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裁判員制度についての教育への期待
2010年7月26日
伊藤秀行さん(市民の裁判員制度めざす会 共同代表世話人)
 

この1年 時間の許す範囲で 裁判員裁判の傍聴に出かけ 結果として 3件の裁判すべてについて 最初から最後まで 傍聴することができた。傍聴する中で 裁判員裁判を 教育の一環として利用することを 真剣に考えるべきではないかと思うようになった。

従来の裁判の場合 1つの事件=裁判(民事・刑事 また行政裁判でも良い)を 最初から最後まで傍聴するということは 事件の当事者でない限り 大変難しかった。なぜ 難しかったか。例えば こういうことである。
ある裁判の一回目を傍聴し これは面白そうだと思っても 2回目以降の公判の 確実な日程を知る方法は難しい。各公判の折 次回は何日にするかを 決めるのであるが それは あくまで予定であり 裁判官・弁護士・検察官などの都合により 変更することがある。変更したことは 傍聴人には わからない。予定された日に その裁判があるかどうかは 傍聴に出かける当日の朝 裁判所に電話をし 確認するしかない。それを怠ると 折角出かけても 変更になっていて 無駄足を踏み 最後まで傍聴するという計画が 達成できなくなる。
憲法には 裁判公開の原則がうたわれている。この原則を尊重するなら 裁判所は ホームページに 予定が決まった裁判について 常に 最新の予定を 掲載すべきではないか。

一方 裁判員裁判の場合は 連日開廷であるので ムダ足を踏む心配はない。
そこで 春・夏休みに グループで 裁判員裁判を 最初から最後まで傍聴してみる。それは 裁判の仕組みを理解することに留まらず 被害者側・加害者側 それぞれの意見・考えを じっくりと聞くことになる。この点は 通り一遍の法廷見学とは 根本的に違う。更に 裁判終了後 グループで 裁判の内容を含め 話し合いをする。
一方で 裁判ボランティア(一定の訓練を受け 学生のグループ討議に アドバイザーとして参加)を養成し この傍聴をアシストする仕組みを用意できれば より効果的である。
裁判ボランティア(?)による 用語の解説や 公判の流れ・推定無罪の意義の説明等により 理解が確実になり 生徒は 自分の考え・意見をまとめるのに役立つであろう。
このようなボランティアに参加してくれる人がいるのかという疑問があるかもしれない。しかし アドバイザーを養成する制度を作っておけば 裁判員経験者の中から こういうボランテイア活動に 参加したいという人が増えるであろうし 定年退職後の社会活動として 学校教育に参加できるということで 参加してくれる人もいると確信している。

また 市民の裁判員制度めざす会(以下 めざす会)は学校教育に関連して 出前体験会ということを計画している。
めざす会は 市民が参加しやすい裁判員制度をめざし “気軽にやろう。楽しくやろう。続けてやろう!”という合言葉で 7年前より活動を始めた。 その間2回 裁判所のバリアフリー度を 車椅子利用者と一緒にチェックした。また裁判員の守秘義務問題について メディアの皆さんとシンポジウムを行った。裁判員制度運用に関して 法曹3者とのシンポジウムも開催した。更には 模擬裁判劇を2度 自ら上演した。
裁判員制度がスタートしたので 本年からは ミニ体験会と称して 自ら上演した模擬裁判劇の録画DVDを利用し 学校の授業や 学校祭のイベントとして また自治体の住民向け講座を対象に 出前体験会を行うことにしている。制度の理解には “百回の説明より 1回の体験”と思うからであり 評議を体験することは 学校教育に大変効果があると考えるからである 。
一方で 裁判員経験者や裁判員候補だった人に呼びかけ ネットワークの立ち上げを めざす会と同様な活動をしている 他のグループと共同で 進めている。その中から 裁判ボランティアをやってみようという人が 出てくると思っている。

 
【伊藤秀行(いとうひでゆき)さんのプロフィール】

1970年名古屋大学法学部卒業
物流コンサルタント会社経営(公共ロジスティクス研究所併設)