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憲法訴訟における立法事実論を検証――公共訴訟研究会(7/3)

2010年7月12日

 7月3日、法学館憲法研究所は、浦部法穂顧問の主宰する公共訴訟研究会を開催しました。この研究会は、訴訟の場で憲法を実現していくために、憲法研究者と訴訟実務家の連携を強め、しっかりした理論に裏打ちされた主張の深化を目指してスタートしました。

 昨年(2009年)12月に行なわれた第1回研究会では、東京生存権裁判(老齢加算廃止違憲訴訟)を素材に、憲法25条「健康で文化的な生活」をより豊かな内容で実現させることの必要性が確認され、憲法13条との関連でも議論が深められました。
 今回の第2回公共訴訟研究会では、憲法訴訟における立法事実論の検証をテーマに、素材として@「国籍確認請求(国籍法12条違憲)訴訟」並びにA「社保庁職員ビラ配布(堀越)事件」の2つの事件を採り上げました。@は、今年2月に東京地裁に提訴された事案。在外出生嫡出子は3ヶ月以内に国籍留保手続をとらなかった場合に国籍を喪失する旨の国籍法の規定の違憲性(憲法13条・14条違反)が争点となります。Aは、今年3月に東京高裁で、公務員の政党紙配布行為への罰則規定適用は違憲として、逆転無罪判決が言い渡された事件。同種事案の「厚生労働省職員ビラ配布(宇治橋)事件」では、同じ東京高裁で5月に有罪判決が出されたこともあり、国家公務員法の違憲性をめぐる判断について注目されているところです。
 @A両事件に共通するのは、当該する法律の立法事実(立法の基礎となりその必要性を支える広範囲の社会的・経済的等の諸事実)の主張が、裁判所の判断の行方に大きな意味をもっているという点です。
 当日の研究会では、最初に@の原告代理人・近藤博徳弁護士より訴訟の概要と当該訴訟における立法事実の問題についての報告、そして立法事実論の課題について問題提起がなされました。続いてAの須藤正樹弁護士が、当該(堀越)事件の東京高裁判決中の立法事実に関連する判断の特徴について、同種(宇治橋)事件判決との比較をまじえて報告されました。
 その後の討論では、
  ・“立法事実”の変遷については最高裁も関心を高めているように思われる。
  ・公務員と表現の自由(規制)をめぐる問題では、猿払事件の判断の枠組みは学説上では否定的ながら、これまでそれを維持してきた裁判所が、この判断を変えるための根拠を求めているとも思われる。
  ・法令違憲には消極的な裁判所も、適用違憲の判断には前向きなところが出てきている。
  ・立法事実論のうち、国際標準・世界標準に、裁判所が関心を寄せてきている。
など多岐にわたる議論がなされました。
 憲法裁判の新たな進展を拓く可能性を確認する研究会となりました。

(法学館憲法研究所事務局)


 

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