韓国人留学生が伊藤真所長(=伊藤塾塾長)の著書『伊藤真の憲法入門(第3版)講義再現版』を推薦してくださっています。NPO法人「人権・平和国際情報センター(HuRP)」の通信10月号に掲載された推薦文を紹介します。
『伊藤真の憲法入門(第3版)講義再現版』(伊藤真著)
日本評論社
2005年2月発行
定価 1785円(税込)
私がこの本に出会ったのは大学1年生のときでした。日本に遊びに来て、日本の法学部で勉強している学生たちはどのような本で勉強しているのだろうかという好奇心から本屋に行き、この本を見つけたのです。当時の私の日本語は決して充分といえるものではありませんでしたが、そんな私にとってもすらすら読めるほど優しく書かれていましたので立ったままで50ページあまりを一気に読んでしまいました。そして「この本はぜひ韓国に持って帰りたい」と思い、購入したのです。
この本の長所としては、やはりなんといっても読み易さであると思います。後から韓国で憲法学を勉強しながら、この本に書かれている内容自体はそんなに特別なものでもないのだということが段々分かってきたのですがこの本は初心者にとってもとっつきやすいように工夫・構成されていたのでとても分かりやすく、まさに「入門書」と呼ぶに相応しいものでした。
そしてもう一つ、この本は私に日本国憲法第9条に対するイメージをスムーズに湧かしてくれました。韓国で憲法学を勉強するときには「平和主義」という言葉は単に「侵略戦争の否定」くらいの意味合いで出てくるに過ぎないですが、それが日本では異なり、さらに何故そのような違いがあるのかについて、この本を一通り読むことによってはっきり認識することができたのです。そのときには、まさに全身が震えるほどの衝撃を受けました現に軍隊が存在しており、数多くの外国からの侵略を経験し、国を奪われた経験まで持つ韓国では、軍隊とは国を守ってくれる存在であるという認識が一般的です。しかし日本は違う歴史的な経験から軍隊とは紛争の種にもなり得るというもう一つの側面が存在するということに気付いたのです。そしてそれを憲法に反映させ、日本国憲法第9条を掲げた歴史や理念に私は深い感動を覚えずにはいられませんでした。
そしてこの本は私の愛読書となり、兵役のときにまで持っていった本の一つになりました。人権の制限が当たり前のことになっている軍隊はまさに人権の学校でありこの本は私のいい教科書でもありました。
内容的には非常に充実しているのに読みやすく、分かりやすい。憲法の主人である市民たちが気軽に憲法の中核を知ることができる本として、今まで出会えた憲法の入門書の中で最高の本であったと思います。 (S・Y)
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