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憲法ブックレットを作成し広げる

2015年2月16日



菊地友子さん、山崎翠さん、渡辺百合さん、小林和さん

 2014年12月、NPO法人 日野・市民自治研究所と国分寺・市民憲法教室のメンバーによって『憲法ブックレット「教育」「労働」「原発」「平和」のはなし』が発刊されました。
 今回は、このブックレットをつくられたメンバーである菊地友子さん、山崎翠さん、渡辺百合さん、小林和さんにうかがった内容をまとめさせていただきました。

ーまず、日野・市民自治研究所と国分寺・市民憲法教室について教えて下さい。

○ 日野・市民自治研究所は、一人ひとりが自治力のある市民、主権者としての自覚ある市民になるべく、学習と研究を進めています。地方自治を謳う日本国憲法を大事にしよう、日本国憲法の理念を広めようということで、年間10〜11回の憲法講座を中心に、「9条と基地を考える研究会」「教育研究会」「都市計画研究会」などの常設研究会があります。
○ 国分寺・市民憲法教室は、私(山崎翠)の夫の山崎眞秀(憲法学者)が、憲法理解の裾野を広げたいとの思いでつくった寺子屋風の憲法教室です。ある問題が生じた時に開催される市民学習会は多々あるけれども、「自立した市民」になるためには、日本国憲法の歴史や成り立ちを含め、憲法の理念と精神をしっかり学ぶことが重要であるとの考えから、時事問題を題材に系統的な憲法講義を行ってきました。眞秀が他界した後もその遺志を継ぎ、講師に様々な方をお招きして教室を続けています。
 

ー日野・市民自治研究所と国分寺・市民憲法教室が共同でブックレットを作ることになった経緯を教えて下さい。

○ 国分寺・市民憲法教室では96条から改憲するという話が出たとき、これは大変なことだと居ても立ってもいられず、何をすべきか皆で色々と議論をしました。音楽会を開いたらどうか、大きな集会を開いたらどうかという案も出されました。しかし、どうも一過性のイベントのような感じが否めずしっくりときませんでした。
 市民憲法教室で学ばれた方は既に延べ500人を超えています。また、三多摩にはほかにも憲法学習会を開催しているところが色々とありました。その中で、恒常的に憲法学習会をされていた日野・市民自治研究所と話し合い、市民憲法教室の7人と市民自治研究所の5人が一緒に、市民目線からの憲法ブックレットを自費出版することになりました。

ーブックレット作成において、重視したことをお聞かせ下さい。

○ 若い方が手に取った時に興味をもって最後まで読んでもらえる本を目指しました。憲法問題を詳しく扱った本はたくさんありますが、憲法とは・・・から始まる本にしてしまうとそれだけで拒否反応を示す方も多いようですから。
○ 若い方、特に若いお母さんとかが関心を寄せる4つの身近な心配事「教育」「労働」「原発」「平和」に関する問題を、一般市民の目線、感覚でわかりやすく表現し、憲法の素晴らしさ、「憲法は生活の力になるんだよ」「人の役に立つんだよ」ということが伝わるように工夫しました。

ーブックレットの作成で大変だったことをお聞かせ下さい。

○ 執筆は、4つのテーマごとに担当を決め、担当者で議論を重ねて内容を決めていったのですが、多くの方々に紹介したい沢山の事柄は、担当者それぞれの提案が生活体験にもとづく重要な問題なので、限られたページに何を掲載するか、またそれをどのような言葉で表現するかは非常に難しい選択で、意見が衝突することも多かったです。
○ 憲法学的に非常に重要な判決であっても、それは多くの一般市民にとっては昔のことだったり、自分の生活と結びつかなかったりすることもあるわけです。
 「教育」でいえば、紹介する裁判を家永教科書裁判の杉本判決にするか、七生養護学校事件にするかだけでも2回議論をしました。専門的な内容をいかに市民の視点、感覚で表現するか、完成までに20回を超える議論をすることになりました。

ー「平和」部分の執筆で特に大変だったことはありますか?

