法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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2016年新年にあたって

2016年1月1日



伊藤真(法学館憲法研究所所長)

 読者のみなさん。新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 今年は憲法の積極的理念にもとづく日本社会にしていく正念場の年になります。
 それは、第一に、テロ問題をめぐる状況の変化によります。過激派組織IS=イスラム国などによるテロが世界中に広がっています。その憎むべき卑劣な行為は断じて許されず、その根絶は日本においても重要課題です。その際、私たちはイスラムの人たちなどに排外的に対応するのではなく、様々な文化や宗教とともに共生していくことが肝心です。そして、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」という日本国憲法前文の精神にもとづき、日本政府の外交にもこうした立場での対応を求めていかねばなりません。いま、いろいろな考えを持つ人びとが監視・排除・抑圧される動きも懸念され、警戒が必要になっています。
 第二に、日本社会における貧困と格差の深刻化です。安倍政権の経済政策=アベノミクスはほとんど成功していません。安倍政権は財政再建に背を向けて選挙対策のためのバラマキをしても、また企業への減税はしても国民の生活改善には不熱心で、消費税増税には邁進しています。子育て、介護、医療、年金等の社会保障の充実は遅々として進んでいません。
 今年は、TPP参加による国民生活や産業への悪影響、原発再稼動問題なども含め、こうした国民の生活と健康・命に関わる問題に対して、いまこそ生存権をはじめとする憲法の規定と精神に基づく政治を求めていかなければなりません。
 第三に、日本の安全保障政策をめぐる状況です。昨年安倍政権は安保関連法案を強行可決・成立させ、集団的自衛権を行使できるようにし、また自衛隊の海外での活動の分野や方法を広げました。今後日本が再び海外で戦争をする国になっていこうとしています。こうした状況の中で、いま安保関連法の廃止を求める国民の声と運動が広がっています。辺野古への新基地建設に反対する沖縄のたたかいもいよいよ正念場を迎えています。
 今年の参議院選挙はその剣が峰になります。安倍政権は衆参ダブル選挙にするのではないかとの報道もあります。選挙の結果次第では憲法の明文「改正」への動きが急展開することも予想されます。

 法学館憲法研究所はこうした情勢の中で、今年、自由や民主主義、平和などの憲法の考え方の研究と、その成果を社会に広げる活動を発展させる所存です。

 当研究所は昨年も引き続き、WEBサイトで毎週、様々な分野の方々による憲法に関する発言=「今週の一言」「憲法関連書籍・論文情報」浦部法穂顧問による「大人のための憲法理論入門」などの情報発信をしてきました。
 また、安保関連法案をめぐる情勢をふまえ、公開研究会「集団的自衛権の違憲性」を開催し(1月)、法案の問題点・危険性などを解明する論稿等を収載した『伊藤真が問う 日本国憲法の真意』(法学館憲法研究所編・日本評論社)を刊行し(4月)、憲法フォーラム(6‐7月)(@AB)でもこの問題を取り上げました。そして「法学館憲法研究所報」12号(1月発行)13号(7月発行)で警鐘を発しました。
 私・伊藤も、国民安保法制懇のメンバーとして、あるいは日弁連憲法問題対策本部副本部長として法案を批判し続けました。また、参議院の特別委員会で意見陳述しました(9月)。安保法制違憲訴訟の準備も進めてきました。
 今年もこうした活動を読者のみなさんとともに発展させることをお誓いし、新年のごあいさつとさせていただきます。

◆伊藤真(いとう まこと)のプロフィール

法学館憲法研究所所長。
伊藤塾塾長。弁護士(法学館法律事務所所長)。日弁連憲法問題対策本部副本部長。「一人一票実現国民会議」発起人。
ドキュメンタリー映画『シリーズ憲法と共に歩む』製作委員会(作品@AB)代表。
『伊藤真の憲法入門 第5版』(日本評論社)、『中高生のための憲法教室』(岩波書店)、『10代の憲法な毎日』岩波書店)、『憲法が教えてくれたこと ~その女子高生の日々が輝きだした理由』(幻冬舎ルネッサンス)、『憲法は誰のもの~自民党改憲案の検証』(岩波書店)、『赤ペンチェック 自民党憲法改正草案』(大月書店)、『現代語訳 日本国憲法』(筑摩書房)、『やっぱり九条が戦争を止めていた』(毎日新聞社)、など著書多数。




 
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