社会主義政権下にあったポーランドでの労働者・ワレサの、国民の自由と生活のためのたたかいとその勝利を描いた映画です。
1980年代、ポーランド国民は生活苦に喘ぎ、労働者は過酷な労働条件を強いられていました。造船所などにも労働組合がありましたが、その活動は労働者の生活・権利よりも社会主義体制の維持を優先するものでした。国民は政府から監視され、自由にものが言えませんでした。労働者の仲間たちから信頼されていたワレサは自主管理労組「連帯」を率いるようになり、当局の弾圧に屈せずにたたかい、やがてノーベル平和賞を受賞し、そして勝ち取った選挙で勝利し、大統領に就任しました。そのたたかいはソ連と東欧の社会主義の崩壊につながることになりました。
当時のポーランド社会とそこでの労働者・国民のたたかいがリアルに再現されています。迫力満点です。ワレサのたたかいは感動的で、観る者に"社会は変えられる"ということを見事に示しています。日本国憲法に規定された自由、そして生存権、労働基本権などの意味を確信させてくれます。
ソ連、そしてポーランドなど東欧での社会主義体制の確立と崩壊の歴史の評価と分析は決して単純なものではないと思われますが、自由というものの価値の普遍性は確認しておきたいものです。この映画を観て、強く感じることになりました。
【映画情報】
製作国:ポーランド
製作年:2013年
上映時間:127分
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ロベルト・ヴィェンツキェヴィッチ、アグニェシュカ・グロホフシカ、ほか
公式サイトはこちら。
現在、東京・岩波ホールで上映中。全国順次ロードショー。
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