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今週の一言

 

消費税増税の流れを止めよう

2012年2月20日


井上徹二さん(税理士・公認会計士) 


 消費税増税への大きな流れがつくられようとしている。少子高齢化社会の到来、財政危機、後の世代に負担を付け回すな、等のスローガンが繰り返し叫ばれ、政権与党、財界、マスコミの大合唱が続けられている。しかし、この流れは本流ではなく本流にしてはならない。世論は消費税増税反対の意思を明確に示しつつあり、その勢いは増大している。「読売新聞」の最近の世論調査で、消費税に「反対」55%が「賛成」39%を上回った。

 「消費税増税」は、今でさえ苦しい国民生活を一層困難に追い込み、消費減退による経済へのマイナス影響、中小企業の倒産を招く等日本経済をさらなる危機に至らせる。ここでは消費税の本質的批判を一点に絞りたい。
 「消費税法は国民の生存権を直接侵害するが故に、憲法違反の法規である」ということである。憲法は最高法規でありその憲法が示すところは次のようある。
@憲法の目的は、国民の福祉向上(幸せ)であり、国民の福祉の基盤は、経済的保障、生活の維持である。
A憲法25条「生存権」の保障こそ、憲法の眼目の一つである。
B一般消費税は、国民の「生存権」を直接侵害するがゆえに、現行「消費税法」は憲法違反の税制である。

 国民の幸福の追求・保障こそ憲法の基本理念である。平和の維持、人権保障なども国民の幸福に欠かせないものだからこそ必要なのだ。そして、人間の幸せの実質的基盤は、生きる権利、生存権、経済的保障である。ところが、一般消費税は、消費のすべて、生活のすべてに課税し、最低生活以下の人にまで容赦なく税を取り上げるものである(逃れられない)。

 消費税率が10%引き上げられれば、低所得者の生活費が10%引き下げられる。例えば、生活保護は憲法で保障する最低限の生活を国が保障する制度であるが、生活保護者は受け取った保護費150,000円の全額を生活のため支出するので、10%相当分15,000円の消費税負担を被ることを強制される。実質的には135,000円のものしか買えない。生活を消費税分15,000円だけ切り下げられるのである。生活できないことを「消費税法」が強制しているのである。生存権を侵害する「消費税法」は憲法25条に違反する法律ではないのか?

 イギリスの経済学者ピグーは、1920年に著した『厚生経済学』において、「高所得者の1ドルの効用は、低所得者の効用より小さいので、高所得者に1ドル納税させそれを低所得者に移転すれば社会の福祉は増す」と論じた。「数千万円の所得のある人から100万円の税を負担させ、それを年収200万円程度の低所得者10人に10万円ずつ交付すれば、社会全体の福祉が増大する」ということである。過去、減税の恩恵を受けてきた高額所得者の税負担を増やし、庶民の税負担の軽減を図ることこそ税制改革の方向である。

 消費税(付加価値税)について、イギリス、カナダ.オーストラリア、韓国等では、食料品等は免税・非課税にし、フランス等は食料品などに軽減税率を適用するなど国民生活に配慮を加えた仕組みにしている。

 現行消費税を「ぜいたく品や高額の消費に課税する消費税」に転換すべきである。例えば、基礎的食料品や住居費、交通費、教育費等は免税・非課税にし、高額自動車、高級服飾、宝石、別荘等は20%程度の高めの税率、その他の商品サービスは、5%〜10%の低めの税率にするという制度である。

◆井上徹二(いのうえ てつじ)さんのプロフィール

税理士・公認会計士。1940年生まれ。
元埼玉学園大学経営学部長、前川口短期大学副学長。
研究テーマはアメリカ、イギリス、カナダ等各国の税制比較。
著書『税務会計論の展開』『租税法と税制』等。
消費税創設時前後には「消費税反対」の講演活動を10数回行った。

<法学館憲法研究所事務局から>
 法学館憲法研究所は3月23日(金)に公開研究会「消費税と憲法 −応能負担原則を問い返す」を開催します。ご案内します。
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