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秘密保護法の施行について

2014年10月20日



藤原家康さん(弁護士)

 

 2013年12月6日に成立した、特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」といいます)が、2014年12月10日に施行されることになりました。
 秘密保護法により、行政機関の長は、防衛、外交、スパイ、テロに関する広範な情報を秘密に指定することができます。また、秘密指定の期間は原則として最長60年間まで、情報によっては無期限となっており、極めて長期にわたります。そして、秘密指定の解除権は市民になく、また、秘密を取得し、または取得しようとすることは、10年以下の懲役という重い刑の対象となります。このように、秘密保護法では行政機関の長による秘密指定が無限定に認められており、これが民主主義の不可欠の要素である情報の自由な流通を妨げ、市民の知る権利、報道の自由、取材の自由を侵害し、憲法に違反することは明らかです。
 秘密保護法は、憲法から見て、成立してはいけない法律です。ここまで直接的に憲法に反する法律が本当に成立しようとしていることに、大変驚くとともに、とにかく何かしなければならないという思いを強く持ちました。きっと、そのような思いを多くの方が持ったからこそ、同法の成立の際には、近年まれに見るほどに多くの市民の強固な反対があったのだと思います。なお、社会運動には無縁だった私も、デモ、ヒューマンチェーン、院内集会などで国会周辺に行く機会が増えました。また、秘密保護法に反対する街頭での活動に参加するとともに一人でビラを作成し街頭で配布したりしていました。街頭で配布するビラは、10人に1人くらい、と、予想していたよりも受け取って頂いたように思います。このように書くと特異なことをしている感じがしなくもありませんが、実際には決してそのようなことはないと思います。あるべき主張を他の人に、不特定多数の人に行う、というのは、日本の文化にはかなり反するようですが、このようなことも、憲法から見れば大切だし、憲法から見れば全然おかしくない、という確信をしていました。
 このように市民の反対があったにもかかわらず、秘密保護法は成立しました。しかし、成立したから同法への反対は終わり、ということにはなりませんでした。廃案を求める市民の活動は、同法が成立した時から、廃止を求める活動になっただけでした。私は、有志で、車で移動しながら街頭での宣伝活動を行ったりもしました。
 その中で、本年12月10日、ついに同法が実施されようとしています。同法に関する上記のような根本的な問題点は残ったままです。
 このような時こそ、市民は、廃止や施行延期に向けて反対し続けなければならないと思います。そして、市民が広く問題点を共有するための何らかの行動を、一人一人がした方がよいと思います。それ以外に、この異常事態への対処方法はありません。そして、さらに多くの市民が同法の本質的な内容を知ったら、そして、同法に毅然として対処したら、同法は廃止しかなくなるはずです。
 安倍政権との関係では、秘密保護法のみならず、集団的自衛権に関する閣議決定、自民党の憲法改正草案など、重要な憲法問題が多くあります。これほどに憲法をにぎわす政権も、珍しいですね。
 上記の行動には様々なタイプのものがあり、それは、いわゆる、一部の人が行っている運動と言われるものであるとは限りません。例えば、昨今、カフェで弁護士が憲法の講演をし参加者もざっくばらんに話をする、という形態も増えているようです。私も、このような機会で憲法のお話をさせて頂いてもいます。ぜひ、あらゆる形で、私たち一人一人で、さらに憲法について考える機会を広げていきましょう!
 憲法について考える機会を自分の周囲の人に自分なりに広げていく、気が向いたものに単発的に参加する、など、様々な方法がありますが、いずれにせよ、堅苦しくせずに気軽にやっていく、ということは大切なことだと思います。
 これだけ政治が憲法の歯止めなく動いていても、私には、不思議と、悲壮感は全くありません。なぜなら、人は生まれながらにして人権を持っており、その人権は、他の具体的な権利や利益と衝突しない限り、制約されることはないからです。そのことは、当然のことながら、時の政府が何と言おうと、変わるものではありません。私たちは日々に追われていますが、是非、人権を、「不断の努力によって、これを保持」(憲法12条)していきましょう。

◆藤原家康(ふじわら いえやす)さんのプロフィール

弁護士。藤原家康法律事務所代表。第二東京弁護士会憲法問題検討委員会副委員長、公益社団法人自由人権協会監事、秘密保護法対策弁護団事務局長。





 
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