法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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今週の一言

 

2012年の年頭にあたって

2012年1月1日


法学館憲法研究所
所長  伊藤 真


 2012年の新年にあたり、読者の皆様にごあいさつを申し上げます。

 昨年3月11日、東日本大震災が発生し、約2万人が犠牲になりました。また、その際の福島第一原発事故はチェルノブイリ原発事故に匹敵する惨事となりました。事故に対する適切で迅速な賠償も遅れており、深刻な放射能汚染が広がる中で住民の皆さんは不安感にさいなまれ、家に帰ることができるのかどうかの判断もしがたい状況が続いています。あらためて犠牲者の皆様に哀悼の意を表し、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。
 こうした状況の中で、当研究所は昨年11月3日、シンポジウム「震災と憲法」を開催し、浦部法穂・法学館憲法研究所顧問の講演などによって、憲法の規定と考え方にもとづく、本来あるべき被災者支援と震災復興について探求し、社会に問いました(その模様は2012年1月に発行する「法学館憲法研究所報」第6号に掲載します)。シンポジウムの模様はこちら

 当研究所はこれまで公開研究会「現代の諸問題と憲法」を開催してきましたが、昨年も7月に、「日中関係の歴史と未来」をテーマに、歩平・中国社会科学院近代史研究所長を招いて開催しました。こうした研究会の内容は「法学館憲法研究所報」(毎年1月・7月に発行)に掲載し、広く社会に還元しています。
 公共訴訟研究会も当研究所の重要な研究活動であり、昨年4月には「日の丸・君が代訴訟を検証する ―どのようにしてピアノ最高裁判決≠のりこえていくか?―」、9月には「公務員の精神的自由権をどのように保障させるか」をテーマに、国旗国歌訴訟や公務員のビラ配布事件の弁護団と多くの憲法研究者などが参加し、憲法関連訴訟に資する理論研究をすすめました。
 昨年はNPO法人「監獄人権センター」(CPR)と私が主宰する伊藤塾の共催による連続講座「犯罪をおかした人の更生に弁護士・市民はなにができるか? 〜受刑者を巡る現状と課題から探る〜」が開講となり、当研究所も後援団体として協力しました。受刑者の更生をめぐる現状や課題を学び広げる中で、憲法の基本的な価値と意義を考える機会になっています(この連続講座は2012年3月まで続きます)。

 憲法とその考え方を広く社会に広げることも当研究所の重要課題です。昨年も当研究所のWEBサイトでは毎週様々な分野の方々に憲法に関わる意見・提言や取り組みを語っていただきました(こちら)。憲法関連書籍・論文や憲法理念を考える映画の紹介も続けてきました。日本国憲法に関わる英語韓国語での情報発信もしてきました。基本的に2週間ごとに時々の社会的・政治的問題を憲法の視点で論じる浦部法穂顧問の「憲法時評」を連載し、昨年はそれをテーマ別に分類し、読みやすくした書籍『憲法時評 2009-2011 震災・普天間・政権交代などなど』も刊行しました。
 当研究所は一昨年来、中高生向け映像教材「憲法を観る」の製作・普及にあたっていますが、この教材が全国の中学・高校で活用されていることを嬉しく思います。そのWEBに、毎週各界の方々が中学・高校での憲法教育への期待や問題提起の声を寄せてくださっている(こちら)ことは画期的なことです。
 昨年は司法制度改革審議会意見書(2001年)から10年という節目にあたりました。当研究所は裁判員制度や法曹養成制度の改革などをめぐる問題状況について「司法改革・市民フォーラム」(代表:大出良知・東京経済大学現代法学部教授)とともに「WEB市民の司法」で情報発信をすすめてきました。

 この間、私・伊藤は「一人一票実現国民会議」の事務局長を務め、国政選挙における一票の格差=住所差別の解消に向けたとりくみをすすめていますが、昨年はこの裁判でも重要な前進を遂げることができました。

 日本はいま、東日本大震災からの復興、原発中心のエネルギー政策の転換、社会保障制度改革と税制改革問題、TPP問題、財政再建、米国追従の外交政策の見直し、等々、山積する重要課題に直面しています。ところが、2009年の歴史的な政権交代で実現した民主党中心の政権は混迷を深めています。そのような中で国会の憲法審査会が憲法「改正」の論議を始めるに至っており、2012年は憲法をめぐっても重要な年になろうとしています。今年は当研究所を開設して10年になりますが、憲法の研究と普及はいよいよ重要であり、さらにとりくみをすすめていく所存です。読者の皆様のご健康とご活躍を祈念しつつ、引き続くご支援をお願い申し上げます。

◆伊藤真プロフィール

1958年生まれ。
1995年、憲法を実現する法曹養成のため「伊藤真の司法試験塾」(現在の伊藤塾)を開塾。
2002年、法学館憲法研究所を設立。所長に就任。
2007年、あらためて弁護士登録。法学館法律事務所所長。
日々発信している情報はこちら。動画メッセージもぜひご覧ください。
【市民向けの憲法関連著書】
『憲法のことが面白いほどわかる本』(中経出版、2000年)、『憲法のしくみがよくわかる本』(中経出版、2001年)、『伊藤真の憲法入門』(第3版)(日本評論社、2004年)、『伊藤真の明快!日本国憲法』(ナツメ社、2004年)、『高校生からわかる 日本国憲法の論点』(トランスビュー社、2005年)、『憲法の力』(集英社、2008年)、『伊藤真・長倉洋海の日本国憲法』(金曜日、2008年)、『「見てわかる」日本国憲法』(講談社、2008円)、『中高生のための憲法教室』(岩波書店、2009年)、『憲法の知恵ブクロ』(新日本出版社、2010年)、など。




 
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