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非正規労働者の権利実現のために

2011年3月14日


中西基さん(非正規労働者の権利実現全国会議事務局長)


世界に類例を見ない日本型「非正規労働」

 いま、非正規労働者の割合が増え続けています。2010年労働力調査では非正規労働者の割合は34.3%。非正規労働者のほとんどは雇用が不安定でしかも賃金はきわめて低廉です。2002年以降の戦後最長の景気拡大期にあっても労働者の平均賃金が下落したのは、このような日本型「非正規労働」が増大したことが原因で、それによって格差の拡大と貧困の蔓延が日本社会を覆うようになってしまっています。
 かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称賛された日本型雇用慣行は、男性正社員には家族を扶養できるだけの生活給を保障する一方、その被扶養者である妻や子には主婦パートや学生アルバイトという不安定かつ低賃金な働き方しか提供してきませんでした。それでも家族全体としてみれば生活が成り立つように税制や社会保障制度など社会全体がデザインされてきたので、高度経済成長により一億総中流社会が実現されていました。その反面、EU諸国のような同一価値労働同一賃金の原則は導入されず、雇用形態の違いによる労働条件の格差はむしろ当然視されてきました。
 ところが、1995年に日経連が発表した「新時代の日本的経営」に象徴されるように、この間、企業側は、従来型の「日本型雇用慣行」を放棄して、正社員の割合を減らし非正規労働の割合を増やしてきました。結果として、自立して生活することがそもそも不可能な不安定かつ低賃金な非正規労働者が3人に1人を超え、このままではさらに今後もその割合は急激に増加し続けることが予想されます。
 
非正規労働者の権利実現全国会議の結成

 非正規労働の問題は、いまや、「労働問題」の次元を越え、「社会問題」、さらには、人間の尊厳に関わる「人権問題」という性格を強く帯びています。非正規労働者の権利侵害が放置されれば、正規労働者についても、「雇用が保障されているだけまだまし」という理由で、労働条件の切り下げや権利侵害を甘受せざるを得なくなってしまうでしょう。
 非正規労働の問題は労働者全体の、ひいては日本の社会全体の問題です。
 このような問題意識を共有する労働法・社会保障法の研究者と弁護士らの呼びかけによって、2009年11月、非正規労働者の権利の実現を支援するための研究・交流を進めるために、「非正規労働者の権利実現全国会議」が結成されました。現在までに約200名の賛同を得て、全国各地で集会を催したり、ホットライン活動を実施するなどの活動を展開しています。

労働者派遣法改正から有期雇用法制へ

 喫緊の課題である労働者派遣法の抜本改正については、すでに2008年から改正論議が行われていますが、途中2009年の政権交代を経ても、今なお、改正が実現されていません。現在開会中の第177通常国会にて抜本的な改正を実現させなければなりません。
 また、労働政策審議会では有期雇用法制についての議論が行われており、2011年夏頃に中間整理が、2011年12月頃には建議がなされる見通しです。不安定な細切れ雇用を規制する必要がありますので、労政審の審議を注意深く見守らなければなりません。
 戦後日本の経済成長の推進力であった「日本型雇用慣行」が終焉をむかえつつある現在、雇用形態にかかわらず人間らしく働いて(ディーセントワーク)、誰もが幸せに暮らしてゆける社会を実現するためには、労働法制のみならず社会保障制度全般についてドラスティックな改革が必要とされています。
 ぜひ「非正規労働者の権利実現全国会議」の呼びかけにご賛同いただき、活動にご参加ください。

<26日の集会の中止のお知らせ>
3月26日(土)に予定していた非正規労働者の権利実現全国会議主催の集会「安心して働き続けたい! 仕事はずっとあるのに、どうして雇用は『有期』なの?」の開催は諸般の事情により中止させていただきます。ご了解のほどをお願いいたします。

◆中西基(なかにしかなめ)さんのプロフィール

2000年弁護士登録・大阪弁護士会
北大阪総合法律事務所
非正規労働者の権利実現全国会議・事務局長





 
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