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「資生堂に雇用責任を求めて闘う」

2015年7月20日



池田和代さん(資生堂/アンフィニ解雇事件原告)

資生堂/アンフィニ解雇事件の原告でいらっしゃる池田和代さんにお話を伺いました。

———訴訟の概要についてお聞かせいただけますでしょうか。

(池田さん)
 私たち7名は、資生堂とアンフィニに対し、解雇無効と従業員の地位確認を求めて裁判を行っています。
 資生堂は、解雇権濫用法理等の労働法上の規制を免れるために、本来、正社員が行うべき基幹的・恒常的業務に私たち非正規労働者を働かせてきました。
 資生堂の経営状態は好調で、過去最高の配当を実施するなどしていたにもかかわらず、2009年5月「在庫整理」の名の下、私たちを雇用していた派遣・請負会社であるアンフィ ニに減産通告をしました。アンフィニは就業時間の変更があったためと偽って、契約期間を短縮する書類にサインさせ、その後、希望退職を募集し応じる労働者がいないとなると、突然22人の従業員を解雇しました。さらに、一方的な降格や時間給の引き下げの撤回を求め、労働組合加入した2人を雇い止めしました。
 私たちは2000年頃から潟潟宴Cアンスと雇用契約を締結して、資生堂の鎌倉工場で働きはじめました。会社は途中でリライアンスからコラポレートになり、アンフィニに変わりましたが、仕事内容も働いている人も変わらず、口紅の製造に従事してきました。契約書はいつも形式的で、当時は、請負から派遣、派遣から請負に変わっていることも知りませんでした。これが偽装請負や偽装派遣だという認識はありませんでした。
 口紅を製造して検品する業務は、熟練度が求められ、これは3ヶ月から半年以上毎日鍛錬し、技能を習得しなければ資生堂の求めている製品の生産目標を達成することはとてもできません。本来、口紅の製造は正社員が行わなければならない業務です。資生堂は人件費を抑えるために、正社員と全く同じ業務、もしくはそれ以上の責任や能力を必要とする業務を、正社員の約半分の給料の非正規の労働者にさせてきたのです。
 そして、生産計画、受注量の調整のために、私たちを「減産通告」一本で解雇権濫用法理を追及されることもなく解雇したのです。
 解雇になった時、あまりの悔しさとショックで泣きはらしました。私はラインリーダーとして、誇りをもって、資生堂の指揮命令に従い懸命に働いてきました。正社員がやれない業務もきっちりとこなしてきたのです。それなのに突然解雇され、能力がないと烙印を押された気持ちになり、しばらく家族にも話せないほどでした。ですからこの訴訟は私の個人としての尊厳を取り戻す闘いでもあるのです。
 横浜地裁は、2014年7月アンフィニに対し、解雇回避努力義務も尽くしていないと、解雇権濫用法理を適用して、2009年5月に行った解雇及び雇止めは無効あるとし、現在も従業員であることの地位を認めました。また、未払賃金の支払いも命じました。未払賃金については、労働形態が時給制であったことと、資生堂からの受注量が減っているということを理由に通常賃金の5割しか認めませんでした。このことは非正規労働者を差別していることで納得できません。
 私たちはこの判決を納得できないと資生堂の雇用責任を求めて控訴し、現在東京高等裁判所で審理が進んでいます。同時に私達はこの6年間資生堂に対して話し合いの申し入れを何十回もしてきました。一度も受けられず団体交渉の申し入れさえ拒否されました。そこで、東京都労働委員会に「団体交渉拒否、不当労働行為救済申し立て」を行いました。

———現在派遣法が改正され、生涯派遣も珍しくない状況になるのではないかと危惧されますが、いかがお考えでしょうか。

(池田さん)
 現在、労働者の約4割が派遣、請負、パートなど、非正規の労働者だそうです。生産計画の変更や受注量の調整など、大企業がより利益を出すための一方的な都合によって、労働者の人生は大きく狂わされます。鎌倉工場では、火傷をしても事実上労災申請はできない状況で、雇止めを恐れ、みんな我慢していましたけれども、不安定な雇用は、労働者に劣悪な労働条件を強いることになります。国民ひとりひとりの生活が安定するような雇用を保障する労働法制にしていかなければ、本当の意味で豊かな国にはなりませんし、少子化問題も解決しないでしょう。
 ヨーロッパでは週35時間労働が確立しており、これで経済もまわっています。しかし日本は週に100時間から120時間の残業も当たり前です。グローバリゼーションの中で日本が発展していくためには、ILOの推奨するディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を実現していく必要があります。
 この訴訟を通じて、私たちだけでなく、労働者の権利、労働者の生活が少しでも改善されるよう頑張っていきたいと思います。

◆池田和代(いけだ かずよ)さんのプロフィール

台湾生まれで 本名は蔡美怜
1956年生まれ
26才の時に日本に留学
IBM桐原工業団地就職、出産で退職
2000年11月資生堂鎌倉工場就職
家族は夫と子供2人




 
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