教員が集う 中高生のための映像教室 『憲法を観る』
 
 
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「憲法を観る」の授業での活用状況を聞く
2010年6月14日
 

 6月6日、中高生向け映像教材「憲法を観る」の普及事務局は公立高校A教諭に教材についての感想をお聞きしました。A教諭は実際に担当している授業で生徒たちにこの映像を観てもらいましたので、授業の内容と生徒たちの学習状況についてもお聞きしました。
  A教諭のお話しの概要を次の通りご紹介します。(「憲法を観る」普及事務局=法学館憲法研究所・大川)

憲法が縛るのは国民ではなく権力、と生徒たちに伝える

 私はいま高校1年生の「現代社会」を担当しています。
私は以前から、憲法の考え方の基本、特に立憲主義ということを生徒たちに理解してもらえるよう努めてきました。いま私が勤めている学校が採用している「現代社会」の教科書には「立憲主義」という言葉がありません。私は生徒たちにそれをどのように伝えるかを考えました。私は伊藤真さん(=伊藤塾塾長・法学館憲法研究所所長)の「憲法と法律は違う!」という問いかけを新鮮に感じ、これは有効だと思い、使ってきました。ほとんどの生徒たちは“憲法は一番重要な法律”だと思っていますから、「憲法と法律は違う!」という問題提起にはインパクトがあり、生徒たちは“いったいどういうことなんだ”と考え始めるんです。
伊藤さんたちが中高生向けの憲法映像教材「憲法を観る」をつくったことを知り、それを観てみたら、やはりこの立憲主義の考え方を生徒たちに伝えようという内容になっていました。
そこで先日、「憲法を観る」の第5章「『国を見張るの?』〜最高法規、立憲主義」を生徒たちに授業で観てもらいました。そこでは立憲主義の考え方のポイントがわかりやすく描かれていて、多くの生徒たちが憲法についての認識をあらためたようです。具体的には、特に“多数決による決定は絶対に正しいということではない”ということを多くの生徒たちが理解し、憲法が少数者などの人権を守るために権力を制限するものなのだということを伝えることができたと思います。教科書には「政治は憲法にしたがって進められる」「国民は憲法によって守られる」というようなことは書かれていますが、法律が国民の縛るのに対して、憲法は国民を縛るのではなく、憲法が縛るのは権力だということ、憲法によって守られるべきは少数派の権利であるということがポイント、などが生徒たちに理解されなければなりません。
私は生徒たちに、「あなたが誰かを好きになったとき、まわりの多くの友達から好きになるなと言われても、それはできないよね」と問題提起し、多数決は絶対ではないことを伝えます。そして、「多数決で決めてはならないこととして、ほかにどんなことがあるかな?」と生徒たちに質問し考えさせてきました。少数者にも権利があるということを生徒たちによりリアルにつかんでもらうことが大事だと思っています。
「憲法を観る」の第5章を観た生徒たちからは、イラク戦争の被害の実相の映像に衝撃を受けたという感想も多く寄せられました。イラク戦争に反対する運動が憲法を使って進められたことを知り、憲法の存在意義がわかったという声もありました。
以下、生徒たちの授業の感想の中から特徴的なものを紹介します。

(1)憲法は多数派の意見に歯止めをかけて少数派の意見を守るものということがこのビデオを見てとてもよくわかりました。「民主主義」にも欠点とかあるんだなぁーと思いました。だから憲法というものができたということもわかりました。イラク戦争への派遣を国民の3200人によってやめることができたのは本当にすごいと思いました。このことから憲法を上手く使うために、一人ひとりが社会に対して自分で考えて行動することが大事なんだということがわかりました。

(2)えん罪は有罪と決めてしまう国家側も悪いけれど、新聞やニュースなど、それらの報道を見ただけでその人を犯人だと思ってしまう国民も少しは悪いのではないのかなと思いました。その人のことやその時の状況などを詳しく知っているわけではないのに周りの情報に流されてしまうのは人間の悪いところだと思うし、これは日々の小さな出来事にも同じようなことが言えると思うので、私たち一人ひとりが気をつけるべきだと思います。憲法はいろいろと難しい部分も多いけれど、私たちの人権を守ってくれるものなので積極的に調べたりしてもっと詳しく知りたいです。

(3)そして、やはり印象に残った映像は戦争で関係のない人々までまきこみ、かなりの人が苦しんでいるなか、人民が国を相手に訴えるというところでした。

(4)このビデオを見て私は、憲法が何故あるのかという理由が良くわかることができました。私は最初、憲法はみんなが守って、ただ、あるものだと思っていました。でも、今回授業やビデオで教わったことは、私が思っていたよりずいぶん違っていて少し驚きました。憲法はいろんな場所で使われて、多数意見があってもゆるむことがない、国にも国民にも大事なことがわかりました。

(5)憲法は大きな力を持っているんだなと思いました。憲法があるから「日本」が成り立っているんだなと思うと、憲法は絶対になければいけないんだと思いました。なので、私も少しずつでも政治に対して関心をもてたらなと思いました。新聞やニュースなどまめに見られるようにして、今、何が起きているのかを、いつでも知っていられるようにしたいと思いました。

(6)イラク戦争で犠牲になった子どもたちを見て、とてもひどいと思いました。とっても心が痛みました。イラクへ自衛隊を送ることはおかしいと言って、動いた約3200名の人たちは本当に意味のあることをしたんだなぁと感じました。このDVDを見て、憲法を理解し、何かあつたら利用しようと思いました。

(7)授業でもやりましたが、憲法を守るのは国民ではないということが改めて良くわかりました。政治家などの人たちが戦争をしようと勝手に決めては困るし恐ろしいと思いました。政府のやっているまちがったことは、憲法を使えば、政治家などの人々に国民が注意することができるということを知りました。今までは憲法のことをあまり気にすることもなく活用しようと思わなかったし、憲法は本当に役に立つのかと私は思っていました。ですが、このビデオを見て、政府のやり方がまちがっている時に憲法を使えば憲法が大きな力を発揮することができるんだなと思いました。国民にとって憲法はとても大切なものだと感じました。

(8)国民、私達の権利が侵害されそうになった時、憲法は使わなければならないとビデオの中で言っているが、その権利が侵害されるようなことが水面下でおこなわれているとしたら、私達は知らず知らずのうちにその法が可決されることになってしまう。だから、マスコミなどを批判的に見ようと言うが、マスコミなどがそういう情報をもっと取り上げてほしいとも思った。実際、今、そういうことがやられているので、もし、その法が可決されたら、私も憲法でたたかっていきたいと思った。そして自分達のよりよい暮らしを勝ちとりたいと思う。

(9)憲法は私にとっては関係ないと思っていたけれど、とても私達に関係あると初めて知りました。多数決も多い方の意見が正しいと思っていたけれど、多数派の意見が間違っていて少数派が正しい場合もあるということを知り、多数決についての意見が変わりました。

(10)すごいわかりやすいビデオだった。ヒトラーって人はひどい人だと思った。ユダヤ人の虐殺とか‥。あと、アメリカがイラクに攻めたのもダメだと思った。でも、日本も自衛隊を戦地に送ったというのがビデオで流れていて、ちょっとショックだった。戦争は絶対にダメだと思う。罪のない人が殺されたりケガをしたりするのは本当にかわいそうだし、戦争をしてもいいことは少ないと思うから。このビデオはすごく考えさせられるビデオだった。

(11)テロツプや当時の映像などもありとてもわかりやすいビデオだなと思いました。授業でやったこともでてきたし、ヒトラーの時を例にした説明や中学のときに勉強したこともあり見飽きることなく見られました。