教員が集う 中高生のための映像教室 『憲法を観る』
 
 
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生徒たちは画面をよく注視
2010年7月12日
土方功(ひじかたいさお)さん(川越たかしな分校・教諭)
 

 たかしな分校は軽度の知的障害の高等部だけの学校で、県立初雁高校という普通高校の中に設置されて3年目を迎えます(県立川越特別支援学校の分校です)。「基礎学力」をつけることをそれなりに大事にしている学校で、社会科も各学年2コマずつあり、1年生で地理的分野、2年生で歴史的分野、3年生で公民的分野に取り組んでいます。軽度発達障害の子どもたちとはいえ、抽象的思考はあまり得意ではないので、文書や口頭だけの説明では理解が中々難しい面がありますので、特に社会科では図や映像(DVD、テレビ放送、インターネットなど)を使って授業をすることが多くなっています。
  3年生の公民の授業では、1学期は憲法の学習を続けて行っています(現場実習などが入って2週間くらい授業がまったくないときもあります)。憲法前文を、自分たちで辞書を使って読み方、意味を調べ、自分の言葉に換えていくようなことから始まり、そこにこめられた平和への強い願いを学習してきました。その後は各条項の学習に入っていますが、すべてはできないので、基本的人権や天皇の位置づけ、国民主権、平和主義などに関係する条項を学んできています。ここで、言葉だけの説明ではなかなかイメージがつかないため、毎時間「憲法を観る」のDVDを役立てています。個人の尊重・自由権など、身近な高校生の会話から入っていくので、「こいつウゼー」とかいいながらも、生徒たちは画面をよく注視しています。特に関心を引いたのが「労働者の権利」に関してです。実際にアルバイトをしている生徒もいて、「労働組合」や「割増賃金」の話など、まったく今まで知らなかった世界だったようです。DVDでの話と関連させて、労働基準法の重要な部分をまし刷りしてさらに学習を深めたりもしました。
  2学期前半までこのDVDを使って学習をしていく予定です。

※このDVDの内容で、個人的に気になった部分があったので指摘させてもらいます。
  「第3章地元をつくるー地方自治」の内容で、肢体障害をもつ中学生が地元の中学に入学できない事件を取り上げています。この話自体はよく知っていますし、本人や保護者の望みがかなえられて本当によかったと思います。しかし気になるのは、障害児の就学問題を扱うときには、いつでもこういった身体障害(視覚・聴覚・肢体)の子どもたちが通常の学校に就学できる、できないだけがクローズアップされ、そこから「障害があっても通常学級に行くのが本来の姿」ということが強調されてしまうことです。数として一番多い知的障害の子どもたちにとって、カリキュラムの問題や様々な情緒的な問題、コミュニケーションの問題などを考えると、障害児学級や障害児学校で学ぶことが必要な子どもたちがたくさんいます。障害児学級・学校で学ぶことが彼らにとって学ぶ権利が保障されることだと思います。「権利としての障害児教育」という観点をしっかり持つことはとても重要だと思います。