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今週の一言

 

フクシマで生きる。世界と生きる。

2011年10月31日


根本敬さん(福島県農民連)


ドイツ・フライブルクの原発ゼロをめざす集会で挨拶する機会を得た。私は次のように話した。

「私が将来結婚したとき、被曝して子どもが産めなくなったら補償してくれるんですか」 ― 飯舘村の十五歳の高校生が「東京電力の説明会」で東京電力の副社長に迫った。
キャベツの出荷制限で、「自らの命を絶った夫の遺影」をしっかりと抱え須賀川の農家が「うちの父ちゃんは、東電への抗議のために命を絶ったと思う。子どもや孫が外で遊べないんです。洗濯物を外に干せないんです。一刻も早く原発を止めてください。」と東電本社で担当者をなじることもなく訴えた。

いま、農家の動揺が収まらない。
保原の桃農家が、「こんな思いして桃をつくるなら、
桃の木をきってしまいたい」と呟く。
損害賠償の請求に対し、東電の担当者は
「損害賠償の立証責任は被害者にあります」と答える。
誰が原発を動かし、誰が事故を起こしたのか。
誰が放射能で福島を汚したのか。
東電と国を追い詰めなければ、
損害の補償も原発をやめさせることもできない。

まだ原発事故は収束の見通しもたっていない。
土壌の汚染は続いている。作物の汚染も続いている。
原発に怯え、放射能に怯えて暮らさざるを得ない日々は、
母と子を追い詰めている。

復興が大きなテーマになっている。
復興とは、まず人間が「復興」しなければならない。
「人間の復興」とは、たたかうこと。
原発による被災地、被災者を二度と生まないために私たちはたたかう。

私たちは、汚されたフクシマを子や孫に
美しいフクシマにしてわたすまでたたかう。
豊かで美しい福島を取り戻すために農民として生き抜く覚悟だ。
ともに後に続くものを信じてたたかいをひろげましょう。
なくせ!原発  ノーモア・フクシマ。

福島のいま 地震・津波・原発「レベル7」 傷つけられ続ける福島

 @「放射性物質」の扱いを「措置」する法律がない

 農民を窮地に追い込んでいるのは、「食べ物」の放射能汚染である。食品衛生法では「放射性物質」の規制値がなかったために原子力安全委員会が定めた飲食物制限に関する指標値を食品衛生法に基づく暫定的な規制値とした。しかし、科学的知見は少なく結局規制値とは「許容量」つまり「ガマンしてくださいという値」でしかない。

 A農地などの汚染はどうするのか

 日本の土壌汚染対策法は、対象とする有害物質としては「放射性物質を除く」となっている。放射能物質汚染対処特別措置法が成立したが、これは、今回の福島原発事故に限定されたものであり、誰がその費用をどう負担するか明確になっていない。

 B人体への影響 「暫定規制値」

 緊急時作業者の被曝限度を100msvから250msvへ引き上げる措置も取られた。従来一般公衆の被曝規制値は、年間1ミリシーベルトだった。1時間にすると 0.1μsvであり、福島市の現在の線量は1.0μsv。10倍の線量を受けていることになる。この値は、「放射線管理区域」―外部放射線に係る線量限度である、0.6μsvを越える。「放射線管理区域」とは、放射線環境に応じた作業者の出入り規制、防護設備の徹底、線量の監視、汚染 の拡大防止などの防護管理を円滑に遂行するために設けられている。

世界に誇れる福島へ

 @9年前に福島県は「廃炉を見据えた地域の将来を」を提案していた

 福島県は、9年前の2002年9月に「電源立地県 福島からの問いかけ 福島県エネルギー政策検討会『中間取りまとめ』」を発表している。当時、原発事故隠しやデータの改ざんがあいつぎ、県民に中に「原発への不信」が広がった。当時の知事であった佐藤栄佐久氏はこう述べている。「福島県としては、これまでエネルギー政策は国策であると受け止め、協力してまいりましたが、国や事業者が国策の名の下に立地地域の意向をないがしろにして一方的に推し進めるということでは、電源立地地域がその存在を脅かされる」奇しくもこの指摘が現実のものになってしまったが、この「中間とりまとめ」では最後に「将来にわたる地域振興を図るためには、発電所に大きく依存する、いわば、モノカルチャー的な経済から自立することが求められているのではないか」とし「廃炉を見据えた地域の将来を真剣に考える時期にあるのではないか」と提言を結んでいる。

 A私たちが取組む「損害賠償」の意味

−原発事故がなかっら起こりえなかった損害をすべて補償させる
 原子力損害賠償法では、いまの福島の事故は「措置」できない。「風評被害」−われわれは、風評被害ではなく実害だといっているがこれは原因の明確な「経済的純損失」であるにもかかわらず結論を先延ばしにし、土壌汚染(放射性物質)にいたってはなんらの解決するスキームさえ示されていない。安全神話によってこうした損害をはじめから「想定さえ」しないことが大きな要因だ。

−原発が決して「安くてクリーンで安全な電力」ではないことを認めさせる
 現在の日本で、原発を止めるのは、電気事業者に「原発は割りに合わない」ものだということを認識していただくしかない。事故を起こしたらとても、立ち上がれない。事故を起こさないために出さなくてはならない費用は膨大であり、廃炉に関わる費用、核廃棄物の処理費用を含めるとどうしたって採算が取れるはずがないところまで追い込む必要がある。ところが、東電はヌケヌケと2011年3月末決算に「損害賠償金」1円も計上しなかった。この国は、人間の暮らしや命よりも企業の利益と「企業の存続」が優先するらしい。今後たたかわれる損害賠償を求める運動は、企業の利益を優先して恥じない国を変える大きな力になると確信する。

◆根本敬(ねもと さとし)さんのプロフィール

1956年生まれ。千葉大園芸学部卒。福島県農民連事務局長。農民運動全国連合会副会長。有限責任事業組合「ゆいまある」代表。農業経営 水田 3ヘクタール 加工トマト20アール あんぽ柿 40アール 野菜 10アール




 
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