教員が集う 中高生のための映像教室 『憲法を観る』
 
 
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中高生に憲法の理念を伝える活動 −授業への参加と公開講座の開催
2012年3月19日
川島英雄さん(弁護士)
 
 私は、札幌弁護士会憲法委員会に所属し、平成19年から今年まで、高校の授業に参加したり、弁護士会主催の「中高生のための憲法講座」の企画に関わったりしてきました。
 以下で、私の活動と、こうした活動を始めた理由について述べさせていただきます。

 私は、現在の日本では、「日本国憲法の理念を踏まえないままの改憲論が議論されている」と考えており、そのような改憲論に対して非常に大きな危機感を感じています。
 私は、決して「永久に日本国憲法を改正すべきではない」という護憲派ではありません。日本国民がみな「日本国憲法の理念」を理解しており、それでもなお改憲が必要だと判断した場合には、憲法を改正してもよいと思っています。しかし、「今の時代にあった」とか「戦後60年を経過したから」などという理由が改憲の理由になるようでは、とても日本国民がみな「日本国憲法の理念」を理解しているとは思えません。このような状況で改憲が実現してしまえば、それはきっと国民にとって不幸なことだと思います。
 ですから、日本国民のできる限り多くの人が「日本国憲法の理念」を理解することが必要だと思っています。

 他方、私が所属する札幌弁護士会では、かなり以前から、重大な社会問題などをテーマとした市民集会を毎年数回開催し、広く一般の方に様々な情報発信をしてきていました。もちろん、憲法委員会主催の憲法問題に関する市民集会も複数回ありました。
 しかし、市民集会の参加者数は、多いときでも1000名に達することはほとんどないのが現状です。とすると、例えば毎年2回、憲法の理念を伝える集会を開催したとしても、どんなに多くとも年間2000人までの方にしか伝えることができないことになります。マスコミに取り上げてもらえれば集会を開催したこと自体は相当数の人に伝わりますが、しかしそれでは集会の詳しい内容は伝わりません。

 そこで私が考えたことが、市民集会という方法よりもより広く「日本国憲法の理念」を伝えることのできる方法を探すことでした。そしてその方法としては、集会のように積極的な参加者を求めるのではなく、こちらから押しかけていってしまうことがよいと考えました。
 そこで私が考えたのが「誰もが必ず通過する教育課程の中で憲法の理念を教えること」でした。これが実現すれば、毎年1000人どころか、もっと莫大な人数の生徒に憲法の理念を伝えていくことができるのではないかと考えたのです。
 こうして、私が平成19年に札幌弁護士会の憲法委員会で発案の一翼を担い、これまでの市民集会型の情報発信以外の方法で憲法の理念を伝えていくため、学校の授業への講師派遣ということを開始したのです。

 とはいえ、実際に始めてみると、試行錯誤の連続です。学校によって環境が違うため同じ内容の授業が行えるとは限らないこと、厳しいカリキュラムの中に入っていくことが難しいこと、そうした理由から派遣できる学校がなかなか広がらないことなど、この5年間でもなかなか派遣先を増やせていないのが実情です。
 もっとも、初めからご協力いただいている高校の先生方には毎年継続してご協力いただいていますし、新たに派遣先になった学校も増えていますので、少しずつではありますが確実に進んでいるところだと思います。この1年間、昨年4月から本年3月までの間だけでも、4校の高校に講師派遣させていただき、合計で1000名を超える高校生に授業をさせていただきました。
 また、札幌弁護士会では、平成19年に初めて「中高生のための憲法講座」を開催し、毎年3月に継続開催して、今年も3月10日に第6回の講座が実施されたばかりですが、この講座は年々参加生徒数が増えてきています。これは、この間の地道な活動が徐々に浸透してきていることによるのではないかと、手応えを感じています。

 私は、今後も地道に活動を続けていきたいと考えています。
 ぜひ他の地域でも、このような「誰もが必ず通過する教育課程の中で憲法の理念を教えること」を少しでも多く実現していただき、より多くの人に「日本国憲法の理念」を理解してもらえるようになって欲しいと願っています。
 
【川島英雄(かわしま ひでお)さんのプロフィール】

平成15年弁護士登録(56期)
札幌弁護士会憲法委員会に所属