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今週の一言

 

消費税増税による景気の悪化を懸念する

2012年6月4日


小林秀一さん(豆腐製造・販売業)

―――政府が消費税増税を提起していますが、それは国民の生活にどのような影響を及ぼすのかを具体的に検証する必要があると考え、インタビューさせていただきます。
 まずは、小林さんのお店に関わる具体的な状況から確認させていただければと思います。
(小林さん)
 私の店は東京・文京区で、豆腐やがんもどき、油揚げなどを製造し、販売しています。以前は池袋などにも直営店があったのですが、現在の店は一箇所だけで、仕事に従事しているのは両親と私のほかに2人の従業員、合計5人です。
 豆腐店は、以前は全国で5万軒あったのですが、ついに1万軒を切ってしまっています。小規模な店が多いので跡継ぎがいなくなって廃業する店が多くあります。

―――小林さんのお店が以前開いていた直営店を閉じたり、これまで多くの豆腐店が廃業しているとのことですが、どのような理由からでしょうか。
(小林さん)
 いろいろな理由があると思いますが、私の店のような小規模な豆腐店では1990年代後半以降に売上げが落ち込みました。バブルの崩壊、国際競争の激化の中での大企業の生き残りのための価格競争などが展開されるようになり、それが強く影響しているように思います。具体的には、大手の豆腐店が豆腐を大量につくって安く売るようになり、小規模の豆腐店がはじき出されるようになったのです。スーパーマーケットも大手の豆腐店から仕入れるようになっていきました。学校給食で出す豆腐も同様でした。私の店のような"街の商店"は"こだわりの豆腐"を作っているわけですが、なかなか太刀打ちできなくなってきていいます。
 また、その頃は景気も悪く、その時に消費税が3%から5%に上がりましたので、豆腐を街の商店で買ってくださるお客さんも減りました。その時の消費税増税は景気をさらに悪くしました。

―――消費税は1989年から導入され、おっしゃるとおり1997年に5%に増税となりました。小林さんの店では、それぞれの時期、豆腐の価格はどうされたのですか。
(小林さん)
 消費税は消費者が支払い、業者はそれを納める、と思われがちですが、法令上は、私たち業者は税務署から「売上げ×5/105」を納めるよう通知されているのです。私たち業者がお客さんから消費税を預かったのかどうか、ということではなく、とにかく「売上げ×5/105」を納めることになります。それは豆腐店に限らず、基本的にすべての業者にあてはまります。商品の価格に「売上げ×5/105」分を上乗せする場合もあるし、商品の値上げはせずに業者が「持ち出し」で納税する場合もあるのです。消費税をお客さんからいただくか、もしくは身銭を切って払うのか、という選択になるのです。
 豆腐は安いので、私の店では消費税の導入の時も、増税の時も極端な値上げはしませんでした。したがって、「持ち出し」になりました。
 先日昨年度分の消費税の納税をしてきましたが、私の報酬のまるまる2ヶ月分くらいとなります。
 もっとも、豆腐店の多くは消費税免税基準=1,000万円の売上げもないのが現状です。

―――政府の方針通りに消費税が10%に増税になったら、どのような影響が出てくると思われますか。
(小林さん)
 消費税分をお客さんからいただくのか、身銭を切るのか、また私たちは頭を悩ませることになるでしょう。
 それよりも懸念されるのは、景気の悪化の深刻化です。景気が冷え込み、豆腐についても売上げが落ち込むことを心配します。

―――消費税増税が豆腐店のようなところにどう影響するのかをリアルにお聞かせいただきました。税はこの国のあり方に関わることであり、それは憲法の考え方から検証されなければなりません。貴重なお話し、ありがとうございました。

◆小林秀一(こばやししゅういち)さんのプロフィール

東京・文京区で豆腐の製造・販売業を営む。
元プロボクサーで日本ウェルター級王者にもなった。全国商工団体連合会(全商連)青年部の議長なども歴任。




 
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