法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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公民館・公共・表現の自由とは、市民が主役とは

2015年11月30日



武内暁さん(「九条俳句」市民応援団代表)

「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」

 この俳句は、2014年の6月に、集団的自衛権行使容認に反対するデモを見た埼玉県さいたま市の女性(原告)が詠んだもので、俳句教室の会員の互選により、翌月の公民館報に載せる句として選ばれました。三橋公民館は毎月発行する「公民館だより」の俳句コーナーに、館内で開かれている俳句教室で選ばれた作品を掲載してきたのですが、2014年の7月号では突如俳句コーナーを削除し、この俳句を不掲載としました。不掲載とした理由について市教委は「世論を二分する内容が含まれており、市の見解と誤解される可能性がある」などと説明していましたが、稲葉教育長は、句会の名前と作者の氏名も書かれているので、私個人としては市の意見だと誤解される恐れはないと考えているが、世論を二分しているものは、やはり掲載すべきではないとの見解を示しました。
 本来公民館は、社会教育機関であり、地域住民の教養の向上を図るために学習の機会を提供し、多様な情報を提供する役割を有する施設であり、「公民館だより」は原告らにとって貴重な開かれた表現の場であり学習の場です。この九条俳句の不掲載は公民館の「政治的中立」を口実にした言論封殺です。
 この事件を知った市民は、再検討の見直しや次号への掲載を申し入れ、様々な取り組みを行ってきましたが、掲載はされていません。
 そこで作者は、2015年6月25日、掲載拒否は憲法で保障された表現の自由(憲法21条)、学問の自由(憲法23条)、教育を受ける権利(26条)を侵害し、教育基本法16条、社会教育法12条、地方自治法244条2項及び3項、さいたま市公民館条例21条に反する行為であるとして、公民館だよりへの掲載と精神的苦痛に対する損害賠償を求め、さいたま地裁に提訴をしたのです。
 表現の自由や学問の自由、教育を受ける権利の保障というのは、民主主義の大前提です。様々な情報を得て、自由に学び、自由に発信し、他人と意見を交換してこそ、多様な問題についての理解が深まり、よりよい社会を構築するためのアイディアも出てくるのです。ですから、公権力による規制は極めて限られた範囲でしか認められず、特に世論を二分するようなテーマの表現こそ、市民は活発な議論をしなければならないわけですから、公権力の不当な干渉が許されてよいはずはなく、まさに主権在民・市民が主役の地域を取り戻さなくてはなりません。
 近年、表現活動に中立であるはずの公権力が、私的サークルの思想や表現内容によって表現の機会を奪う事件が次々と起こっています。「中立」とは多様な言論を保障し、ましてや「公権力」をチェックするのが主権在民の憲法です。
 2014年11月には、国分寺9条の会が「国分寺まつり」で憲法9条に関するパネル展示を行おうとしたところ、内容が政治的だということで出展を拒否されましたし、2015年には、埼玉県新座市のギャラリーで慰安婦をテーマにした中学生向けのパネル展を開催しようとしたところ施設の利用拒否がなされました。政府の方針と異なる言論、政権への批判がこのような手法で統制されていけば、あっという間に取り返しのつかない状況になってしまうでしょう。蟻の一穴とならないようこの訴訟でなんとしても勝訴を勝ち取る必要があります。

「九条俳句」違憲国倍訴訟を市民の手で!実行委員会

 通称「九条俳句」市民応援団は、「九条俳句」違憲国賠訴訟の勝訴をめざすとともに、「表現の自由」を守り、自由闊達な公民館活動を実現することを目的として2015年6月に発足しました。市民の関心は高く、2015年9月25日に行われた第1回口頭弁論は、大勢の方々が集まり、41席の傍聴席は満席、聴覚障害をもつ傍聴者の情報保障のため手話通訳も認められました。閉廷後の報告会には100名あまりの方々が参加され、原告の訴え、弁護団の解説を交えながらの陳述の再現やゲストスピーカーの発言・アピールなどが行われました。
 さいたま市は請求却下を求めて争う姿勢を示しており、第2回期日はさいたま地裁で12月11日(金)14:00より予定されていますので、是非ご参加下さい。
現在「市民応援団」の賛同者は全国から700名を超え、千名目標の「私も当事者・原告」運動としています。
 一人ひとりの声、行動が今こそ求められるこの時、共に進めていきましょう。
 応援団のホームページでは、時系列でまとめたこれまでの経緯や、裁判資料、裁判の今後の予定、応援団の活動報告、報道記事などをご覧いただくことができます。また、裁判には、どうしても裁判費用や必要経費がかかります。みなさまからの賛助を費用の一部に当てていますので、賛同・応援して下さる方は、こちらのページからご登録いただければ幸いです。

◆武内暁(たけうち さとる)さんのプロフィール

1948年秋田生まれ。18歳からさいたま市(旧与野市)在住。
都立訓練校講師。様々な地域、文化、社会活動をライフスタイルに。




 
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