教員が集う 中高生のための映像教室 『憲法を観る』
 
 
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「憲法を観る」を活用した憲法学習
2011年2月7日
稲次 寛さん(兵庫県立北条高等学校教員)

1 毎年憲法を学習するときに思うこと
   社会科を教えて、20数年になるが、いつもどうやったら憲法が、子どもたちの身近なものになるだ ろうと考えていた。高校では「現代社会」か「政治・経済」を担当するときに憲法学習がある。あえ ていえば政治分野の学習は、憲法学習で十分だと思っている。
   最初の頃は、憲法の条文を解説していたように思う。その条文の代表的な裁判を取り上げて考えて いた。例えば25条の生存権であれば「朝日訴訟」、人身の自由であれば「免田事件」というようにで ある。でも物足りなさを感じながら授業をしていた。
   次にリアルタイムな問題をとりあげて、それを憲法に照らし合わせて考えてみようと考えた。
  @靖国神社首相参拝問題 ⇒信教の自由・政教分離の原則
  A「あたらしい教科書をつくる会」問題 ⇒教育の自由・学問の自由
  B模擬投票 ⇒参政権

2 『憲法を観る』を活用して
   最近の実践では、何を憲法学習で学ぶのか、いかのようなことを考えながら授業に取り組んでいる 。最も難しいのが、「立憲主義」である。なかなか生徒は理解できないでいた。それを映像を見せる ことによって、生徒たちの中にすんなりと入っていったように思う。
  @憲法の条文が自分たちの生活に結びついていること
  Aひとごとではない自分の憲法意識を身につけさせたい
  B人生に憲法が関わっていることを実感させたい
  C憲法の条文ではなく、憲法の理念を学んでほしい
  実際にどう活用したのか?
   まずこの映像を見せただけではいけないので、授業の最初かまとめに使用する。私の場合は憲法学 習の最初に『憲法を観る』を見せ た。こちらが用意したワークシートに記入していく授業を行った。 とくに立憲主義の理解が、このDVDが有効ではないかと思う。
   生徒は「憲法は法律の親分で、国民が守らないといけない」と思っている。それを覆すのには、こ の映像が有効である。そして憲法 99条「憲法尊重擁護義務」へ入っていきたい。条文をみる、条文で 確認する作業も大切ではないかと考えている。「本物に出会わせる 」といわれたことがあって、実際に憲法前文を写させたことがある。じっくりと本物(条文)にあわせる授業を心がけている。クイズを やってみたり、歌を聞かせてみたり、色々工夫してみたけれども、やっぱり映像と条文で学習するべきだと思う。生徒はどう思っている のか、感想を少し載せておく。

生徒の感想から
   多数の生徒は、「分かりやすかった」といっている。「一人一人が大切にされて平和な世界がいい」「一人一人個性があってそれをい かして生きる権利がある」など人権に関する感想や憲法については、「憲法は大切で憲法によって自分らしく生きる」「憲法があって生 活が成り立っている」など重要性を理解している。「憲法は国民が守らなくてもよく、…」「憲法は国民が使うもの」という意見が多か った。少しでも憲法を身近に感じ、憲法の活用の重要性が理解できたのではないか。さらに改憲問題や将来、大学でも追求したいと書い ている生徒もいた。これからも憲法学習では、条文の解説ではなく、憲法の理念を伝えるような実践をしていきたいと考えている。日本国憲法を次世代にバトンタッチしていきたい。