法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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映画『不思議のクニの憲法』


花崎哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           

 映画は、昨年来、安保法制のデモ、集会、学習会に明け暮れた自分たちの動きを確認するような紹介から始まります。ごく普通の若者が、ママが、そして高齢のお年寄りが、やむにやまれぬ気持ちから国会前なりで出て、声をあげたことがわかります。それらの運動を作ってきた人たちの"思い"をインタビューによって聞くことから始まります。これが言わば第一部。

 映画は大まかに三部構成になっているかと思います。
 二部目は歴史編。日本国憲法が「成立するまで」と「成立してから」がどのような時代であったか、戦後70年の政治とその時々の人々の気持ちを振り返ろうとします。
 とくにアメリカ追従の外交、軍事、政治が、どのように憲法を変え、その理想を弱いものにしていったか、初めて見るようなニュースフィルムなども交えて見せていきます。対米追従を辞めようとした政治の試み、その揺り返しのように自衛隊がつくられ、日米安保体制の中で再編・強化されていく過程。その中で取り残され続けている沖縄、基地問題。「沖縄は未だに憲法を手にしていない」のタイトルはあらためて私たちがそれを放置していること、そして戦後史の中で憲法とは何だったのかを考えさせます。

 「平和主義」に限らず、憲法の三原則の「国民主権」、「基本的人権」についても現在に至る戦後の歩みの中で、それら憲法によってどのように社会が作られていったのか、また、守られていないのか、今、ないがしろにされようとしているのかを浮き彫りにしていきます。

 第三部は、現在の憲法を巡る論議です。
 とくに世界の紛争の現実を知り、自衛隊派遣の危険性を知る伊勢崎賢治さんの「護憲的改憲」の主張はやや挑発的な言い方でもありますが、従来の憲法についての映画では見られなかった国民の欺瞞への突っ込みを感じます。
 改憲をすすめようとする側の自民党の船田元さんは、ソフトな語り口で語ってはいますが、「自分はそうは思っていないとか」「改憲草案づくりには関わっていない、その時自分は落選していたから」などとどちらかと言えば、論議をかわそうとしている印象があります。この映画がどういう立場から作られている映画かを探っているのか、映画の編集での切り取り方がそうなのか、あるいは「改憲草案」そのものが論議することに対して弱体だからなのか、これもいろいろなことを感じさせます。「自分たちはどのような国を、社会を作ろうとしてこの憲法を変えようとしているのか」と言った強い主張をもった言葉はありませんでした。

 この映画を紹介してくれた方は、「専門家ばかりでなく、いわゆるフツウの人にとって憲法って何?という視点から全国で話を聞いた、というところが特徴のようです。」とこの映画のねらいを説明してくれました。
 映画は一貫して私たちの生活と生命との関わりにおいて憲法について考えようとしていることがわかります。どのように言ったら国民一人ひとりが自分たちの問題として憲法を考え、主体的に論議を深めることが出来るのか、それを考えようとしていることが伝わってきます。
 この映画をどのような形で利用して、今起きている問題について問題を感じていない人に届けるのか、問題を感じている人がそうした人たちのところに持って行けるのか、この映画の役割はこれからだと思います。それを担うのは、おそらくこの映画を見た人たち、論議することの重要性をあらためて感じた人の役割と思います。 

 映画の中に「戦争放棄は国民の権利」という言葉があります。なるほど、この言葉に日本国憲法の基本とそのめざすものが集約していると思いました。そしてそれは「戦争放棄は世界の人々の権利」と拡げていけばいいのだと思いました。「誰の子どもも殺させない」という「安保関連法に反対するママの会」の言葉と対になります。世界中の戦争を反対する人々と連帯することが出来るのがこの憲法であるとわかります。

【内容】

●立憲主義って何?
●歴史に学ぶ(敗戦から日本国憲法の成立まで)
●Peopleを主役に(国民主権)
●侵されてはならぬもの(基本的人権の尊重)
●封建的家族制度からの解放(男女平等)
●進む憲法の空文化(9条・戦争放棄をめぐって)
●戦後の日米外交史
●沖縄は憲法を手にしているか
●未来に向けて〜18歳選挙権と若者の政治参加
●そしてあなたは何を選ぶのか?
(自民党の改憲案・護憲派の主張・護憲的改憲派からの提案)

公式ホームページ

【制作スタッフ】

監督:松井久子
音楽:長谷川久美子
プロデューサー補:山田睦美
助監督:上村奈帆
制作・著作:株式会社 エッセイコミュニケーションズ
制作協力:MOCAL
支援:「私たちの主権」委員会
日本映画 2016年 123分 

【上映】

2016年5月21日(土) 渋谷シネパレス
   6月 4日(土) 大阪シアターセブン
   6月 4日(土) 京都立誠シネマ
   6月11日(土) 横浜シネマリーン
   6月11日(土)17日 名古屋シネマスコール
   6月11日(土)17日 神戸アートビレッジ


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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