法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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『憲法が教えてくれたこと − その女子高生の日々が輝きだした理由』

2012年4月16日


青木耕太郎さん(編集者)

―――法学館憲法研究所の伊藤所長(=伊藤塾塾長)の、青春ストーリーで憲法がわかる、『憲法が教えてくれたこと − その女子高生の日々が輝きだした理由』が販売開始となります。青木さんがこの本をつくることを提案してくれました。まずは、この本はどんな本なのかを説明してください。
(青木さん)
 この本は、ストーリーを読んでいくと憲法のエッセンスが「疑似体験」としてわかる内容になっています。
 主人公である高校駅伝の女子部員桜井うたこは、高校入学のお祝いに祖父から日本国憲法の本をもらいます。祖父は「うたこのためになる」という謎の言葉をメールしてくる。うたこは「なんのことやら」と思っている。「憲法って法律の親玉みたいなものじゃないの?」と。
 学校生活や家庭生活の中でいろいろ問題ってありますよね?
 部活における個人の自由とチームワークの問題、おしゃれと校則の問題、生活保護などの国の弱者保護政策と資本主義の関係、恋愛の自由、プライバシーと表現の自由・・・。そういう問題それぞれに対して、じつは憲法がひとつの考え方を示唆してくれていることに主人公は気づいていきます。おしゃれをすることは基本的に自由であること、青少年保護が目的であっても表現の自由への規制は慎重に検討されなければならないこと、少数派を守るために民主主義よりも優先される考え方があること。そして、そういった問題について、誰かの意見を鵜呑みにするのではなく自分の頭で考えることが大切だということ。
 主人公は仲間や先輩たちと駅伝の全国大会を目指していくわけですが、部活や日々の生活の中で「自分の頭で考える」ということを意識していくと、いろんなものが見えるようになってきます。そして、憲法がじつは自分たちを縛るものではなくて、「自分らしく自由に誇りをもって生きていいんだよ」と応援してくれるものなのだと次第にわかってきます。
 爽快な青春ストーリーとして読み進め、読後は、憲法の考え方がわかり、自由や社会について自分なりのモノサシをもつことができるようになる作品だと思います。

―――青木さんは、なぜこのような本をつくろうと考えたのですか?
(青木さん)
 いま、確固たる自分の価値観をもつことが難しい時代だと思います。特に若い世代はそうだと思います。声の大きな大人がああだこうだと言うと、マスコミもこぞってあおり立てる。社会に目を向けると、TPPや原発問題、年金問題、基地問題など、およそ解決することなどできないのではないかという課題が山積しています。そういったことを考えるときに、いったい何を指針として考えたらいいのか。考える出発点として、何を大事にすべきなのか。そのヒントを与えてくれるのが憲法なのだと思います。
 憲法の条文を読み解いていくと、今の社会問題にしても、身近な出来事にしても、一定の考え方を指し示してくれていることがわかります。もっとも重要な考え方は「個人の尊重」です。少数派の人たちも含めて個人の尊厳が保たれているかどうか、それが、あらゆる問題を考えるときに大きな指針となります。憲法は、そういう「価値観のもと」のようなものを与えてくれるものだと思います。
 そういったことを、若い人にもわかりやすく、説教くさくなく伝えるにはどうしたらいいのか。そう考えていたときに、伊藤真先生が監修したDVD教材『憲法を観る』に出合い、「これだ!」と思いました。『憲法を観る』では、できるだけわかりやすく身近な出来事とつなげて憲法の考え方を伝えようとしています。そういうコンセプトで、しかもオリジナルのストーリーで感動できる本を書いてもらえば、普段解説書など読まない読者にも伝えることができるのではないか。そのような企画を伊藤先生に相談に行って、「おもしろいですね」と言っていただいたときにはちょっと手が震えるくらいうれしかったです。

―――実際に伊藤所長が書き上げたものを見ての感想をお聞かせください。
(青木さん)
 憲法は多様な解釈を許容します。一方的な考え方を押し付けることはしません。だからこそ、具体的な事柄が書かれていなくても、あらゆる事象に対してあるべき理想の姿を照らすことができるのだと思います。
 伊藤先生はこの本の中で、学生生活や仕事、家族、地方自治の問題など多様なトピックを取り上げています。5章に分けてそれぞれ重要なテーマに沿って憲法のエッセンスを散りばめていますが、それで私たちの人生の出来事全部をカバーできるわけではありません。物語で具体的に描かれる事柄は限られたものです。ですが、そういった具体的なエピソードをきちんと掘り下げていくことで、読者は自分の人生の身近で具体的な出来事に「応用」できるのだと思います。ディテールを凝らした各エピソードは、読んでいて純粋におもしろいものだと思いますし、主人公と一緒に諸問題に一緒に悩むことができるものだと思います。

―――この本の魅力をお聞かせください。
(青木さん)
 主人公をはじめ友人や先輩や家族など、この本の登場人物たちは(私たちの実生活がそうであるように)本当に様々な問題を抱えています。対立する概念の間で主人公は「自分はどうすべきなのか」を悩み、考え抜きます。この本はその指針を示しはしますが、完全な答えを提示することはしません。読者に、自分のこととして考える余地を残しています。
 憲法と同じように、価値観を押し付けるのではなく、自分なりの解釈を促し自らの頭で考えることを奨励していることが、この本の最大の魅力だと思います。自分の身に起こるいろいろな出来事や社会の問題と対峙するときに、迷いながらもしっかりと自分の頭で考えることが自分自身の人生を輝かせていく。そういうことを教えてくれる物語になっていると思います。

―――青木さんは、この本を多くの高校生や一般の読者に読んで欲しいと仰っています。最後に、読者へのメッセージをお聞かせください。
(青木さん)
 今年で憲法は施行から丸65年を迎えます。憲法はもう古いでしょうか? 今の時代には似つかわしくないものでしょうか?
 この本では、改正しろとも改正するなとも、考え方を押し付けることはしません。そういったことを考える前に、まずは憲法っていったい何が書かれているのかを知ろう、というのが狙いです。何が書かれているかを知り、たとえば改正案が出てきたときに、それを自分の頭で考えて判断することが大切なのだと思います。誰かもっともらしいことを言っている人の意見に左右されてしまうのではなく。
 そして何よりも、人生の出来事や社会問題を考えるときに、めいっぱい悩むことは大切だと思うのですが、日本国民が誰でも参照できる、ひとつのモノサシが存在していることを知ってもらえればと思います。この本の主人公が最後のほうで気がつくように、じつは「けっこうためになることが書かれているのかもしれない」と、少しでも感じてもらえたらいいなと思います。

◆青木耕太郎さんのプロフィール

1977年千葉県生まれ。大学卒業後、映画制作を経て出版社勤務。




この本の出版社である幻冬舎ルネッサンスのWEBサイトでの紹介はこちら

 




 
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