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砂川事件裁判 −公平な裁判でなかった最高裁判決は無効 再審を請求します

2014年9月8日



土屋源太郎さん(「伊達判決を生かす会」共同代表)

 

 第二次大戦後、ヨーロッパでは米・英・ソの勢力争いが始まり、さらにそれが冷戦へと拡大し、抑止力の名のもとで原水爆実験、航空機をはじめとする近代兵器の開発など軍拡競争が激しくなりました。1950年、朝鮮戦争が始まり、極東における緊張が高まり、アメリカ政府は日本の東アジア前線基地化を計画し、大型飛行機の発着のための駐留米軍基地の拡張を推し進めました。米軍立川基地の拡張もその一つであり、それに反対して闘ったのが砂川闘争でした。
 1955年、56年の闘いは地元反対同盟とそれを支援する労働者・学生など延べ1万人を超え、機動隊と激突し負傷者も多数出るなかで、土地収用のための測量を中止させました。
 1957年の闘いは基地内の土地強制収用に反対する闘いであり、抗議のため200〜300人の労働者・学生が基地内に侵入しました。9月22日、23人の労働者・学生が基地に侵入したとして逮捕され、うち労働者4人、学生3人が安保条約に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反で起訴されました。

■砂川事件裁判 米軍駐留違憲・伊達判決

 砂川裁判は駐留米軍が我が国憲法9条に違反しているかが問われる憲法裁判でした。
 1959年3月30日、東京地裁の一審判決は「米軍が日本に駐留するのは、わが国の要請と基地の提供、費用の分担などの協力があるもので、これは憲法第9条が禁止する陸海空軍その他の戦力に該当するものであり、憲法上その存在を許すべからざるものである」として、駐留米軍を特別に保護する刑事特別法は憲法違反であり、米軍基地に立入ったことは罪にならないとして被告全員に無罪判決を言い渡しました。これが伊達判決です。60年安保条約改訂交渉を進めていた日米両政府はこの判決に驚愕し、この判決を早期に棄却させる手段として、検察は最高裁に直接上告する「跳躍上告」を行いました。
 最高裁の審理は、田中耕太郎長官のもと短期間で行われ、1959年12月16日、「一審判決を破棄し本件を差し戻す」判決が出されました。最高裁は日米安保条約とそれにもとづく刑事特別法について、その「違憲なりや否やの法的判断は、司法裁判所の審査には原則としてなじまない。明白に違憲無効と認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものであって、右条約の締結権を有する内閣および国会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民の政治的判断に委ねられるべきものである」(統治行為論)ということで、憲法裁判であるにも関わらず、憲法審査権を放棄したのです。そして、差し戻し裁判では被告人に2000円の罰金を科し、私たちは有罪なりました。

■違法な最高裁判決 米大使と裁判長の謀議

 2008〜2013年に日本の研究者3人により、アメリカ国立公文書館で、日米が砂川裁判伊達判決を破棄するため密議密約していた内容が発見されました。それは当時のアメリカ・マッカーサー大使が本国に報告した公電公文書18通に示されていたのです。
 公電等によると伊達判決が出された翌日、1959年3月31日の早朝、マッカーサー大使が藤山外相と会い、大使から跳躍上告が提案され、外相はそれを受け入れ、閣議にかけると約束していたのです。
 これを知った私は、日本側にも行政文書があるのではないかと考え、元被告人の坂田氏・武藤氏にも呼びかけ、2009年3月、外務省、法務省、内閣府、最高裁に文書の開示請求を行いました。しかし「文書は存在しない」などの理由で不開示でした。それに対する異議申し立てもしましたが、審査会も「不存在」として不開示を認めました。

■なぜ再審請求をするのか

 最高裁長官、砂川裁判の裁判長であった田中耕太郎はマッカーサー米大使及び公使と三度にわたって、「この事件については優先権が与えられているので数ヶ月で結審できる」「15人の裁判官全員一致で一審破棄し、少数意見は封じ込める」「条約は憲法の上位にある、などの議論は進めている」などと会談していました。
 裁判の当事者と云えるアメリカ大使と裁判を指揮統括する裁判長が、審理している最中の裁判について密議密約していたことは、司法の中立を犯す犯罪行為です。「刑事被告人は公平な裁判所で裁判を受ける権利を有する」とした憲法37条に照らし、最高裁の審理は明らかに公平ではありませんでした。また審理の秘密保持を規定した裁判所法75条に違反した田中裁判長は犯罪者です。
 それで元被告人である、私・土屋、椎野、武藤と故坂田氏の長女の4人は、今年6月17日、伊達判決を破棄した不公平な最高裁判決は無効だとして再審請求書を東京地裁に提出しました。
 私たちは2009年6月、安保条約に基づく米軍駐留は違憲とした伊達判決の意義を若い人をはじめ多くの人に知ってもらいたいと考え、多くの仲間と共に「伊達判決を生かす会」を結成し、沖縄や横田、厚木などで基地反対で闘う人たちとの連帯を広げ、反原発など人権と平和を守る運動に積極的に参加してきました。安倍内閣は憲法解釈を変更し、集団的自衛権を行使できるようにする閣議決定を行いました。その理由に砂川裁判最高裁判決の一部を切り取って使っています。こんなインチキは許されません。戦争をしない国から戦争ができる国に変えることは絶対阻止しなければなりません。
 私たちが6月17日の国会開会中に再審請求を行ったのも、集団的自衛権の行使に反対する闘いの一環でした。再審の開始が決定されれば、再度司法の場で安保条約に基づく米軍駐留の違憲性を主張し、統治行為論の不当性を明らかにし、司法の公正公平を訴えることができます。いま再審開始決定を求める署名(PDF)を集めています。皆様の支援が必要です。よろしくお願いします。

連絡先 伊達判決を生かす会 http://datehanketsu.com/
〒102-0085東京都千代田区6番町1 自治労会館2F 自治体退職者会気付 電話03-3262-5546




 
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