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「Made in Japanの武器はいらない」
武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)が始動!

2016年3月21日



杉原浩司さん(武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)代表)


講演・報告者(左から)望月衣塑子さん(東京新聞経済部記者)、古賀茂明さん(元経産省職員/フォーラム4)、池内了さん(宇宙物理学者)、杉原浩司

先行する改憲としての武器輸出
 安保法制=戦争法が3月29日にいよいよ施行されようとしています。昨年夏、立憲主義と平和主義、民主主義を踏みにじるものだとして、空前の反対運動が巻き起こり、その熱は今なお続いています。
 一方で、約2年前、事実上の改憲に等しい重大な政策転換がほぼ無風状態で行われました。それが、「武器輸出三原則」の撤廃と「防衛装備移転三原則」の策定です。衆参両院の国会決議により補強された武器輸出三原則の撤廃は、本来なら再度全会一致の国会決議を行うことなくしてはできなかったはずです。国会と主権者を無視して改憲が行われたと受け止めるべきです。
 来る4月15日、最新鋭そうりゅう型潜水艦「はくりゅう」が日豪共同軍事演習に参加するため、海自潜水艦として初めてオーストラリアに寄港しようとしています。これは、同国の次期潜水艦をめぐる独仏との受注競争を意識したパフォーマンスに他なりません。報道は、米国が日米豪軍事同盟の強化の観点から強力に後押しする日本が有力だと伝えています。
 武器輸出大国の独仏を相手に、戦略兵器である潜水艦の輸出(共同開発・生産)商戦に勝つかもしれないという日本の現状を、数年前、一体誰が予想し得たでしょうか。

モラルなき防衛装備庁官僚
 現在、日本が武器輸出交渉を進めているのは21ヵ国にも上ります。その旗振り役が、昨年10月1日に発足した防衛装備庁です。防衛省予算の約4割の2兆円を握る巨大官庁のエースとして、武器輸出のキーマンとなっているのが、堀地徹(ほっちとおる)装備政策部長です。この名前はぜひ覚えておいてください。
 2014年10月に放映されたNHKスペシャル「ドキュメント武器輸出」は、進行する武器輸出の現状と危険性を鋭く浮き彫りにした力作です。その中で、当時、防衛省装備政策課長だった彼は、パリでの国際武器見本市「ユーロサトリ」に日本の軍需企業12社を引き連れて乗り込み、盛んに商談にいそしみました。私は、イスラエルのブースで彼が語った言葉に戦慄を覚えました。「イスラエルの実戦を経験した技術力を日本に適用することは、自衛隊員のためにもなるし、周りの市民を犠牲にしないで敵をしっかり捉えることは重要」「(イスラエルの)機体と日本の技術を使うことでいろいろな可能性が出てくると思う」。
 イスラエル軍は無人偵察・攻撃機をはじめとする新兵器の実験場としてパレスチナを使い、子どもたちを含む多数の民間人を殺傷する戦争犯罪を繰り返しています。日本がそれに公然と加担する道にどのような「可能性」があるというのでしょうか。堀地部長の辞任を強く求めたいと思います。
 防衛装備移転三原則は武器輸出を禁じる「紛争当事国」の意味を極めて狭く限定しており、国連安保理が武器禁輸措置を実施している十数ヵ国しか対象になりません。イスラエルも、シリアも、そしてシリアを空爆している大国も対象外なのです。

「モラルハイグラウンド」から「モラルハザード」へ
 同三原則はスタート時点から骨抜きになっていました。国家安全保障会議(NSC)による最初の輸出承認案件の一つが、空対空ミサイル「ミーティア」改良型の日英共同技術研究です。完成の暁には、最新鋭のステルス戦闘機F35(世界で3000機以上導入見込み。イスラエルや日本も購入)や、今まさにシリアを空爆中の仏製戦闘機ラファールなどへの搭載が見込まれている殺傷用兵器であり、三菱電機の技術が組み込まれます。
 現在、英国によるサウジアラビアへの武器輸出が国際的な非難にさらされています。サウジによる隣国イエメンへの攻撃は民間人を巻き込む無差別攻撃となっており、欧州議会もサウジへの武器輸出禁止を求める決議を採択しました。しかし、英国はなお武器輸出をやめていません。
 英国は、かつてサウジに巨額の賄賂を提供して莫大な武器輸出を実現させ、大スキャンダルとなった過去があります(アンドルー・ファインスタイン著『武器ビジネス』上・下、原書房)。本来、日本は直ちにミサイル共同研究を中止し、英国にサウジへの武器輸出をやめるよう要求すべきなのです。
 かつて、猪口邦子軍縮大使(当時、現参議院議員)は、国連の小型武器軍縮会議の議長を務めた際、武器輸出三原則を持つ日本を「モラルハイグラウンド」(道義的高み)だと誇っていました。そのモラルは今や地に落ち、「モラルハザード」に陥ってしまいました。


