法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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今週の一言

 

2015年新年にあたって

2015年1月1日



伊藤真(法学館憲法研究所所長)

 

 読者のみなさん。新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 今年2015年は戦後70年の年となります。戦後50周年の終戦記念日にあたって、当時の村山内閣は、日本が過去における植民地支配と侵略によって諸国民に多大の損害と苦痛を与えたことを再確認し、謝罪する、いわゆる村山談話を閣議決定しました。村山内閣以降の日本政府は、村山談話の立場を踏襲してきました。ところが、「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍首相は、この村山談話の見直しを検討しています。戦前・戦中における日本の国家のあり様を反省し、自由や民主主義、平和を基調とする日本国憲法によって形づくられた日本社会を維持し発展させるのか、それともその「脱却」への道を歩むことになるのか、今年はその岐路になると言えます。
 今年は日韓国交正常化50年の年でもあります。かつての戦争の歴史を否定するかのような安倍政権の歴史認識に対する韓国社会の警戒感は強く、日韓関係の今後の帰趨は流動的です。それは日中関係においても同様です。戦前・戦中の社会への回帰を志向するような安倍政権の姿勢は、いまやアジア諸国だけでなく、欧米諸国からも、日本で強いナショナリズムが台頭しているのではないかとの懸念が出てきています。
 安倍首相が率いる自公政権は昨年12月の衆議院選挙において、議席の3分の2を維持しており、衆議院では憲法改正の発議要件を満たしているといえます。安倍首相は昨年7月1日に集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。今年はその閣議決定に基づいて自衛隊法などの改正や国家安全保障基本法の法制化を進めるとともに、安倍首相の念願である憲法の明文「改正」への取り組みも行われることになるかもしれません。日本社会はいよいよ大きな転換点を迎えることになるのではないでしょうか。
 ただし、今、安倍政権のこうした憲法破壊ともいうべき姿勢に対して、多くの国民から抗議の声が上がっています。また、急激な円安や実質賃金の低下などをもたらしている経済政策や原発再稼動に向けた動きや、米軍基地辺野古移設など、安倍政権の政策をめぐっては、国民から疑問の声が上がっています。そこに安倍政権が進めている政治を大きく転換させる展望を見出すこともできそうです。

 こうした情勢の中で、自由や民主主義、平和などの憲法の考え方の研究を発展させ、その成果を社会に広げていることは、日本の政治と社会をよりよい方向に変えていく大きな力になると信じています。当研究所は、今年も読者のみなさんとともに活動を発展させる決意です。
 当研究所は昨年も、WEBサイトで毎週、様々な方面の方々による憲法に関する発言=「今週の一言」「憲法関連書籍・論文情報」「シネマDE憲法」「憲法をめぐる動向」を発信し、また浦部法穂顧問による、「憲法時評」に続く「大人のための憲法理論入門」の連載を始めました。英語ページや、韓国語ページでの情報発信もすすめました。
 当研究所は「法学館憲法研究所報」1011も発行しました。
 昨年は、私、伊藤も引き続き全国各地で憲法の講演活動を行うとともに、『現代語訳 日本国憲法』(筑摩書房)、『やっぱり九条が戦争を止めていた』(毎日新聞社)、『10代の憲法な毎日』(岩波書店)といった書籍を出版するなど、多くの執筆活動も手がけました。
 今年もこうした活動を継続・発展させていきます。なお、今年は当研究所としても新たな書籍の刊行を予定しています。公開研究会なども企画・実施し(1月31日には「集団的自衛権の違憲性」というテーマで開催します)、憲法関連裁判への学術支援もすすめます。
 こうした活動を読者のみなさんとともに発展させることをお誓いし、新年のごあいさつとさせていただきます。

◆伊藤真(いとう まこと)

法学館憲法研究所所長。
伊藤塾塾長。弁護士(法学館法律事務所所長)。日弁連憲法問題対策本部副本部長。「一人一票実現国民会議」発起人。
『伊藤真の憲法入門 第5版』(日本評論社)、『中高生のための憲法教室』(岩波書店)、『憲法が教えてくれたこと −その女子高生の日々が輝きだした理由』(幻冬舎ルネッサンス)、『憲法は誰のもの? −自民党改憲案の検証』(岩波書店)、『赤ペンチェック 自民党憲法改正草案』(大月書店)、『現代語訳 日本国憲法』(筑摩書房)、『やっぱり九条が戦争を止めていた』(毎日新聞社)、『10代の憲法な毎日』(岩波書店)など著書多数。
中高生のための映像教室「憲法を観る」を監修。

 




 
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