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今週の一言

 

レイプに反対なら、日米地位協定を変えるべきです

2012年12月24日



キャサリン・ジェーン・フィッシャーさん(米兵犯罪被害者) 

 鏡を見つめて「私は美しい」と語りかけます。
 この言葉を心底信じられるようになるまで、7年以上かかりました。2002年4月にレイプされてから初めてのことでした。誰であろうと、私をレイプなどしてはいけないはずです。
 レイプの後に警察でさらにセカンドレイプの被害にあい、私の人生はそれまでとすっかり変わってしまいました。警察も私をセカンドレイプする権限はなかったのです。

 

ジェーンさんが1945年以降の沖縄米兵による対女性犯罪を書いたシーツの1部
 
ジェーンさん作:「笑顔」

 私は、1980年代から日本に住んでいるオーストラリア人です。横須賀に入港したアメリカ海軍の空母・キティーホークの乗組員であるDに基地近くの私の車の中でレイプされました。
 私は、すぐに神奈川県警に事件を届け出ました。しかし、県警では6人の警官に何時間もからかわれたり笑われたりしながら尋問され、露骨に性的な言葉も口にされました。最初は治療も水も食べ物も拒絶され、犯罪の法的証拠のカギとなる尿検査用の容器も拒否されました。12時間くらい取調室に拘束されましたが、体に付着した証拠物もDNAも採取、保管すらされませんでした。これはセカンド・レイプです。
 警察は加害者がDであることを突き止めましたが、嫌疑不十分だとして起訴しませんでした。

 在日米軍兵士による犯罪はあとを絶ちません。2012年10月16日には、沖縄本島中部でアメリカ海軍所属の兵士2名が女性を襲い、集団強姦致傷の犯罪を犯しました。翌11月2日深夜には、アメリカ空軍の兵士が沖縄県読谷村で酒に酔って女性会社員宅に押し入り、息子の中学生の顔を殴って1週間のけがを負わせ、テレビを蹴ったり床に引き倒したりして壊した事件がおきました。
 日米地位協定と呼ばれている在日駐留米軍に関する日米間の合意は1960年に調印されました。その第17条1のbには、「日本当局は、米軍の構成員と軍属、およびその家族に対して日本の領土内で起きた犯罪に関しては裁判権を有し、日本の法律により罰することができる」と規定されています。しかし、現実にはほとんどの場合裁判しないで放置しています。それは、日米間で、公務外の犯罪の場合、日本側に裁判権がある大部分を放棄する密約があるからです。地位協定は、密約を含めて、米軍・米兵にさまざまな特権を保障しており、犯罪の被害者の人権をこのうえなく蹂躙するものです。

 私は、神奈川県警のセカンド・レイプに対して、神奈川県を相手に国家損害賠償請求訴訟を起こしました。しかし、1・2審、最高裁でも敗訴になりました。本当にショックです。

 日米の裁判所がDの刑事責任を問わないので、私は彼に対する民事訴訟を東京地方裁判所に起し、2004年11月、300万円の支払いを命じる判決を得ました。しかし、私も裁判所も知らないうちに、アメリカの海軍は提訴直後に密かにDを名誉除隊にしてしまい、彼はアメリカに帰国し姿をくらまし、支払いに応じませんでした。
 私は、がまんができなかったので、アメリカに行ってDの所在を突き止めました。何と彼は、家を9つも持って優雅な生活をしていました。そこで、私は、アメリカの裁判所に日本の民事裁判の判決の承認を求めています。レイプ事件では、他国の判決に関するこのようなケースは世界で初めてだそうです。

 今年の11月に3日間沖縄に行きました。県庁の記者会見室で壊れたソファ(sofa)をみて、提案を思いつきました。「レイプに反対なら、地位協定(SOFA=Status of Forces Agreement)を変えるべきです」。地位協定の16条には「日本国において、日本の法令を尊重し…」とあります。しかし、もっと強く、従う(obey)義務があると書き換えるべきです。

