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影絵アニメーション『煙突屋ペロー』

花崎哲さん(「憲法を考える映画の会」代表)
                                                           


©2015 SIGLO

『煙突屋ペロー』は、戦前の1930年(昭和5年)に製作された影絵アニメーションです。当時京都の同志社大学の学生を中心につくられた10名程度のアマチュアのグループ童映社によってつくられました。

【ストーリィ】
トム・タム国の煙突屋ペローは、鳩を助けたお礼に「兵隊の出る卵」をもらいました。
ペローは王子様の乗る汽車を壊してしまい、死刑を宣告されます。ちょうど戦争が始まり、ペローは「兵隊の出る卵」を使って手柄をたて、許されて田舎へ帰ることになりました。
しかしその帰り道、ペローの見たのは痛ましい戦いの傷跡だったのです。

【解説】昭和5年、京都の童映社によって製作されたもので、23分の長さの貴重な戦前アニメーションです。製作時の言論規制の中、正面から「反戦」というテーマに取り組んでいます。                       
昭和62年に偶然京都で発見され、当時の検閲で1/4がカットされていたため、製作者と現代のアニメスタッフが協力しあって復元させました。当時から子どもたちに向けた上映活動を行われていてその当時の様子が関係者によって伝えられています。
            
「『煙突屋ペロー』の製作当時は、正面きって『反戦』を言える時代ではなかったのです。
しかし、当時の市民は誰しもが内心では、ペローのように戦争否定の気持ちを持っていました。
どんどん戦争へ流されていくことに、心の中での抵抗はあったけれど、表面に立って反対することはできませんでした。そんな時代だっただけに、子ども相手のアニメでも反戦を訴えることは大変勇気のいることだったのです。でもやらずにはいられませんでした。
当時のこどもたちは、ペローの国が勝つ場面では拍手しましたが、戦争否定のところでは、みんなしんみり聞き入っていました。」旧童映社同人 柴田五十五郎

よく「息苦しい時代になってきた」という言い方がされますが、1930年という時代の空気、人々の気持ちというものがこのアニメーション映画からも推しはかることができます。この時代にこうした反戦アニメーション映画がひっそりと作られ、子どもたちに向けて上映されていたということにも驚きます。検閲でカットされながらも、こうした映画を子どもたちに見せるために作ろうとした若い人たちの気持ちも痛いほど感じます。
戦争に反対する作品を勇気を持って大変な思いでつくらなければならなかった時代、そして目に見えない「検閲」や規制から「戦争に加わってはいけない」という声が届かなくなってしまう時代、そうなってはいけないという思いを込めてこの影絵アニメーションを子どもたちと共に話ながら見るのも良いかと思います。

【映画情報】
製作 : 京都童映社 原作・脚色 : 田中善次 
プロキノ委託 深田商会配給  
1930年作品(1987年復元)/23分/DVD 影絵アニメーション映画
学校・図書館用 ¥10,000(税抜)+消費税 個人用 ¥5,000(税抜)+消費税         
発売元 : アジア・ワイド・コミュニケーションズ   

【参考文献】
この作品が製作された時代の状況をテーマとした論文があります。
影絵アニメーション『煙突屋ペロー』とプロキノ─1930年代の自主制作アニメーションの一考察─ 禧美智章


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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