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権力担当者に「これだけは守ってくれ」というのが憲法
〜 「憲法の基本を深く学ぶ学習会」を開催

2005年9月26日

9月23日、当研究所は東京都内で「憲法の基本を深く学ぶ学習会」を開催しました。
学習会では浦部法穂・名古屋大学教授(法学館憲法研究所主席客員研究員)が講演しました。浦部教授は、なぜ憲法というものができてきたのかを歴史的に掘り起こし、「国民が権力担当者に『これだけは守ってくれ』というのが憲法」なのだということを説明されました。そして、今日、憲法は国民に対して示される規範であるかのように多くの国会議員が発言するようになっていることについて、それは憲法の性格をまったく理解しておらず、それを無視するものであると指摘されました。また、市民の側にも憲法を守らなければならないのは権力者の側なのだという理解を広げきれていないと述べました。
浦部教授は、国会議員といえども憲法の基本原理を変えるような憲法「改正」を唱えることは公務員の憲法尊重擁護義務(憲法99条)に違反するということも解明されました。また、自民党や民主党が主張するような新しい憲法の制定は憲法の改正を定める憲法96条の手続きではできないということも述べました。
浦部教授は続いて自民党が8月1日に公表した新憲法第一次案の問題点についてお話されました。その一つは、現憲法が戦争を「放棄」するとしているのに対して、自民党の案は「戦争・・を行わないこととする」となっており、これは戦争をする場合があることを意味するとの指摘でした。もう一つは、現憲法は基本的人権を最大限保障しているが、自民党案によれば「公益及び公の秩序」という理由で人権を制限できるようにしているということでした。浦部教授は自民党の新憲法第一次案は現憲法の基本原理を大きく変質させるものであり、それはまさに「新憲法」案だと述べました。
学習会には多くの市民・学生が参加しました。参加者からは次のような感想が寄せられました。
・大変重い話を分かりやすくお話されて、ありがとうございました。特に9条、12条の現行憲法と新憲法案のあまりの乖離に目がくらくらするようなおもいで聞いていました。
・「憲法の基本を深く学ぶ」という視点でのお話で大変勉強になりました。いま自民党などの各種の改憲案が公表されるなかで、この立憲主義の意義が語られないし、論ぜられないのに大変な危機感をもっています。個々の改憲案批判とともに、「憲法とは何か」についても大いに論じられるべきだと痛感しました。
・自民党の改憲案と現行憲法の違いの説明がとてもわかりやすかったです。素人の解釈では同じ意味にとられてしまうが、実は大きな違いがあるということがよくわかりました。多くの人に先生のお話を聞いていただきたいです。
・立憲主義・憲法制定権力の所在を中心に、民主憲法の基本的原理・原則が明快かつ丁寧に解説され、大変有益であった。また、自民党改憲案の問題点を文言にまで踏み込んで批判したことも、改憲勢力の狙いを理解する上で大いに参考になった。
・先生の書かれた「教科書」はとてもおもしろく、はじめて読んだときから、すごい!と思っていました。この研究所で出された本、小冊子もわかりやすく、小冊子は友人にも配ったくらいです。先生のお話をLIVEで伺え、「今」の問題がよくわかり、自分なりに整理できました。ありがとうございました。
・大変勉強になりました。特に「国民の代表」の意味について考えさせられました。代表民主制は直接民主制よりもメリットがあって国政においては採用されている部分があると思いますが、その限界についても国民の側はよく把握しなければならないと感じました。
・政治家は国民の代表だから憲法改正・制定も可能であるという論理は一見一貫しているように思えるが、権力者の権限は憲法に定められた範囲内であり、すなわち改正発議権にとどまり、主権はあくまで国民にあるというお話をうかがい、ここに憲法96条に意義があると、深く感銘いたしました。
・公務員(特に国会議員)の憲法尊重擁護義務を特に広げる必要がある。
・衆議院選挙の結果から、このような学習会がいかに重要かひしひしと感じています。これからは身近な人にも声をかけ、1人から2人・3人と増やして参加し、学習の機会を共有していくことが大切と思いました。
・私は法科大学院で学んでいますが、99条の歴史的意味、現行憲法の原理原則について深く学ぶ機会がなく、理解も不十分でした。憲法について語ることは時に勇気がいりますが、学校に戻って友達や先生に学んだことを伝えたいと思います。

学習会の場では当研究所がこの夏に実施した憲法意識調査結果の概要(下記)も報告されました。
今回の調査では国民が憲法について何をどの程度知っているのかをお尋ねしており、その結果は他の調査にはあまりない貴重なデータになっていると思います。全体として多くの国民が憲法についてある程度知っているにもかかわらず、公務員の憲法尊重・擁護義務を知っている人は少数でした。したがって、調査結果は立憲主義など憲法の基本理念についての普及・教育・啓発などの重要性を改めて示すものになっていると思われます。

この学習会での浦部教授の講演をもとに小パンフレット「憲法っていったい何?」「国会議員は憲法を改正できるの?」を作成しました。ぜひご注文ください。

■法学館憲法研究所の憲法意識調査結果の概要 PDF資料

 

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