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「安保法制違憲訴訟(差し止め請求) 第6回口頭弁論 報告集会(2/5)」開催さる

2018年6月4日

 2018年2月5日(月)、参議院議員会館(東京・永田町)にて、「安保法制違憲訴訟(差し止め請求) 第6回口頭弁論 報告集会」が開催されました。同日、午前10時30分から東京地裁にて口頭弁論が行われ、これを受けての報告集会です。
 冒頭、寺井一弘弁護士より、口頭弁論において裁判所から、次回は立証計画を出して欲しいという要請があったことが紹介されました。「東京地裁の民事1部の国賠と、民事2部の差止訴訟で、いずれも証拠調べに入ったことは実に大きな力になると思っております。1月26日の国賠の第6回口頭弁論では、7人の原告を尋問させていただきました。きわめて有意義で迫力もあり熱のこもったものでした。今後、これを受けて証人尋問に入っていくかどうかを裁判所が判断することになります。弁護団としては、証人尋問をして憲法判断をすべきという主張をしていきます。」
 次に、準備書面14「違憲審査制と裁判所の役割」について意見陳述を行った、伊藤真弁護士(法学館憲法研究所所長)からの報告がありました。「裁判所がどれくらい重要な役割を果たすのか、外国の例を上げながら話しました。統治行為論は、高度に政治的な問題には裁判所はタッチしないという理屈だが、憲法問題はおよそ政治的。ありとあらゆる憲法問題を判断しないというのは、あり得ない。あたかも統治行為論が所与の前提みたいに言われるのが、これは何十年も前の話。統治行為論の母国フランスでも、現在は統治行為論で司法が判断を避けるということはあり得ません。アメリカでもポリティカルクエスチョン(政治的問題の法理)というのがありましたが、ニューディール政策から生まれてきたもので、高度に経済政策的な問題については積極的に違憲判決をしないというもの。キング牧師が出てきた頃からは、積極的に憲法判断をするようになっています。トランプ大統領の入国禁止令についても、アメリカの裁判所は積極的に憲法違反の判断をしています。少なくとも世界の司法の水準に合せなくてはならない。市民の声が政治部門に反映しがたい状況にあるからこそ、裁判所、司法ががんばらないとなりません。」
 次に、準備書面15「被害論・その2」について意見陳述を行った古川(こがわ)健三弁護士から報告がありました。「一般論として、今の情勢についてお話した。今の日本はアメリカの一部。もし、南北朝鮮が統一したら、38度線が日本海に下がってきて、日本がアメリカの前線基地になります。イージス・アショアは防衛用と言いながら、ソフトの入れ替えで地対地ミサイルを発射することができ、これにロシアがすごく反発しています。そんな中で、基地周辺の住民の危機感は強まっています。また、民間の船であっても補給のための船は攻撃対象になるため、船員は非常に大きな危機感を抱いています。」
 さらに、訴訟進行について、福田護弁護士から説明がなされました。「今日の法廷で最大のポイントは、立証計画を出してくれと裁判所の方から言ってきたということです。当初から、証拠調べに入るかどうかは大きな問題点でした。国賠訴訟では、1月26日に原告本人尋問という形で立証段階に入りましたが、差止訴訟の方も、6月20日の次回期日に裁判所がどうするか判断をすることになると思われます。今日で、こちら側の積極的な主張は一通り終わり、形の上では国側の反論もなされたことになるのですが、国の答弁で気に入らないのが二つあります。本件は、行政訴訟という形をとっていて、存立危機事態における防衛出動命令をするなという差止請求をしており、一方、横浜地裁では、民事訴訟で差止訴訟をやっています。国は、横浜地裁では、行政権の行使だから民事訴訟では差止めはできないと言い、こちらでは、行政処分ではないから差止めはできないと言っています。この矛盾について釈明を求めているのですが、国からはまともな回答がありません。もう一つの問題点は、武器等防護。これについて国は、他国との信頼関係を失う恐れがあるから逐一の事実関係については主張しないと言って、一切、認否をしていません。これでは、国民が知らない間に戦争に巻き込まれかねないのです。」
 続けて、同じく福田弁護士から、1月31日の東京高裁判決についての解説がなされました。「この判決は、現職の自衛官が集団的自衛権の行使としての、防衛出動命令に従う義務がないことの確認を求める訴訟で、東京地裁では却下、これに対して高裁は、審理をやり直すように地裁に差し戻しました。国は、存立危機事態が発生することを具体的に想定しえず、防衛出動をする可能性もないとして却下せよと主張し、地裁はそれを認めたのですが、高裁は、安保法制が制定されたわけだから、そのような主張は取り上げる余地がないと切り捨てて、防衛出動に従わなかったら懲戒処分を受ける可能性は否定できず、この訴えは適法であると言って、中身の審理をちゃんとやりなさいと差し戻しました。存立危機事態における防衛出動が起こったら、自衛官の身に何が起こってくるのか、どういう危険があるのか、今の国際情勢の中で自衛官や自衛隊がおかれることになるか。そして、そのことに関連して、安保法制というのは、存立危機事態における防衛出動ということを定めた集団的自衛権の行使は、憲法9条に違反するのか違反しないのか、前提問題として判断する必要があるということになっていくのだろうと思われます。そういう意味で、本件の訴訟においても、この東京高裁の判決は、わたしたちにとっても大きな力になると思います。」
 なお、高裁判決については、2月14日に国が上告受理申立を行っています。

次の安保法制違憲訴訟は、国賠が5月11日(金)、差止が6月20日(水)に、それぞれ第7回期日として行われます。
第6回期日の意見陳述については、下記にて、報告集会資料として全文が公開されています。
http://anpoiken.jp/sashitome/


 

 

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