法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

「署名は愛だ」―9条を守る署名を5万筆集めた名物おじさんの話

2013年4月8日



蓑輪喜作さん(「9条の会・こがねい」会員)

――蓑輪さんは9条を守る署名を東京都・小金井市で2005年から毎日のように続けて来られました。ご著書「九条おじさんがゆく」を拝見し、9条にかける思いとともに、どんな人にも真心をもって訴えられ、たくさんの署名を集められたことに感動しました。今も署名は増えているのですね。
(蓑輪さん)
 はい。今84歳になりましたが、約10万人の方の声をかけ、5万人以上の方に署名していただきました。今年の年賀状に短歌3首を書いて送りました。
  「振り返れば八年の歳月過ぎており九条署名五万五千五百八十筆」
  「いつの日か国境のなき地球となれ線はかってに人のひくもの」
  「天職と思い勤めし四十四年わが見る夢に子どもら多し」
 最近、中国や韓国との国境争いのことを思いますと、2番目の歌が好きなんですよ。昔は国境と関係なく付近の住民同士が一緒に遊んだり意見交換した場所なのに、お互いに自分の領土だと争うのは問題です。日本だけでなく、世界中が平和になればいいと思っています。

――どんなきっかけで署名を始められたのですか。
(蓑輪さん)
 私は新潟県の豪雪地帯に育ち、終戦の翌年16歳のときに地元の小学校の用務員となり、上の3首目に書いてありますが、44年間勤めました。その後年齢のこともあり雪下ろしが大変になったりしたため、夫婦で今の小金井に移って来て、「9条の会・こがねい」ができたことをきっかけに署名を始めました。少年兵として戦死した友人もいて、あの15年戦争を身体で知っている者として、もし9条がなくなってまた戦争に巻き込まれるようになったとき、なぜあのとき戦争の体験者が動いてくれなかったのかと言われないためにという思いからでした。

――署名していただくというのはなかなか大変なのではないでしょうか。
(蓑輪さん)
 始めた頃は大変なこともたくさんありました。町内の1戸建てをチャイムを鳴らして回りましたが,反応は良くありませんでした。その頃作った短歌も「希望とはたたかうこととわが思う今日も出てゆく氷雨のなかを」というように、義務感の強いものでした。
 私は、場所も人も選ばないのですが、公園に行くと多くの方々に賛同していただけます。北朝鮮問題、教育基本法の改正、国民投票法の問題などなど、皆さんの関心は高く、とくに若者の間では戦争への危機感があり、署名していただく方の半分くらいは若者です。親しくなり、すき焼きや芋煮をたべさせてもらったりしています。署名集めは今では楽しい事の方が多いですね(同席された「9条の会・こがねい」会員の方の話:「蓑輪さんと一緒に署名活動をしても私など蓑輪さんの1/3位しか集められません。蓑輪さんの風貌もありますが、戦争を体験している人が一生懸命やっているのだということが伝わって来ます。それに相手の方に合うような話をしておられます。スケボーをしている若者たちなどの間にも自然に入っていって話をし、その人たちをファンにしてしまいます」)。

――「署名は愛だ」とは、相手の方に愛情を持って接するということでしょうか。
(蓑輪さん)
 署名は私が求めるというよりも、「自分のこととして受け止めてください」と話します。
 無着成恭さんの「やまびこ学校」に啓発されましたが、何事も相手の方の命の尊さから出発すべきものだと思い、自分丸出しで情熱を持って身体ごとぶつけて行きます。今朝も小さい子供たちに会いましたが、「お早う」と手が先に出てしまいます。そこで子供との会話が始まり親たちも加わってきます。人間社会は温かくしたいですね。私は、人が好きなのです。誠実に愛情を持って接すれば必ず応えてくれます。署名は愛であり、できるだけ笑顔で接するようにしています。人間は皆同じです。自衛官や警察官の中でも励ましてくれる方もいます。
 そして、意見が違っても、決して無理強いしません。次に会ったとき、また話を聞いてもらいたい、明日は署名してくれるかもしれないと考えます。
 終戦になり多くの村民が復員して来ましたが、夜になると戦場の延長のような話になります。中国、朝鮮、フィリピンなどで悪いことをしたことを全部話すのです。聞いていて恥ずかしくていられませんでした。今、悪いことをした証拠があるかないかという論争をしていますが、そんな問題ではありません。私の気持ちの中にはアジアの人たちに対する償いの気持ちもあります。
 
――今の時代をご覧になられてどう感じていらっしゃいますか
(蓑輪さん)
 一番気を付けなければならないのは国民がバカになることです。マスコミの責任が大きいですね。昭和の初めや小泉総理のときに一時バカになりました。そして今の安倍総理の下でバカになりつつあります。

――つい最近奥様が亡くなられ大変なところ、今日はどうもありがとうございました。これからもお元気でご活躍ください。

◆箕輪喜作(みのわ きさく)さんのプロフィール

1929年、新潟県東頚城郡松代町に生まれる。1946〜1990年、村の学校用務員として勤める。1995年、村の過疎化と老齢のため、東京都小金井市に移住。東日本歌人協会会員、「日本海」同人、新潟県歌人クラブ会員。現在、年金者組合小金井支部執行委員。「9条の会・こがねい」会員。著書に、歌集「学校用務員の歌」「母の歌」「春を待つ」「明日に向えり」「新しき街へ」「小金井の春」「足跡」。「山間豪雪地帯に生きる―1960年代新潟県松代町農村労働組合のたたかい」「歌文集 九条署名の一年」。


<法学館憲法研究所事務局から>
法学館憲法研究所はシリーズ「憲法とともに歩む」製作委員会の構成団体として「戦争をしない国 日本」の続編である「STOP戦争への道」を製作し、普及をすすめることにしました。読者の皆様のご参加をお待ちしております。



 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]