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「安保法制違憲訴訟(国賠訴訟) 第6回口頭弁論(1/26)」行われる

2018年2月5日


 2018年1月26日、安保法制違憲訴訟、国家賠償訴訟第6回口頭弁論が行われました。原告弁護団から証拠申請され、裁判所に認められた10名の原告のうち、7名が、この日尋問を受けました。それぞれが名前、生年月日、住所について確認を求められた後、宣誓をして尋問が開始されました。
 まず最初に、教育臨床心理学者の横湯園子さんが証言台に立ちました。父親が思想犯として捕らえられ、拷問を受けて満身結核を発症し、若くして亡くなったこと。母親は、思想犯の未亡人として、園子さんを抱え、たいへんな苦労をされたこと。5歳で空襲に遭ったこと。幼い日に目の当たりにした戦争の惨状は、深く心に蓄積し、安保法制によるフラッシュバックに悩まされていることなどを訴えました。
 次に、障がいを持つお子さんを持つ清水民男さんは、ご両親から伝え聞いた戦争の話と、若き日のベトナム反戦運動、そして、心臓に障がいを持って生まれたご長男への思いを切々と語られました。ご長男は、外見からは障がいがわからず、怠けていると思われてしまうこと、長い距離は歩けず、重い荷物も持てない長男を、置いて逃げる日がくることはどうしても避けたいという父親の思いを訴えました。
 3番目に証言台に立たれたのは、長崎の原爆を体験され、今年90歳になるという平原ヨシ子さんでした。英語が習いたくて入った女学校では英語が禁止され、勉強ではなく魚雷を作らされたこと。卒業して代用教員になり、住んでいた高島から、たまたま出かけた長崎市の中心部で被爆したこと、一緒に出かけた友人は、遺体すら見つからなかったこと。その生々しい惨状をよく通るしっかりした声で、一人の主権者として毅然と訴えました。
 4番目に、横須賀で自衛隊員や米軍兵士に直接訴えかける誠実な活動を40年に亘って続けられている新倉裕史さんが証言台に立ちました。隊員や兵士と敵対するのではなく、戦争が起これば真っ先に犠牲になるのは兵士であり、憲法9条が自衛隊員を守っているのだと呼びかける活動は、長く続けるうちに米兵の心を打ち、また自衛隊員の家族から悩みを相談される等、基地の町ならではの活動を紹介し、安保法制の成立によって、横須賀が攻撃対象になり、危険度があがったこと。また、2008年9月から横須賀を母港とする原子力空母がメルトダウンに至る事故を起こした場合は、横須賀は壊滅すると訴えました。
 5番目に、原子力技術者として原発の基本設計に携わってきた渡辺敦雄さんが、パワーポイントを用いながら、原発の施設は、内圧には強く作られているが、外圧に対しては無防備であること。5〜6基の原発を手榴弾で攻撃すれば日本は壊滅すると訴えました。このときばかりは、さすがに国側の代理人も真剣にパワーポイントを覗き込んでいました。海水で冷却する日本の原発は海辺に建設され、たやすく攻撃されてしまうこと。そして、各地の原発に保管されている使用済み核燃料が攻撃されれば、今ある技術ではどうすることもできないこと。原子力発電所はフェードアウトさせ、安保法制は廃止するより他にないと訴えました。
 6番目に、小学校高学年から社会問題を敏感に感じとって、市民活動を純粋かつ力強く続けている菱山南帆子さんが証言台に立ちました。菱山さんの尋問を担当したのは、伊藤真弁護士(法学館憲法研究所所長)でした。小学5年生で、担任の差別発言に反発し、廊下に出て自分達の自主クラスを作ったという発言には、若者ならではの訴えが微笑ましく、思わず傍聴席から笑い声も聞こえました。国会前でずっと安保法制に反対するコールをしていた菱山さんは、強行採決されたときに民主主義を否定されたと思い、地獄の釜が開いたような恐ろしい気持ちになったと訴えました。
 そして、今回の最後の尋問は、安海和宣さんでした。キリスト者として、また、9.11のその時を米国で過ごし、「戦争も止むなし」という意識が煽られていく全体主義的な空気に胸騒ぎを覚え、また、日本でも、特定秘密保護法が国会で審議される過程において胸騒ぎが大きくなり「特定秘密保護法に反対する牧師の会」を立ち上げたこと、聖書の教えを自由に語れなくなってしまうのではないかという恐怖を感じると訴えました。日本は三権分立であるが、内閣の暴走を国会は止めることができない。司法が今、役割を果たすべきだと訴えました。
 わたしたちが、今、裁判所に伝えなければならないことを、3時間半の口頭弁論にギッシリと詰め込んで、大きな荷物を裁判所に手渡しました。
 被告国側は、裁判所からの反対尋問はあるかの問いに「ございません」と答えるばかりで、7人の原告に対し、何一つ質問をしませんでした。この日の原告本人尋問は、一人25分の持ち時間でしたが、7名全員が持ち時間を使い切って、思いのたけを訴えました。
 担当代理人弁護士と原告は、それぞれ10時間を超える打ち合わせと練習を経て、期日を迎えたと言います。

 次回は、5月11日(金)13:30から、東京地裁第103号法廷で、残りの原告3名の尋問が行われます。自衛隊の元レンジャー隊員である井筒高雄さん、JR職員の常盤達雄さん、そして、教育学者の堀尾輝久さんがそれぞれ、証言台の前に立ちます。また、この他に、証人の申請も行われています。
 安保法制違憲訴訟は、いよいよ佳境に入ってきました。国賠訴訟の方が先行する形になっていますが、差止訴訟は、国賠とは異なる論点もあり、重要な局面を迎えています。
 2月5日には、差し止めの口頭弁論が10時半から行われます。30分前くらいに傍聴席の抽選が行われますので、これに遅れないように東京地裁にお出かけ下さい!傍聴席をいっぱいにすることが、裁判を有利に進める上で重要です!ご協力をお願いします。


 

 

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