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映画『天皇と軍隊』


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 こんにちの日本社会とそれが形づくられた歴史に目を向けたとき、「天皇と軍隊」がその最大のポイントとも言えるでしょう。戦前の日本は天皇主権の国で、天皇の軍隊が戦争に突入していったわけですが、戦後は新憲法によって天皇主権が国民主権に切り替わり、そして軍隊が廃止されるという大転換があったからです。
 この映画は、なぜ、そしてどのように日本社会が転換することになったのか、その新しい日本社会はその後どのように展開してきたのかを、歴史的なニュース映像や各分野の識者のコメントなどで検証するドキュメンタリーです。
 まず、戦前から戦後にかけての天皇制をめぐる経緯を丹念に追っています。アジア太平洋戦争・第二次世界大戦終結後、日本の天皇の戦争責任を追及する国際世論が広がりました。しかし、占領軍最高司令官・マッカーサーは日本の占領政策の円滑な遂行のために天皇の戦争責任を追及しませんでした。ただし、国際社会の理解を得るためには日本が戦争放棄・軍隊不保持という選択をすることが不可欠でした。そのような経緯が描かれています。
 マッカーサーがこのような判断をした背景には、日本人の天皇・天皇制に対する意識もあると思われます。映画のラストに、戦後間もない時期に広島市民が昭和天皇を熱狂的に歓迎するシーンが映し出されました。原爆投下によって甚大な被害を受けた広島でも、日本国民の多くが、戦争を遂行した、その天皇を敬っている姿に、これが多くの日本国民の感覚なのだろうと考えさせられることになりました。


(C)英王立戦争博物館

 この映画は、軍隊を廃止したはずの日本の戦後のあり様も掘り下げています。日本は戦後、アメリカに軍隊の基地を提供し、自衛隊をつくり、そして自衛隊を海外の戦地にまで派遣するようになりました。戦争放棄・軍隊不保持などを定めた憲法の「改正」を主張する安倍政権が生まれました。こうした経緯とともに、その背景にもなっている、愛国心を強調する思想などを紹介しています。作家・三島由紀夫氏の主張とその割腹自殺の映像などは強烈です。
 この映画は、日本が軍隊を持たないことにしたことと、ところがその考え方が変化してきている日本の歴史と現状を明らかにし、問題提起する作品だと言えるでしょう。主にフランス人に対してそれを知らせる目的でつくられたようですが、多くの映像等を用いながらも要点をコンパクト・端的に伝えるものとなっています。日本人にとっても日本社会を問い直させてくれる作品だと思います。

【映画情報】
制作国:フランス
原題:Le Japon, l'Empereur et l'Armee
制作年:2009年
上映時間:90分
監督:渡辺謙一
公式サイトはこちら
現在、東京のポレポレ東中野で上映中(10月30日(金)まで)。今後、福 岡、大 阪、福 島、兵 庫、広 島で上映予定。日程・上映館などはこちらでご確認ください。

<法学館憲法研究所事務局から>

■当サイトではこれまでも憲法の平和主義や天皇制、戦後史などに関わる映画等を紹介してきました。下記ページでご確認ください。
「平和主義・平和的生存権」を考える書籍や映画
「戦争責任・補償」を考える書籍や映画
「天皇制・『国旗・国歌』・政教分離」を考える書籍や映画
「戦後史」を考える書籍や映画

■当研究所もその制作にあたったドキュメンタリー映画『戦争をしない国 日本』は、憲法9条の制定とそれが日本社会に果たした役割、憲法9条をめぐる攻防などを描くものとなっています。こちらでご確認ください。そのDVDの続編「STOP戦争への道」とのセット販売も行っています。こちら


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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