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ドラえもん社会ワールド「憲法って何だろう」の監修から見えてきたこと

2015年4月27日



西田美樹さん(弁護士・東京弁護士会憲法問題対策センター副委員長)


©藤子プロ・小学館

 小学館から上記書籍が4月に出版された。この本は、ドラえもんのまんがを足がかりにして、憲法の成立や内容をわかりやすい言葉で説明した本である。小学館から東京弁護士会に監修の依頼があり、東京弁護士会で憲法を担当している委員会である憲法問題対策センターでチームを作り、監修に携わった。
 監修して、「ドラえもん」はすごいということを思い知った。この本のために書き下ろしたのではないかと思うくらいテーマにぴったりのまんががあるのだ。そのまんがが導入になっているから、次の内容部分がさぞかし頭に入るだろうと思った。
 内容については、小学校高学年くらいから十分に読むことができるわかりやすい語り口で書かれている。しかも、憲法の成立からしっかり書かれている。一番最初の章の「憲法って、なに? 憲法の歴史をふりかえってみよう」で出てくる小見出しは「国民をひどい目にあわせないように、国の権力を制限するのが憲法」である。立憲主義を一番最初に書いているあたり、安倍首相にも読んでもらいたい本である。また、押しつけ憲法論についてもしっかり反論している。
 日本国憲法前文については、「短いけれど高い理想がこめられた文章だから、声に出して読んでみよう!」と呼びかけている。あなたもぜひ声高らかに日本国憲法前文を読んでみよう。「日本国民は」で始まる文章である。ちなみに、自民党憲法改正草案は「日本国は」で始まる。肝心の日本国民はというと、義務を負うものとしてしか登場しない。立憲主義や基本的人権の尊重などは前文からは読み取れない。前文を読んだだけでも、現行憲法と自民党憲法改正草案との違いは歴然としている。
 「基本的人権と平等」の導入部分のまんが「のび太の結婚前夜」は思わず涙してしまう名作。ぜひ買って読んでほしい。
 と、この調子で内容を説明していると、買ったときのお楽しみが減ってしまうので、あとがき(木村草太さん・首都大学東京法学系准教授)から一言紹介する。「ジャイアンに勝つのに必要なのは、腕っ節の強さではありません。ジャイアンに冷静さを取りもどさせる、強くて優しい知恵です。カッとなったときに憲法に目を向け、冷静な気持ちを取りもどすことが、私達一人ひとりの幸せにつながるのです。」
 では、そんなすばらしい本の監修をした私の憲法活動について少し紹介をする。
 主な活動は、東京弁護士会の憲法問題対策センターを通じた活動である。街頭宣伝を月に1回くらいのペースでやっている。今は、集団的自衛権の行使容認に反対し、安全保障法制(戦争法制?)に反対する活動がメインである。宣伝カーの上で反対を訴えたり、チラシをまいたり、署名を集めたりしている。
 署名については少し思うところがある。署名というのは、署名している市民にとっては政治への参加だということを忘れてはならないということである。自分が弁護士でなかったとき、小心者だったもので、署名をしたら公安に付け狙われるのではないかとか、会社にばれたらどうしようとかドキドキしながら署名をしていた。そんな「こわい」思いをしてまでも署名せずにはいられない、やむにやまれぬ思いをきちんと受け取りたいと思っている。街頭宣伝をして、チラシ配りをしても砂漠に水をまくような思いがするときもあるが、どこかでだれかが聞いてくれていると思ってやっている。
 憲法出前講座として、小中高校に憲法の話をしに行くこともある。憲法の判例を題材として、憲法の基本理念をわかってもらおうというものである。判例は、中高の社会科の教科書に載っているものを題材としている。憲法訴訟が起こるに至った原告の思い、それを取り巻く社会の情勢をきちんと伝えながら対話も交えて行っている。人気の判例は、ハンセン病訴訟や芝信金男女昇格差別訴訟などである。興味のある方は東京弁護士会(広報課内)法教育センター担当TEL 03-3581-2251まで。http://www.toben.or.jp/manabu/kouza.html
 また、弁護士会とは別に個人でも活動している。フェイスブックなどで参加者を募って、憲法茶のみ話と題した憲法セミナーを不定期で開催している。これは、憲法改正をいう以前に、今の憲法のことを知っている人があまりにも少ないという肌感覚から始めたものである。今の憲法のことを知らずして、改正論議をせよというのは賛成にしろ反対にしろあまりに乱暴である。今の憲法が何を書いているか、一番大事なものは個人の尊重で、それを支えるために基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の三大原理があること、人権と統治は目的と手段の関係にあることなど、基本を丁寧に話している。
 このドラえもん本も役立てながら、憲法茶のみ話の活動も広げていけたらと思っている。

◆西田美樹(にしだ みき)さんのプロフィール

明治大学政治経済学部経済学科卒業。2001年弁護士登録。
板橋区で開業する唯一の女性弁護士。法律事務所の名前あざみ法律事務所は、あざみの花言葉が「権利」であるところから取った。
憲法を生活に生かすがモットー。好きな条文は憲法13条「すべて国民は個人として尊重される」と国会図書館法前文の「真理が我らを自由にする。」






 
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