法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

2013年の年頭にあたって

2013年1月1日



伊藤真(法学館憲法研究所所長)

 明けましておめでとうございます。
 法学館憲法研究所を代表して、年頭のごあいさつを申し上げます。

 日本国憲法の積極的な内容と理念を研究し社会に広げる立場で活動している私たちにとって、今年は大変重要な年になります。
 昨年暮れの総選挙で自民党が第一党になり、政権を奪還しました。この選挙で自民党は国防軍の創設などを含む「憲法改正」を公約として掲げました。また、安倍総裁は集団的自衛権についての政府解釈の見直しなども主張しました。今年は安倍政権がこうした公約・主張の実現に向けて様々なとりくみをしていくことになるでしょう。この選挙では「自主憲法の制定」を主張する「日本維新の会」などからも、「憲法改正」を主張する多数の議員が誕生しました。衆参両院の憲法審査会はすでに始動しており、「憲法改正」の国民投票がいつ提起されてもおかしくない事態を迎えつつあり、警戒を強めねばなりません。
 ただ、今回の選挙で自民党が過半数を超える議席を獲得したわけですが、それは選挙制度が小選挙区制を中心とする制度になっていることの反映でもあります。自民党の比例代表での得票率は27%に過ぎません。小選挙区制では相対的に多数をとれば議席を獲得できるので、こうした結果になります。今回の選挙では、国民の多くが民主党に失望して、自民党に投票したと考えられますが、多くの国民の実際の関心は、貧困問題、消費税増税や景気の問題、脱原発の問題にあるのではないでしょうか。新政権がこれらに先行して「憲法改正」を進めるならば、国民の反発を招くことになるでしょう。昨年来、多くの市民が脱原発を求める集会やデモに参加するようになっています。国民の主権者意識は確実に高まっています。今回の選挙の直前にいろいろな政党ができ、議員の移籍などが繰り返されたことは、こうした国民意識の変化を証明していると思います。
 法学館憲法研究所はこの「憲法改正」問題をめぐる状況をふまえ、今年新たに憲法を守り活かすためのツールを製作し、市民のみなさんに提供する予定にしています。正念場にあたり、多くの方々と手を携えてとりくみをすすめる所存です。

 法学館憲法研究所は昨年、公開研究会「消費税と憲法」を開催し(2012年3月23日、講演は浦野広明税理士)、消費税増税への動きに対して憲法の視点で警告しました。また、浦部法穂顧問による連続講座「生活と憲法」も開講し(2012年5月〜9月)、経済、政治、租税、社会保障、社会生活について憲法の視点で考える機会を提供しました。さらに、講演会「金大中氏の功績と『金大中図書館』」を後援し(2012年6月9日)、韓勝憲弁護士、金聖在・金大中図書館長に講演していただき、韓国民主化と日韓関係について学びました(その講演録は「法学館憲法研究所報」7号に収載しました)。
 秋にはリレー対談「日本社会と憲法」を開催し(2012年9月15日、10月8日、11月4日)、平和、裁判、政治に関わる問題を憲法に照らして深く掘り下げ考える場になりました(講演者はそれぞれ、水島朝穂・早大教授、村井敏邦・大阪学院大教授、森英樹・名大名誉教授。講演後に各講演者と浦部法穂・法学館憲法研究所顧問が対談)。その内容は本年1月に発行する「法学館憲法研究所報」8号に収載します。
 昨年は、ムスリム違法捜査事件釜ヶ崎弾圧事件をテーマにした公共訴訟研究会を3月24日、9月30日に開催し、弁護士と憲法学者が議論しました。
 こうした活動も賛助会員の皆さんをはじめとする多くの方々の支えがあって成しえたことです。あらためて感謝申し上げます。私たちはこうした活動を今年も継続・発展させることにしています。

 私自身は昨年4月に『憲法が教えてくれたこと −その女子高生の日々が輝きだした理由』(幻冬舎ルネッサンス)という本を出版しました。いろいろな方々にご協力いただき、はじめて小説を通して憲法の考え方を若い人たちに伝える本にすることができました。幸い多くの高校生や高校教員の方々などが読んでくださっており、ありがたく思っています。憲法の内容と考え方を若い人たちに伝えていくためにはいろいろな工夫も必要であり、今後も引き続き「中高生のための映像教室『憲法を観る』」の普及等に努力していく所存です。
 また、引き続き「一人一票実現国民会議」の発起人としてのとりくみもすすめていきます。昨年暮れの衆議院選挙は、最高裁が「違憲状態」だと認定したままの制度で実施されました。とんでもないことであり、日本の民主主義の前提として一人一票の実現を求めていきます。

 今年も憲法を社会に広げるために読者のみなさんからもご協力をいただければ幸甚です。読者のみなさんのご多幸を祈念しつつ、ごあいさつとさせていただきます。

◆伊藤真(いとうまこと)

法学館憲法研究所所長。
伊藤塾塾長。弁護士(法学館法律事務所所長)。
「一人一票実現国民会議」の発起人も務める。
『伊藤真の憲法入門・第4版』(日本評論社)、『中高生のための憲法教室』(岩波ジュニア新書)、『憲法の力』(集英社新書)、『憲法の知恵ブクロ』(新日本出版社)、『伊藤真の日本一わかりやすい憲法入門』(中経出版)、『高校生からわかる 日本国憲法の論点』(トランスビュー)、『憲法が教えてくれたこと その女子高生の日々が輝きだした理由』(幻冬舎ルネッサンス)など著書多数。




 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]