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意見を交わし合い、自分の言葉を構築する

2014年7月28日



元山仁士郎さん(集団的自衛権と憲法解釈変更について考える学生有志の会)

 

 初めまして。私は国際基督教大学3年の元山仁士郎といいます。今日はこの場をお借りして、私の関わっている「集団的自衛権・憲法解釈変更について考える学生有志の会」についてお話したいと思います。

■「集団的自衛権・憲法解釈変更について考える学生有志の会」とは

 まず、私たちは今回の安倍政権の決定に対し「反対する」という明確なスタンスを取っている訳ではありません。しかしこの問題は、戦後70年近く続いてきた日本の国としてのあり方を大きく変えるものであり、その決定に賛成するか反対するかに関わらず、この国に生きる存在として根本から考えていかなければならないものです。そのため私たちは「考える会」として―つまり賛成にしろ反対にしろ、その根拠を明確にし、意見を交わし合い、自分の言葉を構築する過程を重視することを目的として―集まりました。
 会結成の経緯としては、元々SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)(注)の主催する学生デモを通じて出会った学生たちがこの問題について関心をもち、せっかくだから多くの人と考えようということで始まったのがきっかけです。

■今回のアクションについて

 私たちが今回行ったのは、この問題について考えるシンポジウムを、色々な大学のサークルと共催するということです。その時に各大学での取り組みを「連続シンポジウム」としてシリーズ化しました。この理由は2つあって、一つはフライヤーの統一やメディアリリースなど、話を大きくして社会的なインパクトを引き起こすこと。もう一つは、プレゼンテーションを作る過程により多くの学生に関わってもらうことでその質を高めることです。
 具体的な成果は以下の通りです。6月21日に早稲田大学で第一回目が開かれ60人が、23日の明治学院大学では120人が集まりました。その翌日の国際基督教大学では70人が集まり、2名のゲストを交えて議論しました。7月2日にはフェリス女学院大学で開催され、80名の学生が話に聞き入ったそうです。また関西圏では、17日に関西学院大学で50人が集まりました。

■連続シンポジウム

 私は国際基督教大学の学生団体API(Action for Political Issues)と協力するかたちでシンポジウムを開きましたが、上の「連携」の効果はかなりありました。一つはメディアうけが良かったことです。事前告知の新聞記事を読んで参加してくれた学生も多く、当日の様子はTVにも取り上げられました。またプレゼンテーションを作る過程で普段は聞けないようなコメントを貰えたのも大きかったと思います。私は専門が政治学・政治理論なので、安全保障論を研究している学生や経済学を勉強している学生からのコメントなどはとても刺激的でした。
 シンポジウムの内容については、国際基督教大学ではゲストの方を2名お招きして積極的な議論が交わされました。例えば軍事ジャーナリストの田岡俊次さんのお話は15事例に踏み込みつつ、更に中国との学術間・経済間の結びつきの強いアメリカの立場としては中国を「仮想敵国」と公言してほしくないのではという意見もあり、非常に参考になりました。
 また個人的には、私は沖縄の普天間出身であり基地問題に関心があります。基地問題は、その安全性や秘密の多さ、「軍隊」というものの孕む暴力性や離島への基地増設など、「沖縄」という土地の負わされる非常に構造的な問題です。しかし、今回の決定によりそれまで問題とされてきた「米軍」が「自衛隊(もしくは国防軍?)」にすり替わることにより沖縄の基地負担の構造が固定化してしまうことが考えられます。

■今回のアクションを通じて

 今回特に考えさせられたのは、この問題についてどうアプローチすればいいのかということでした。基本的にこの問題は2つのレベルから議論がなされており、一つは立憲主義、もう一つは集団的自衛権の行使についてです。しかし立憲主義のような問題はどうしても「机上の空論」として考えられがちで、それよりも集団的自衛権の方がより「具体的な問題」として捉えられやすい。「安全保障環境の変化」が度々注目され「憲法は現実を前にそのままで良いのか」という議論が度々出てくるのは、そういった人々の心情を反映しているような気がします。
 しかし、だからこそ私たちは「考える」ことから始めなければならないのだと思います。根拠を明確にして、意見を交わし合い、自分の言葉を構築する。集団的自衛権は果たして必要なのだろうか、政府の説明は理にかなっているのだろうか、「立憲主義」をないがしろにすることの怖さはどこにあるのだろうか。戦後70年を近く迎える日本では日に日に戦争を知っている世代が亡くなっていき、その記憶を次の世代に継承していくことが大きな課題となっています。積極的平和主義。しかし私たちは、曖昧な言葉をより厳密に考える必要があります。
 今回特に私が驚いたのは、それまで政治に興味が無いと思っていた友人も多く参加してくれたということ、そして、LINEやTwitter、Facebookを通じて、今後情報を教えてほしい、活動に参加したいという声が届いたということです。今後の具体的な活動内容はまだ未定ですが、一度ではなく何度でも、日常の中、生活の中で「考える場」を設けることが重要なのかなと考えています。

注:HPはhttp://urx.nu/ap40。なおHOME画面の「EMERGENCY」は、連続シンポジウムでの発表・討論がベースにになっており、本稿では踏み込めなかった立憲主義の問題についても触れている。

◆元山仁士郎さんのプロフィール

沖縄出身。現在国際基督教大学3年。専攻は政治学・政治理論。学生団体API(Action for Political Issues)所属。また、SASPL、集団的自衛権と憲法解釈変更について考える学生有志の会のメンバーとしても活動中。




 
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