○ 「平和」も、何を書くべきか決めるのに苦労しました。集団的自衛権や特定秘密保護法など現代的な重要問題も沢山ありますし、戦時の話なども特筆すべきものは沢山あります。
 しかし、戦争の話を延々としていては内容も暗くなってしまいますし、多分若い人には響かないだろうということになりました。憲法を語るからには希望がなければいけない、また、何ができるのかを具体的に提示することが大切だろうという事で、「平和とはなんだろう」という根本的なアプローチをしたうえで、『平和を守るために、いまできること』を具体的に紹介するようにしました。

ー「労働」部分の執筆で特に大変だったことはありますか?

○ 私は元々都立高校の教員をしていましたが、教え子から届いた一通の手紙により、今回「労働」を担当することにしました。
  この生徒は、大変まじめで優秀な学生だったのですが、就職して出世すると、会社でリストラ担当にされてしまったんです。良心の呵責から精神を病んでしまって、彼自身も退職しました。
 生活の基盤である労働の場が、いのちを大切にしないのです。政治も機能していません。新自由主義政策の下、多くの若者が非正規雇用で疲弊しており、大企業に就職し、出世しても彼のようにされてしまうこともある。せめて就職する前に労働の問題を知り、憲法を知っておいて欲しいという思いで、専門的知識はありませんでしたが「労働」を担当しました。
 執筆の間にも労働環境を悪化させる法案が次々に出てきて、どこで原稿を終わらせるか、また字数に制限があるためカットした部分は果たしてそれでよかったのかと悩みました。

ー「原発」部分での大変だったことはありますか?

○ 原発の担当者は今日来ていませんが、実際に原発問題で住民投票を行った巻町に何度も取材に訪れました。紹介したいエピソードが沢山あったのですが、紙面の都合上取捨選択しなければならず、大変そうでした。

ーブックレットの普及状況と読んだ読者の反応はいかがでしょうか。

○ ブックレットは当初1000冊作ったところすぐに完売してしまい、現在3刷り、計3000冊を発行しています。
○ 喫茶店3箇所に置いてもらっていますがすぐになくなります。20代の美容師さん、郵便局の若い局員さんに話すと、とても関心を持ち、「憲法のこと知らないから是非欲しい」と言います。
 高校のある教室で、1人の生徒が「わかりやすい憲法の本が出た」と言ってこのブックレットを友達に見せたところ、「俺もその本知ってる」と言ってこのブックレットを出して話題になったという話もあります。
○ 子どもの本の専門店にも置いてもらっています。保育者が憲法のことをしっかり理解していなければダメだということで、保育士さんの研修用テキストとしての注文もいただきました。また、憲法学習会の読み合わせ用のテキストとしての注文もあります。
 感想は、日野・市民自治研究所の機関紙『つうしん』でも紹介していますが、大勢の方から大変高評価をいただいています。若い方から、「知らないことが沢山あった」「読みやすかった」などのご意見も多いです。
 一方「内容が洗練されすぎていて自分だけで読むと心に残らない」「社会に虐げられている者にとってみると、自己肯定感はあきらめに通じかねないのではないか」などの批判もあります。一冊ブックレットを作ってみて色々な課題がみえました。読者の皆様のご意見を真摯に受け止め次につなげていきたいと思っています。

ーブックレットを作成しての感想

○ 市民が本を執筆するというのは大変なことですが、文字にすることで学ぶことは非常に多かったです。話したことは消えてしまいますが、書いたものは残りますし責任も生じます。資料もたくさん読むことになり、理解が深まります。また、文字にすることで、それを様々な人が検証し、議論することができるようになるということもあります。
○ 作成に取り掛かってから完成までに1年半本当に大変でしたが、その間、日本中の人たちのことを何度も何度も考えました。ブックレットを作ることも運動です。
 このブックレットは平和の鳩です。近くの人にしか伝えられなかったことも文字にすることで、全国各地に飛んでいきます。
 私は、憲法は国民がそれを自らのものにして使っていくと言う意味で「護る」ものだと考えているのですが、そうではなく、単に「守る」ものと思っている人が多いのが現状であるような気がします。固い固い地面にしとしと降り注ぐ雨のように憲法が多くの人々の生活に沁みていくよう、今後も憲法の普及に取り組んでいきます。

『憲法ブックレット 多摩発・・・・・あなた宛て「教育」「労働」「原発」「平和」のはなし』
についてのお問い合わせ先
NPO法人 日野・市民自治研究所
〒191-0011 東京都日野市日野本町3-13-16
ゆのした市民交流センター内
電話・FAX 042-589-2106
E-mail





 
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