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憲法の積極的理念を社会に広げる − 日弁連憲法委員会の活動

2013年3月4日



藤原真由美さん(弁護士・日弁連憲法委員会事務局長)

―――藤原さんが事務局長を務めている日弁連憲法委員会は憲法問題に関わって大変重要な活動をなさっていると思います。憲法委員会のとりくみについてお聞かせください。

(藤原さん)
 日弁連に憲法委員会が設置されたのは2001年です。国会に憲法調査会が設置され、憲法改正問題をめぐって重要な時期を迎えたという認識から、日弁連会長の諮問機関的なものとして設置されました。2006年に第一次安倍政権が誕生して憲法改正問題も喧しくなる時期、憲法委員会を調査・研究や啓発活動をすすめる恒常的な機関にする設置要項日弁連規約の改正が行われ、委員の人数も150名に増えることになりました。
 これまでの大きな活動としては、日弁連人権擁護大会での憲法問題の宣言の採択があります。2005年に鳥取で「立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言」を採択し、2008年には富山で「平和的生存権および日本国憲法9条の今日的意義を確認する宣言」を採択しました。日弁連は憲法問題に関わる重要な局面で会長声明などを出してきましたが、鳥取および富山での宣言は多くの会員が集う場での討議を経たものであり、重みがあります。
 すべての弁護士が加入する強制加入団体である日弁連の見解表明は、法律専門家のものとして、政党や行政機関役所などへの影響力が大きく、またメディアが取り上げるケースも比較的多く、この活動は大事にしていかなければならないと思います。

―――仰るように弁護士会にはすべての弁護士が加入しており、その結果全体の合意形成などにはご苦労も大きいのではないでしょうか。

(藤原さん)
 会員にはいろいろな意見の持ち主がいて、政治家になっている会員もいます。民事事件や刑事事件などに関わる問題とは違って、憲法のことで弁護士会全体の合意を得るのは簡単ではありません。しかし、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」という弁護士法1条の規定によるところが大きいからだと思うのですが、日弁連の会員は憲法の基本理念の重要性を確認することについての認識を共有できていると言えます。

―――日弁連憲法委員会の今後の活動について考えておられることをお聞かせください。

(藤原さん)
 昨年初めて憲法委員会として市民の憲法関連団体との懇談の場を持ちました。今後も開催し、憲法問題での諸団体との連携を追求していきたいと思っています。
 同時に、憲法問題の取り組みの弁護士会内での基盤を広げていくことが大事だと思っています。今年10月に広島で開催する人権擁護大会では憲法問題も重要な柱になりますので、成功に向けて準備をすすめています。そのためには各地の弁護士会でのプレシンポのとりくみが大事になりますので、このとりくみを広げたいと考えています。


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―――「憲法改正」を公約に掲げた自民党が政権に復帰し、「憲法改正」を唱える議員が国会で多数になっています。私たちは今夏の参議院選挙でこの勢力が増えると「憲法改正」の動きが加速すると懸念されることから、緊急に新たなDVD「STOP 戦争への道」を製作し、普及をすすめることにしました。こうしたとりくみへの藤原さんのお考えをお聞かせください。

(藤原さん)
 日弁連憲法委員会事務局長としては、憲法問題のとりくみは日弁連での合意の範囲内ですすめるということになりますが、私個人としては期待しています。
 だんだん戦争体験者が少なくいなくなり、戦争で被害を受けるということ、あるいは加害者になるということについて、なかなかイメージしずらくなってきています。国防軍を創設し、戦争ができる国にしようという提案が実際に出てきたときに、それがどのようなことになるのか、その想像力を働かせなければならないと思います。映像にはインパクトがあり、おおいに期待しています。
 最近の戦争はボタン一つで手を汚さずに敵を殺すような、ゲーム感覚のようなものになっています。特に若い人たちには、人が殺される、あるいは殺すということの悲惨さ、苦しさ、せつなさなどを考えていただきたいと思っています。
 いま明文改憲の動きと併行して、現行憲法のままで集団的自衛権の行使を容認するような動きも進んでおり、こうした問題についても国民に注意を喚起しなければならないと考えています。

―――藤原さんは憲法の積極的な理念を守るにあたって、国民感情の変化にも着目すべきと仰っていますが、具体的にはどのようなことでしょうか。

(藤原さん)
 憲法についての国民の意識は錯綜しているところがあると思います。
 そもそも、国民の人権を守るために国家権力を縛るものとして憲法がある、ということが学校教育ではあまり生徒に伝わっていません。それどころか、「民主主義とは多数決」だということが一面的に教えられている学校があります。そうした憲法理解になっている人たちがいまや国会の議員にもなっています。恐ろしいことです。
 ただ、一方で、日本も普通の国のように軍隊を持とう、というような主張には、たとえば海外展開をする企業経営者などが違和感を持つようになってきています。いろいろな国で日本企業が成功を収めるには、紛争が生じた時に軍事力を行使するような備えをすることは必ずしも適当ではなく、むしろその国に関わる重要な情報を集約する、そのための人的なネットワークを広げることの方が大事だと考え始めているのです。こうした人々との連携を広げていくことも、憲法改正によって国防軍を創設しようという主張がはたして時代に合っているのか、という議論が広げていく上で重要ではないかと思います。

―――重要な立場にありながら、率直に語っていただき、ありがとうございました。憲法の積極的理念が社会に広がるよう、今後とも連携させていただければと思います。

◆藤原真由美(ふじわら まゆみ)さんのプロフィール

弁護士。日弁連憲法委員会事務局長。日弁連秘密保全法対策本部事務局次長
第二東京弁護士会副会長や、男女共同参画PT座長を歴任。
日本国際民主法律家協会理事、「コスタリカに手をたずさえて平和をめざす会」共同代表も務める。 






 
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