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憲法施行70年を迎えて−憲法改悪阻止に向けた京都憲法会議の闘い

2017年4月10日



木藤伸一朗さん(京都学園大学教授・京都憲法会議事務局長)

1.京都憲法会議の歩み
 京都憲法会議の正式名称は、憲法改悪阻止京都各界連絡会議といいます。末川博(立命館総長)、住谷悦治(同志社総長)、大西良慶(清水寺貫主)、田畑忍(同志社大教授)各氏の呼びかけで、1965年3月24日に結成されました。「本会は、日本国憲法のじゅうりんに反対し憲法の平和主義と民主主義の原則をまもり、その諸条項を完全に実施させ憲法の改悪を阻止するとともに国民生活の向上と世界平和に寄与することを目的とします。」と規約で定めて活動してきました。
 1978年までは蜷川虎三府政のもと、京都府が「憲法記念府民のつどい」を主催していました。東京都知事の美濃部亮吉さんと大阪府知事の黒田了一さんを交えて3人の知事の講演会や講演と映画のつどいが毎年企画され、筆者も学生時代参加した思い出があります。会場は烏丸丸太町の府立勤労会館大ホールでした。また、「憲法を暮らしに活かそう」という大きな垂れ幕が京都府庁の正面に懸かっていました。
 現在は、京都憲法会議がその伝統を引き継ぎ、憲法記念春のつどい、憲法記念秋のつどいを開催し、2016年は「沖縄・辺野古問題から『戦争法』を考える」(前泊博盛さん)、「世論民主主義とメディアの自由」(佐藤卓己さん)という内容でした。本年は、5月27日(土) に望月衣塑子さん(東京・中日新聞記者)の講演「武器輸出と日本企業」を予定しています。
 これまでの出版活動などは以下の通りで、著書やパンフレット、リーフレットを運動課題に合わせて公表してきました。『憲法と安保体制』1969年、『住民の暮らしと憲法』1978年、『有事立法と日本の現状』1979年、『不沈空母か平和国家か』1983年、『根っこに憲法』1987年、『わくわく憲法らんど』2001年、『わくわく憲法らんど 増刊号 九』2004年、『キッパリ憲法!−改憲ブームに流されないために−』2006年、『比例削減トンデモない!もっと民意を国会へ!』2011年、『STOP比例削減!もっと民意を国会へ』2012年、『2012の総選挙、あなたの一票 生きました?』2013年、『改憲問題の基礎知識−憲法改正問題の焦点がすっきりわかる!』2013年、『日本を戦争する国にする集団的自衛権NO!』2014年、『憲法「改正」の論点−憲法原理から問い直す』2014年、『違憲の「戦争法案」を廃案に!』2015年、『違憲の戦争法を廃止しよう!』2016年、『考えてみませんか? わたしたちの未来、そして、この国のこと。』2016年。
 大きな集会とは別に憲法ゼミナールとして、参議院選挙後から市民向けの学習会を企画してきました。テーマは、「参議院選挙後の改憲動向」(2016年7月28日)、「歴史の中の天皇制」(12月15日)、「アベノミクスと日本経済の行方」(2017年2月17日)、「共謀罪と刑事裁判」(3月10日)です。今後は「今、学校現場で起こっていること−子どもたちが学び、成長・発達する権利は保障されているか?」(4月14日)、「憲法と宗教」(仮)(6月9日)、「憲法と労働」(仮)(7月28日)となっています。

2.憲法施行70年
 次に、今年2017年をどう展望するかです。
 安倍首相は明文改憲を任期中に実現したいと述べていますが、私は、現職の総理大臣が国会で改憲を主張すること自体、憲法尊重擁護義務違反だと思っています。安倍首相は本年の1月5日の仕事始めで、「憲法施行から 70 年の節目の年でもあります。新しい時代にふさわしい憲法はどんな憲法か。今年はいよいよ議論を深め、段々姿、 形作っていく年にしていきたいなと、このように思う次第であります。そのためにそれぞれが責任を果たしていくことが求められます」と述べ、憲法改正に意欲を示しました。また、3月5日の自民党の党大会で、今年が憲法施行70年にあたるため、「次の70年に向けて新しい憲法の姿を形作り、国会における憲法論議を加速させる」と言いました。
 国会の憲法審査会が再開されましたが、安倍首相が昨年10月、自民党の保岡興治憲法改正推進本部長と会談した際、日本維新の会の憲法改正原案に盛り込まれた「教育無償化」を改憲項目として例示していたことが明らかになりました。自民党はその後、改憲議論のテーマとして明記しましたが、教育無償化は野党や国民の賛同も得やすいとの思惑があるとみられます。
 衆院憲法審査会は3月23日、大災害や武力攻撃時の特例的な対応を定める「緊急事態条項」を憲法に盛り込む改憲論などを巡り、参考人3人が出席して質疑を行いました。選挙制度問題や地方自治などの論点で審議が進む予定で、安倍首相、自民党は、具体的な改正条項の絞り込み、日本維新の会などとの協力を得て改正案の国会発議をめざしています。

3.これからの運動
 2017年5月3日は憲法施行70周年で、いわば憲法の古希記念にあたる日です。本来であれば政府や自治体は憲法施行70周年を祝うべきですが、安倍首相は改憲をめざす日本会議の集会にビデオメッセージを送るという状況です。
 私たちは、あらためて憲法の意味をかみしめ、憲法の原則を守り、憲法価値が実現されるような政治、行政を求めるべきです。「憲法を暮らしに活かそう」のスローガンをかかげた蜷川虎三京都府知事は、京都憲法会議の会員第1号でした。国政だけでなく地方自治の現場での生活破壊に対して憲法の価値を活かすことこそが大切だと思います。
 京都は大学の街であり、多くの大学人・研究者、弁護士、文化人、宗教者など知の財産が蓄積されています。戦争法反対の運動では久しぶりに各大学の状況を交流する集会が開催されました。京都憲法会議は、京都の叡智を結集し、各分野と共同するためにも5月3日から11月3日まで憲法施行70周年企画を呼びかけようと考えています。


◆木藤伸一朗(きとう しんいちろう)さんのプロフィール

1956年大分県生まれ。立命館大学大学院法学研究科修了。京都学園大学経済経営学部教授。行政法専攻。京都憲法会議事務局長。
最近の著書に、京都憲法会議監修 木藤伸一朗・倉田原志・奥野恒久編『憲法「改正」の論点 憲法原理から問い直す』(2014年、法律文化社)




 



 
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