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百里の地で平和を訴え続ける

2011年7月7日


梅沢優さん(百里基地反対同盟)

 

―――百里基地をめぐる裁判は、住民たちが自衛隊は憲法違反だと主張してたたかわれました。まずは、百里基地がつくられた経緯と基地反対運動についてお聞かせください。
(梅沢さん)
 百里ヶ原は茨城県の霞ヶ浦の北に広がる平坦な台地にあります。1937年に海軍の飛行場が造られ、戦争の影響を激しく受けた所でした。戦後、満州などから引き揚げてきた人びとが機銃弾や爆弾の破片の中を開拓してきましたが、1955年に航空自衛隊の百里基地建設計画が持ち上がり、農機もなく陸稲の種まで食べてしまうという状況のなかで、多くの開拓民が防衛庁の懐柔政策などによって土地を政府に売り渡しました。しかし、戦争を知っている私たちの親は基地に反対する組織を結成し参加者の家には高い赤旗を立てて運動を始めました。そもそも自衛隊は憲法違反だと主張する裁判もたたかってきました。政府は滑走路に平行する飛行機の誘導路の建設をすすめましたが、基地に反対する地主がその土地を売らず、誘導路はまっすぐにならず、「くの字」に曲がったものになりました。全国の人々が土地を一坪づつ所有して基地拡張を許さないという画期的な運動も全国に先駆けて展開してきました。

(百里基地の誘導路。奥の方から手前に向かってきているが右に折れている。)


―――2010年3月、民間機と自衛隊の飛行機が同じ百里基地の滑走路を使う官民共用の茨城空港が開港しました。そのいきさつと問題点をお聞かせください。
(梅沢さん)
 1992年頃から茨城県にも民間空港をつくりたいと県当局が国への働きかけを始めました。自治体汚職のシンボルとまで言われ、逮捕までされた知事が地元町長に脅しをかけて要望書を出させ、ついに2010年、茨城空港の開港が実現しました。百里基地の側は、実戦基地として何としても誘導路の代わりが欲しかったのです。自衛隊と県は滑走路を2本造ることを取り決めましたが、そのことは県民に知らせず、まずは1本のかさ上げで話を進め、最後は新設の方が建設費が安くあがるとウソをついて2本を手に入れるどんでん返しをして、その上そのかさ上げも県民の負担とする、踏んだり蹴ったりの末の開港でした。しかも、廃材でつくったことがバレて造りなおし、というオマケ付きでした。
 しかし、案の定、開港した茨城空港に民間機はあまり飛ばず、乗客を予定どおりに確保することができず、茨城空港建設は無駄な公共事業となっています。それに、ここでは日夜80機もの戦闘機や偵察機が実戦のための訓練が繰り返えされており、機体トラブルや墜落事故など住民に対する危険性や騒音被害が拡大しています。

―――いま自衛隊は米軍との共同行動を拡大させており、百里基地にも影響があるのではないでしょうか。
(梅沢さん)
 百里基地は1990年から日米共同使用基地になっており、鹿島灘沖での日米共同訓練の拠点になっています。ここでは全国の他の自衛隊基地に先駆けて、昨年は年2回も規模の大きいタイプUと呼ばれる米軍との共同訓練を実施しました。訓練では米軍のF16とF15の戦闘機などが飛び交い、爆音を轟かせています。

―――このたび、基地に反対して土地を国に売らず、その土地に地主の皆さんがつくった平和公園を案内していただきました。この平和公園が残されていることの意義は大変大きいと思います。皆さんの思いをお聞かせください。
(梅沢さん)
 ここは川井さんという方の土地なのですが、ここに平和公園をつくりました。展望台をたて、そこにあがると百里基地の誘導路が「くの字」に曲がっているところがよく見えます。平和稲荷もあって、平和を願う賽銭箱を置いています。ご本尊は憲法9条です。ここでは毎年「百里初午(はつうま)まつり」が開催され、県内外の平和団体の人たちが集います。この祭りには平和を願う政党がみな手を携えて全国唯一の共同行動が組まれています。
 ここに取材にきたロサンゼルスタイムスの記者は、"誘導路を「くの字」に曲げさせて、そこに平和公園がある。そして何よりも国の政策に反旗を立てることのできる日本人の権利がここにある"と賞賛され、"こんなところは世界のどこにもない"と驚愕していました。

 
百里平和公園の入り口。フェンスの外は百里基地。
  平和公園内の看板 −たたかいの歴史や憲法9条などが掲示されている。

―――ここは基地や戦争に反対する運動を象徴するような場だと思います。ここの運動がさらに大きく広がることを期待しています。本日は平和公園をご案内いただき、ありがとうございました。





 
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