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裁判員裁判を傍聴したことがありますか?

2012年10月1日



大城聡さん(一般社団法人裁判員ネット代表理事・弁護士)

裁判員候補者は100人に1人

 裁判員制度が2009年5月21日に始まってから丸3年が経過しました。最高裁によると、2012年1月末時点で裁判員裁判に参加した市民は2万5452人(裁判員18871人、補充裁判員6581人)に上ります。
 裁判員候補者名簿に登録される人数は、毎年約30万人。これまでに合計124万1466人が裁判員候補者として登録され、裁判所から候補者通知を送られています。この11月にも来年の裁判員候補者に通知が送られます。単純に計算すると国民のおよそ100人に1人がすでに裁判員候補者に選ばれていることになります。

裁判員裁判は誰でも傍聴できる

裁判員ネットでは、中学校、高校や地方自治体と協力しての裁判員制度の市民講座を実施しています。「裁判員裁判を傍聴したことがありますか?」と尋ねると、成人対象の講座でも傍聴した人がゼロの時もあります。裁判員制度が始まって3年が経ちますが、多くの人にとって裁判所は近寄りがたく、縁遠いところであることは変わらないようです。裁判の公開は憲法の定めた原則なので、裁判所に行けば誰でも傍聴することができます。傍聴席に座れば、法廷で裁判員とほぼ同じ情報を得ることができます。刑事裁判は厳粛な場ですから、軽い気持ちで行けるところではありません。しかし、「自分も裁判員になるかもしれない」という気持ちでぜひ一度は法廷に足を運んでもらいたいと思います。

裁判員制度市民モニターの取組み

 2009年8月に東京地裁で行われた全国初の裁判員裁判から「裁判員裁判市民モニター」を行っています。市民モニターでは、裁判員裁判を傍聴し、モニターシートの質問に回答してもらいます。裁判員ネットでは、今年の5月までに376件のモニターを実施しています。そのうち17件の裁判では模擬評議を行っています。模擬評議は、実際に傍聴した人たちで、その事件について評議を行い、有罪・無罪を判断し、有罪の場合は量刑判断も行います。この市民モニターによって、市民の声を集積・検証することで、今後の裁判員制度の見直しに活かしたいと思っています。また、傍聴や模擬評議を通して、実際の裁判員裁判に触れることで、「裁判員になるかもしれない市民」に対して、司法についての知識と体験を得る機会を提供することで市民の「司法リテラシー」の向上を目指しています。

市民の声を反映させる第一歩を

 裁判員制度は、施行3年が経過した後に必要があれば見直すと法律で定められています。今年はその見直しを検討する年です。裁判員制度の見直しには、法律の専門家だけではなく、裁判員を経験した人や裁判員になるかもしれない人の視点が不可欠です。私たち裁判員ネットでは、裁判員制度の「現場」を見た市民からの提案として、『市民からの提言』を発表しました。裁判員制度の現状と課題を整理し、具体的にどのように変えるべきかを提案しています。裁判員だけではなく、裁判員裁判を担当した裁判官も記者会見を行うことや裁判員の守秘義務の緩和などを提言しています。
 裁判員制度は、市民が司法に直接参加する制度です。裁判員制度という大きな樹が、私たちの社会に根付くためには、市民の主体的な参加が不可欠です。一つ一つの裁判だけではなく、裁判員制度のあり方についても、他人事ではなく自分の問題として考えていくことが必要です。法律の専門家にすべてを任せるのではなく、司法の新しい「担い手」となった市民の声を反映させることが大切なのです。その第一歩として、一人でも多くの人に法廷に足を運んで裁判員裁判を傍聴していただきたいと思います。

◆大城聡(おおしろ さとる)さんのプロフィール

弁護士。一般社団法人裁判員ネット代表理事として裁判員制度を市民の視点から考える活動を続ける。中央大学法学部卒。同大学院修了(政治学専攻)。山梨学院大学法科大学院修了。福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)の事務局長として原発事故の問題にも取り組む。著書に『良心的裁判員拒否と責任ある参加』(公人の友社、2009年)、『裁判員制度と知る権利』(共著、現代書館、2009年)。
弁護士大城聡のホームページ

<法学館憲法研究所事務局から>
 法学館憲法研究所は10月8日(月・祝)に「裁判と憲法 −裁判員制度・死刑制度を考える」を開催します。村井敏邦教授が講演し、その後浦部法穂・法学館憲法研究所顧問(=神戸大学名誉教授)と対談します。詳細はこちらからご確認ください。
 刑事法と憲法の基本理念から裁判員制度と死刑制度を学び考える機会になります。多くの方々のご参加をお待ちしています。



 
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