正しておりません。2008 年度の教科書検定において、文部科学省は扶桑社版歴史教科書と全く同じ記述をした自由社版歴史教科書に対して、少なくとも8 か所の誤りを指摘し、修正させています。つまり、扶桑社版教科書には、文科省が2004 年度の検定において見落としたと思われるこれらの誤りがそのまま記述されたままになっているのです。

 加えて、「つくる会」は06 年に分裂し、扶桑社版教科書の著作権をめぐって裁判で争うなどの醜い抗争をつづけています。このように、子どもや教育そっちのけで争いを続け、誤った記述を放置する無責任な団体が編集した教科書を使い続けることは、子どもたちの教育を考えても重大な問題です。

■教育委員による採択の問題点

 2001年にこの教科書が検定を通過した初めての採択においてこの教科書を採択したのは、東京都立と愛媛県立の養護学校および数校の私立中学校だけで、全国での採択率は歴史教科書が0.047%、公民教科書が0.055%という極めて低いものでした。養護学校で学ぶ生徒たちは、様々なハンディをかかえながら勉強しています。この子どもたちに中学生にとって負担の多い難解な教科書で学ぶことを強要する採択をしたこと、また、東京に新たに開校された中高一貫校(設立趣旨も教育目標も特色も違う)10校全部に「つくる会」の歴史と公民の教科書を採択したことは、教育的な観点からの判断ではなく、「つくる会」を支援するというきわめて政治的な立場だけを優先させたものだと断ぜざるを得ません。これは、教育と民主主義に対する挑戦であり、教育行政に当たるものが、教育を政治的目的のために自ら破壊する行為です。

 なぜこのような異常な採択が行われているのかといえば、「つくる会」の熱烈な支持者である石原都知事をはじめとする各地の首長の影響下にある教育委員が、各学校の希望を聞くことなく専断的に採択しているからです。

 そもそも各学校は、その地域の子どもの実情を踏まえて教育目標を設定し、それに基づいて教育課程を編成し、最も適した教科書・教材の選択がなされるべきです。したがって、そこで使用される教科書は、教育委員会による採択ではなく、学校採択にすべきなのです。このことは1966年のILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」においても認められ、日本政府も1997年以降何度となく閣議決定していることです。

 また、教科書の採択は教科教育の専門的領域に属することですから、必ずしも教科教育の専門家ではない場合が多い教育委員が、全教科にわたるかなり多数の教科書をすべて比較検討して適切な教科書を選定するのは内容的にも時間的にも無理があるのです。

■新聞に意見広告を載せるために賛同金を募集しています

 今年は、新学習指導要領に基づく新しい教科書として「つくる会」と、そこから離れた「日本教育再生機構」=「教科書改善の会」が作る歴史、公民の教科書がそれぞれ自由社、育鵬社から出版され、採択の対象になります。

 「つくる会」や「教科書改善の会」を支持するグループは、「教科書採択基準を新教基法、新学習指導要領に沿った内容にせよ」という請願を各地の議会に出すなど、首長や議員を通して教育委員を動かし、現場教員の意向を無視して採択させようと、一大運動を展開しています。

 こういう教科書が子どもたちに渡らないよう、広く世論に訴えるため、新聞に意見広告を出すことにしました。多数の方々のご賛同をお願いします。また、お知り合いの方にも広げてくださるようお願いいたします。賛同金募集のチラシをいろいろな機会に配布していただける場合は、必要枚数を連絡先の「子どもと教科書全国ネット21」までご連絡ください。お願いします。

==賛同金募集要項==

掲載紙:全国紙の首都圏版  
賛同金の目標:1000万円
個人:1口1000円  団体:1口3000円 (どちらも複数口歓迎)
払い込み方法:賛同金募集のチラシを下記連絡先に請求し、チラシ下部の「払込取扱票」で払い込んでください。ご自身で振り込んでくださる場合はゆうちょ銀行の「00110-8-28666」"教科書「意見広告」ネット"宛にお願いします。氏名公表可の場合はその旨お書きください。
募集期間:5月末まで  意見広告掲載:6月
(賛同者名を掲載するかなど広告文案は賛同金の規模によって変わります。)
連絡先:子どもと教科書全国ネット21
 Tel:03-3265-7606 Fax:03-3239-8590
 Email:komae_omata@ybb.ne.jp

◆小俣三郎(おまたさぶろう)さんのプロフィール

元公立高等学校社会科教員。「教科書問題を考える小石川高校有志の会」世話人(1962年都立小石川高校卒業)。「都立中高一貫校有志の連絡会」事務担当。「平和憲法を広める狛江連絡会」事務担当。





 
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