武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)発足集会(東京都北区・北とぴあ)2016年2月7日

「死の商人国家」にNO!
 私は2000年代の約10年間、「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン」というグループを作り、ミサイル防衛(MD)に反対する活動を続けてきました。「3・11」の東電福島第一原発事故以降は脱原発運動に力を注いできましたが、さすがに公然たる「死の商人国家」への道は許せないと、友人たちに呼びかけて、ようやく「武器輸出反対ネットワーク」(NAJAT=Network Against Japan Arms Trade)の立ち上げにこぎつけました。
 NAJATは昨年12月に発足記者会見を行い、豪州への潜水艦輸出や日英ミサイル研究への抗議行動を行ったうえで、2月7日に約220人の参加で発足集会を行いました。
 池内了さんは、防衛省による軍事転用可能な研究公募など、急進展する「軍学共同」を批判。「研究者版経済的徴兵制」を止めようと訴えました。
 古賀茂明さんは、仏製戦闘機ラファールの売り上げが急に伸びた理由について、仏国営テレビのリポーターが「シリアなどで高い空爆性能を証明した」と臆面もなく伝えたことを紹介。日本を戦争を欲する社会にしてはならないと呼びかけました。
 東京新聞の望月衣塑子記者は現場取材を踏まえて、防衛省の研究公募に採用された研究者が、「基礎研究だから」「守る技術にしか適用できない」と正当化していることを伝えました。 
 NAJATの当面の活動目標は2つあります。1つは年内に受注国が決まる潜水艦輸出をなんとしてもくい止めること。豪州の平和団体と連携しながら、潜水艦はくりゅうが豪州に寄港予定の4月15日には、18時から防衛装備庁への申し入れを行います。
 2つ目は、日英ミサイル共同研究を進める三菱電機をはじめ、潜水艦輸出に関わる川崎重工(バイクも製造)、米軍需企業を買収した富士通、企業としての存続の危機下で軍需部門を手放さない東芝、という4企業に的を絞った、消費者の視点からの武器輸出反対キャンペーンに取り組みます。カラーのアクションシートやSNSを用いて、不買も含めて広く呼びかけていきたいと思います。また、軍需企業の本社や武器製造工場を回る軍需企業めぐり、6月中旬にパリで開催される武器見本市「ユーロサトリ」出展企業への抗議、株主総会へのアクションや10月に東京ビッグサイトで開催され軍需部門の展示が拡大される「国際航空宇宙展」への対抗アクション、「死の商人大賞」の授与などにも取り組みたいと思います。
 そして現在、航空宇宙部門の軍需産業が集中する名古屋や潜水艦を建造している神戸など、地域経済の軍事化に反対する市民の取り組みも始まっています。4月22日には神戸の市民が軍需企業への申し入れなどを行います。4月14日にはママの会が日本経団連に武器輸出反対を申し入れます。既に取り組まれている「軍学共同」反対の活動も含めて、様々な動きが広がりつつあります。

日本版「軍産学複合体」形成を阻むために
 武器輸出の問題は政権交代すれば済むというものではありません。旧民主党は、野田政権時代に武器の国際共同開発を丸ごと武器輸出三原則の「例外」とする大穴を開けました。今回の潜水艦輸出は、武器輸出三原則の撤廃がなくとも、この「包括的例外化」により可能だと述べる論者もいるほどです。「民進党」に武器輸出への加担についての深い反省と政策転換を求め、武器輸出三原則の復活と強化を公約に入れさせなければなりません。
 さらに、先にあげたNHKスペシャルでは、日本の優秀なレンズ技術が無人機のカメラに使われていることが暴露されていました。同盟国、友好国向けには野放しになっている民生技術の軍事利用にも歯止めをかけなければいけません。オバマ政権で拡大したドローン戦争は、国際法違反の暗殺であり、映画『ドローン・オブ・ウォー』が描いたように、民間人を時に意図的に巻き添えにさえする戦争犯罪です。
 日本に「軍産学複合体」を作らせるわけにはいきません。「原子力ムラ」ならぬ「兵器ムラ」が形成されてしまえば、武器輸出や戦争に寄生する経済・政治構造を解体するのは至難の技となるでしょう。今ならまだ間に合います。ぜひNAJATの活動へのご協力とご支援をお願いします。

NAJAT(Network Against Japan Arms Trade)ブログ 

【武器輸出反対ネットワークにご賛同を】
個人賛同 1口 1,000円
団体賛同 1口 3,000円(ともに、複数口歓迎)
入金先 郵便振替口座:00140−4−486789
口座名称:武器輸出反対ネットワーク
他の金融機関からの送金先:ゆうちょ銀行019店 当座 0486789

杉原浩司(すぎはら こうじ)さんのプロフィール

武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)代表。集団的自衛権問題研究会などにも
参加している。『宇宙開発戦争』(ヘレン・カルディコット他、作品社)に日本語
版解説を執筆。










 
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