ドイツ連邦軍は、国民は軍隊内にあっても自由な人格として、責任感をもった市民でありつづけるべきだという理念の下に設立されました。連邦軍の「指導像」は「制服を着た市民」であり、「専門家としての軍人は、能動的かつ良心に基づく服従、すなわち批判的服従をなさなければならない」とされています。
フローリアン・パフさんは、現役のドイツ連邦軍少佐です。彼は、2003年にイラク戦争は国際法上違法であるとして、これに加担することを拒否しました。連邦軍部隊服務裁判所は、2004年2月命令違反をしたとして、パフさんを大尉に降格させる判決を下しました。これに対し彼は、兵士に違法な命令に従わないことを求めている軍人法に基づき、連邦行政裁判所に控訴しました。2005年6月裁判所は、「国連憲章および国際諸法の禁じる暴力行使にかんがみ、イラクに対する戦争には重大な法的懸念がある」として、良心の自由に基づいた命令を拒否する権利を認めました。
この画期的な判決を引き出したパフさんに、その体験を伺います。軍人でありながら命令を拒否した動機は何か、命令に服従することが厳しく求められる軍隊においていかにして命令拒否が可能であったのか、また、行政裁判所の勝訴に至る過程・その後の連邦軍内での反応等について、当事者の視点から詳しく語っていただきます。
(パフさんの講演および質疑応答はドイツ語で行われます。)
【日時】 2009年4月18日(土)
14:00 開会
14:10〜14:40 水島朝穂早稲田大学法学学術院教授による概説
「ドイツ連邦軍の海外派遣をめぐる法的諸問題」
14:45〜16:00 ドイツ連邦軍少佐 フローリアン・パフ
「侵略戦争を拒否する義務」
通訳 市川ひろみ(今治明徳短期大学教授)
16:10〜17:00 質疑応答
17:00 閉会
【会場】 伊藤塾東京校(伊藤塾東京校(03-3780-1717。JR渋谷駅南改札西口より徒歩3分)
【参加費】1000円(法学館憲法研究所賛助会員・伊藤塾塾生・学生は500円)
【主催】 法学館憲法研究所
*講演会への参加は事前予約制とします。参加希望者は事前にメールもしくはファックスにてお申込ください。定員に達し次第締め切ります。
メール info@jicl.jp
ファックス 03-3780-0130
<講師紹介>
フローリアン・パフFlorian D. Pfaff
1976年ドイツ連邦軍に徴集兵として入隊。その後、職業軍人となり現在は少佐。国際人権連盟Internationalen
Liga fuer Menschenrechteよりカール・フォン・オシエツキー賞Carl-von-Ossietzky-Medaille(2006年)、ブュルテンベルク福音教会同盟Offenen
Kirche より市民的勇気を称える賞AMOS-Preis(2007年)、世界市民連合Association of
Word Citizensより世界市民賞World Citizen Award(2008年)を受賞。「制服を着た市民」を理念とする軍人による団体ダルムシュタット・シグナルの一員として活動中。著書Totschlag
im Amt: Wie der Friede verraten wurde, HWK Verlag, 2008.
この講演会でパフさんの通訳を担当する市川ひろみさんの著書『兵役拒否の思想 −市民的不服従の理念と展開』の紹介はこちら。
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