 私は、事件から8年間は人とご飯を食べられないなどのPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんできました。私は子どもが3人いますし、また。11年間に渡る裁判のことでもたくさんのおカネを使い経済的にも大変です。私を動かしているのは、「愛」です。今の時代、おカネや戦争が愛されています。しかし、平和のために人を殺すのはおかしいです。愛はすべての人間にこそ向けられるべきものです。愛は、米軍や政府よりパワフルです。

 さらに詳しいことはブログをご覧ください。warriorは戦士の意味ですが、頭文字は「Woman Against Rape」から採りました。(談)

◆キャサリン・ジェーン・フィッシャーさんのプロフィール

●オーストラリアのパース出身。1980年代来日、現在シングルマザーとして子育てをしつつ、国際的な性犯罪被害者支援のNGOと交流を重ね、アドボケーター活動に取り組む。日本社会にいまだ無い、24時間体制のレイプ緊急センターの設立をめざす。
●2002年4月、神奈川県で米空母「キティホーク」所属の米兵にレイプされ、さらに捜査の神奈川の警察でセカンドレイプにあい、深刻なPTSD(心的外傷後ストレス)におちいる。
●2004年11月、東京地裁(民事)が犯人に対して損害賠償命令を下すが、裁判中に除隊し、米国へ戻ってしまったため、現在も命令不履行。
●2005年5月、性犯罪防止と被害者への支のため「WARriors JAPAN-Women Against Rape」設立
●2006年6月、性犯罪被害者のための組織「Lavender Power USA 」と連携し、「Lavender Power JAPAN 」を結成。
被害者の裁判支援に取り組む。
●2008年3月、沖縄「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」で、大雨のなか6,000人の参加者を前にスピーチ。
●2008年5月、犯人と米軍のかわりに、防衛省から見舞金をかちとる。
●2008年6月、豪州ラッド首相より、書簡を受け取る。
●2008年7月、犯人に賠償を命じる裁判所の判決文とラッド首相からの手紙をたずさえて駐日米国大使館を訪ね、犯人を日本に戻すよう要請。
●2008年7月、日本社会での性犯罪被害者の孤独を訴える10分間のビデオ作品「The Cold dark Truth of Rape in Japan(冷たく、暗く、悲しい日本のレイプの現実―勇気ある告発―)製作。現在、You tube でみられる。
●2008年10月、大阪の平和集会でスピーチ。また、レイプ被害者への理解を訴える歌(THERE WILL COME A DAY)を発表。
●2008年12月、警察当局で被害者にもかかわらず侮辱的な扱いをされたことへの、神奈川県を被告とした国家損害賠償請求訴訟(東京高裁)1審につづき敗訴。
●2009年、最高裁に上告したが、敗訴。
●癒しのアート(Hearing through Art)として写真、絵画、作詩などの芸術活動の成果として2009年7月、東京都内で展示会開催。
●2010年4月に江別市・札幌市で講演した。
●2010年12月4日、ときわ大学が開催したシンポジュームで講演した。
●2011年、「ザ・ボディショップ」の助成金でドキュッメント「メイク ミー プラウド」を制作する。2012年5月11日、米国で元米兵を相手に訴訟を起すことを決定。
●2012年6月24日、オーストラリアのTV番組の「ザ・パワーオブワン」で、ジェーンさんの10年間の様子が放映された。
●2012年9月7日、アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキー郡裁判所に赴く。
●2012年10月18日、アメリカ・ミルウォ−キーの裁判所で、第1回口頭弁論が開かれた。
●2012年11月7・8日、北海道江別市と札幌市で講演。日米地位協定にNO!、と訴える。両会場で外務大臣あての「決議文」を採択した。
現在に至るまで、自分の経験をもとに、米軍関係者による事件事故被害者の裁判支援、沖縄基地問題、平和、女性・子どもの人権などで講演や被害者支援活動をしている。

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