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憲法情報Now<シネマ・DE・憲法>

 

『白バラの祈り ゾフィー・ショル最期の日々(原題 Sophie Schol-Die Letzten Tage)上映会


花崎哲さん(「憲法を考える映画の会」)
                                                           

 

 第二次大戦下のドイツでナチスに抵抗して死刑になったミュンヘンの若者たちのグループ「白バラ」。その中で唯一の女性21歳のゾフィー・ショルが逮捕されて処刑されるまでの5日間を描いたドイツ映画『白バラの祈り ゾフィー・ショル 最期の日々』の上映会をご案内します。「憲法を考える映画の会」,1月31日の上映会です。

 この映画は、第55回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞しました。日本では2006年に劇場公開されています。この映画についてはこの「シネマDE憲法」欄でも2006年3月20日に紹介されていますので、そちらもご覧ください。ここでは私達が、なぜ今この映画を選んで上映会をしようとしたかについて少し説明させてください。
 
 安倍政権ができて「憲法改正」を言い出したときから、私たちはこの憲法の映画会を始めました。映画会を始めた頃から私たちがもっていた関心の一つに「ナチスにしても、戦前の軍国主義の日本にしても、なぜ、あのようなことに国民の多くが同調してしまったのだろうか」ということがありました。
 今、私達の国の政治や社会の中で、同じような動きが起きていると考えていますが、どの様にしたらその危機感を多くの人に感じてもらえるかと考えたからです。
(過去に私たちがこの映画会で取り上げた映画の中でも『ありふれたファシズム』や『東京裁判』などは同じテーマをとらえようとしたものです)

 ところが残念なことに、このところの動きはますます心配していた政治状況、社会状況に近づいてきてしまっています。今回の映画を見ても感じることは、「こうなってからではおしまいだ」「こうならなくなる前に何とかしなければ」という思いです。
 とくにいま安倍政権が憲法改正への第一歩としてもくろんでいる緊急事態条項は、ナチスがそれまでのリベラルなワイマール憲法を事実上無効にし、独裁政治への変貌を遂げた「大統領緊急令」「全権委任法」になり得る危険性をはらんでいます。まさに麻生副総理兼財務相が2013年7月に「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と口を滑らした「ナチの手口」に似た法律です。
 「もし災害やテロが起きたら」と表向き反対しにくい想定の内容で、一度法律になってしまえばどうにでも使える歯止めのない法律になってしまいます。
 私たちはこの映画から、その後のドイツがどんな国家になっていったかを映画の中で見ていくと共に、どうしてそのようなことになったかについての資料を集め、そうさせないために私たちひとりひとりはどうしたらよいかを考えていきたいと思っています。

 この映画を見て感じたり、考えたりすることはたくさんあります。主人公ゾフィー・ショルは当時21歳です。今、若い人の中から、今の政治状況、社会状況に「このままではいけない」と考えている人が出てきていますが、そうした人が、あるいはまだそう考えていない人も、この信念を通して権力に立ち向かっていったゾフィーの生き方を知って、考えることはたくさんあると思います。 
 この映画の監督も意外に若く、この映画を作ったときに37歳でした。
 ちょうどドイツでも、ナチスや第二次世界大戦の時のことを知っている人が次第にいなくなってしまってきた時期に、この映画を作ることを考えた、と言っています。社会の状況、歴史、そこでも若い人たちの今の情況と重なるものがあります。
 監督はインタビューに答えています。
 「私たち若い世代の監督、あるいは若い世代の人間は、戦後に生まれ、戦争に対する罪の意識を持つ必要はないと思うんですね。ただ過去に起こってしまったことから、未来のために何かを学ぶ責任はあると思うんです」
 
 私たちはこうしたひとりひとりが自分のこととして考えられる映画を上映して話し合っていくと共に、もっと多くの人がそれぞれの仲間と、あるいは地域で集まって映画会を開いて話し合っていってほしいと思っています。この映画はそのおすすめの映画の一つです。

 なおこの欄で紹介されている書籍『映画で学ぶ憲法』でも、この『白バラの祈り ゾフィー・ショル 最期の日々』が「抵抗運動における良心と表現の自由」というテーマで紹介されています。合わせてご覧になると考えるべきことがより明確になります。

第23回「憲法を考える映画の会」
日時:2016年1月31日(日)13:30〜16:30
会場:東京体育館 第2会議室
(総武線千駄ヶ谷駅・地下鉄大江戸線国立競技場駅2分)
映画『白バラの祈り ゾフィー・ショル 最後の日々』(120分)2005年制作ドイツ映画
参加費:一般1000円 学生600円

【映画情報】
監督:マルク・ローテムント
製作:クリストフ・ムーラー スヴェン・ブーゲマイスター フレート・ブライナースドーファー マルク・ローテムント
脚本:フレート・ブライナースドーファー
撮影:マルティン・ランガー
美術:ヤーナ・カレン
衣装:ナターシャ・クルティオス=ノス
編集:ハンス・フンク
音楽:ラインホルト・ハイル ジョニー・クリメック
出演:ユリア・イェンチ (ゾフィー・ショル)
  アレクサンダー・ヘルト(ロベルト・モーア尋問官)
  ファビアン・ヒンリヒス(ハンス・ショル)
  ヨハンナ・ガストドロフ(エルゼ・ゲーベル)
  アンドレ・ヘンニック(ローラント・フライスラー裁判官)
  フロリアン・シュテッター(クリストフ・プローブスト)
  ヨハネス・シューム(アレクサンダー・シュモレル)
  マキシミリアン・ブリュックナー(ヴィリ・グラーフ)
  リリー・ユング(ギゼラ・シャーテリング)
  ユーグ・フーベ(ロベルト・ショル)
  ペトラ・ケリング(マグダレーナ・ショル)
  フランツ・シュターバー(ヴェルナー・ショル)   (スタッフ・キャストはallcinema)
2005年制作 120分 ドイツ映画 配給:カルチュア・エンタテインメント株式会社


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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