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今週の一言

 

「憲法手帳」に想いを託して

2014年6月30日



池田靖子さん(旭区「九条の会」(横浜市)事務局長)


−−−最初に、旭区「九条の会」ができたきっかけや、会の特徴などについて紹介してください。

 私たちは、ごく普通の地域の「九条の会」です。先日、6月10日(2014年)に9人の呼びかけ人による全国「九条の会」が10周年を迎えました。私たちは、全国「九条の会」が立ち上がった翌年の2月に発足したので、一〇周年は来年の2月になります。私たちの「九条の会」の世話人には法律の専門家はいません、みんな一般の市民です。旭区「九条の会」には、9つの「九条の会」がありまして、例会が2カ月に一度行われ、事務局会議が毎月行われています。細かい実務は、「事務局相談会」という会合を4人のメンバーで開いており、民主的に組織されています。様々なアイディアが、色んなところから湧いてくる、そしてそれについて話し合える体制が出来ているのです。

−−−主にどの様な活動をされているのですか?

 最近では、駅前で宣伝活動を行なっております。希望が丘駅、二俣川駅、三ツ境駅などで、様々な方が発言しています。沢田研二さんの「我が窮状(きゅうじょう)」や桑田佳祐さんの「ピースとハイライト」などをBGMに九条を守ろう、と呼びかけているのです。もう5回になります。賑やかに、それでいてゆったりと活動しています。
 そんな中で、「憲法手帳」を作ろう、という話になりまして、今年(2014年)4月に発行しました。きっかけは、他の「九条の会」で成人式に手帳を配った話を聞いたことです。それなら、私たちも憲法を手帳にして若い人に配ろう、ということになりました。と言っても「若い人は憲法なんて読まないだろう」とか「いやいや、だからこそ読ませるんだ」といった喧々諤々の例会の話し合いを経て形になったのですが。それも市民が作る「九条の会」ならでは、ではないかと考えています。みんなで民主的に話し合って、討論しあって形にしていく。ここに意味があるのだと私は考えています。

−−−「憲法手帳」に対する思いについてお聞かせください。

 自分たちが中高年で、若い人へのアプローチが足りなかったと思っていた時に思いついたのが「憲法手帳」でした。当初は、憲法そのものではなく、今の「危うい情勢についての解釈」を載せようといった意見もあったんです。でも、やはり最初に届けるのは「憲法」そのものだろうと。自分たちの思いを込めた「手離しちゃ、ダメなんだよ」というキャッチコピーと共に、かわいい青空カラーのデザインの手帳を作ったのです。そして手帳のあちこちに、美しいイラストとキャッチコピーをいれました。
 ターゲットとしては、中学生まで考えました。場合によっては、小学生にも読んでもらいたい。そのために、漢字にはルビを振りました。ええ、すべての漢字にです。そして、各条文にタイトルを入れようという話になりました。すべての条文にタイトルを入れ、内容を理解しやすい形にしたのです。

−−−作ってみて、市民の反応はどの様なものでしょうか?

 実は大変うれしかったのは、近くの保育園の園長さんが150冊注文してくださったのです。関わっておられる4つの保育園の保育士さん150人に渡してくださって、憲法を生かして子どもを育ててもらおうと考えてくださったのです。また、ある先生を通して横浜国立大学のたくさんの若い学生たちに、憲法手帳を届けることができました。先生と私たちは、学生たちに憲法や人権などについて話をし、「幸せに生きる道具」として憲法手帳を使ってほしいと伝えました。
 ゼミで討論がなされた後で、感想をまとめたものを先々に見せていただけることになっています。
 また、「九条の会」の賛同者たちは、家族・友達・知人に渡したり、旭区以外の人にも届けてさらにその友達に広がるなど、あちこちで「憲法手帳」を使っていただけるようになっています。そろそろ在庫もなくなってきたので、増刷も視野にいれているところです。やはり憲法が危ないという意識があるのでしょう。手に取っていただくと、本当に読んでみてよかったと言ってもらえます。

−−−憲法に普段触れない人にとっては、手帳を持っていることで意識が変わりますよね。

 そうなんです。そういってもらえることも嬉しいのですが、実は私自身が一番意識が変わったのです。ルビを振る作業を行うことで、4回通して憲法を読み直しました。私自身が教師として子供たちに憲法を教えてきたのですが、改めてじっくり読み返してみて、日本国憲法のすばらしさを再確認しました。人間の尊厳を学び直し、条文の「すべて国民は」「何人も」の表現を意識して読みながら、現実との乖離を深刻に考えました。そして、いかに大切な憲法であるのかを、噛み締めました。
 いま、この憲法を広めるチャンスなのかもしれません。情勢が厳しく、国を動かす政治家もこぞって改憲に靡いていますが、市民レベルで憲法に対する意識をしっかり持つことが大切だと思います。私たちは市民ですから、押しつけではなく地道に、且つ断固として行動していきたいと考えています。


◆池田靖子(いけだやすこ)さんのプロフィール

大学はお茶の水女子大学児童学科で、児童心理・児童文化などを学び、東京都で小学校教師を約30年、その後、東京都教職員組合、全日本教職員組合、全国労働組合総連合などの女性部役員を担い、育児休業や介護休業、男女共同参画基本法などの数多くの制度や法律の実現に奮闘してきました。
現在は、民主教育研究所「ジェンダーと教育」研究委員会に属しており、女性の地位向上、男女平等、ジェンダー平等の実現を願って、地域でさまざまな市民活動をしている。





 
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