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「公務員の精神的自由権をどのように保障させるか」――公共訴訟研究会(9/10)

2011年9月19日


 法学館憲法研究所は、進行中の重要な公共訴訟において憲法の理念を実現するために、浦部顧問など憲法研究者と弁護団の方々が一同に介して議論する公共訴訟研究会を開催してきました。9月10日にはその第4回目の研究会を開催しました。
 テーマは、「公務員の精神的自由権をどのように保障させるか」です。今最高裁には、公務員の勤務時間外の政党機関紙配布行為に対して刑事罰を科すことが憲法21条に違反しないかが問われている堀越事件と世田谷事件が係属しています。また、国旗掲揚と国歌の起立斉唱の職務命令は憲法19条に違反することを問う多数の事件が最高裁で審理されています。民主主義国家においては、とりわけ精神的自由権は厚く保障されるべきことが常識となっています。しかし、日本ではこの権利は広範に制限され、かつ最高裁も追認してきました。最高裁の論理構造の克服が重大な局面を迎えています。

 当日は、5人の憲法研究者と伊藤真所長及び20名近い実務家・原告団関係者・大学院生・司法修習生が参加して活発な議論が展開されました。
 まず公務員の政治活動に関して弁護団から問題提起がおこなわれました。それは、最近の裁判所は精神的自由権の分野についても法律を厳格に審査する基準を採用することなく、個別利益較量をする中でいろいろな配慮をするという考え方をとっている、判例のいう「(権利を制限する)必要性合理性」の審査の中味は空洞化し、権利を制限する法律を安易に合憲としている、こうした論理にいかに対応するか、ということでした。次いで、国旗・国歌訴訟の弁護団から問題提起していただきました。それは、今年の5月以降に出された最高裁の9件の判決が、起立斉唱などの行為の強制は思想良心に対する「間接的な制約」に過ぎず違憲ではないとする新たな論理を打ち出し、この論理にどう反論するか、ということでした。

 これを受けて、最高裁判例の論理を「二重の基準論」など論理面で正面から反論していくとともに、利益較量の中で精神的自由権を重視する結論を現実的に引き出すことが重要である、などの議論がおこなわれました。この中で、規制の目的を厳格に審査することの重要性(例えば「公務員の政治的中立性」は目的として正当か)、実際は内心の自由を侵害しても間接的な制約ならばどこまで許されるのか、などが活発に議論されました。
 この日は関連事件として川崎市の政党機関紙購読調査事件、七生養護学校事件、公務における表現の自由が問題となっている、元三鷹高校長の事件についても報告がありました。これまで公務員は政治的に中立であるべきとされてきましたが、東日本大震災・原発事故を見ても、公務員が積極的に発言・行動していくこともまた重要であるとの認識が広がっています。議論では本来あるべき公務員像を確立し、それを広げていくことの重要性も語られました。(法学館憲法研究所事務局)

 以前の研究会の模様はこちら@A




 

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