法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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映画『太陽と月と 〜 私たちの憲法の人々の情熱 〜 』


花崎哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           

 日本国憲法の成立過程を追った映像作品は、ドラマ、ドキュメンタリーあるいはテレビ番組といくつかあります。私たちもこれまでその中から何作品かを選んで上映会を行ってきました。
 『日本の青空』、『ベアテの贈りもの』『日本国憲法誕生』『映画 日本国憲法』『戦争をしない国日本』といった作品です。
 それらは、いわゆる改憲勢力が言うところの「戦後憲法はGHQに押しつけられた」という主張に対して、当時の日本人の総意に基づくもので、内容、方法ともに、けして「押しつけ」ではないことを明確にしようとするものです。
 この映画では、とくにそうした日本国憲法が作られる経緯を、明治の自由民権運動の中での憲法案づくりにさかのぼってとらえています。またGHQ内部でどのような憲法草案づくりが行われたか、今まで知られていなかった新しい発見も含めて紹介されています。
 特にGHQの民政局の憲法案をつくったンバーがどのような専門性と知識をもって、明治以来の日本の民権運動を理解している人達だったかの解説は、とても新鮮に感じました。

映画のあらすじ(「太陽と月と」DVDジャケットの解説より)

第一部 日本国憲法の水脈
1968年、東京経済大学色川ゼミの調査団は、東京都五日市(現あきる野市)へ歴史調査に訪れた。そこで明治期の貴重な憲法草案を発見する。起草者は、千葉卓三郎。後に地名に因み「五日市憲法草案」と名付けられた。
明治前半期、土佐では、自由民権運動が台頭、運動の中から「東洋大日本帝国国憲案」という憲法草案が生まれた。起草者は植木枝盛。二つの憲法案は、イギリスの人権宣言に発する人権思想を反映した民主的な草案であった。
しかし、明治政府による民権運動の弾圧と共に東西の憲法草案は、地下水脈となる。

第二部
1936年、憲法学者の鈴木安蔵は、高知で植木の「東洋大日本帝国国憲案」を発見する。アジア太平洋戦争が終結し、新憲法の制定が始まる。鈴木らは憲法研究会を作り独自に憲法案を作成する。連合国総司令部GHQの総司令官マッカーサーも、憲法案の作成に着手する。
近年の研究によって、アメリカ国務陸軍海軍の三省の調整委員会によるSWNCC(スウィンク)228の実態が明らかになった。そして、それらが総合された思想にポツダム宣言、千葉や植木ら明治期の憲法案などすべての英知が合流し、1946年、大河として日本国憲法は誕生する。

 GHQ内部での憲法案作りに関わったメンバーとその人選はこの映画で見る限り、きわめて適材適所で、よくぞこのような人を配置したと感心します。こうした憲法草案づくりに功績のあった人の仕事にこそ、本来なら日本の政府と国民はもっと認識し、顕彰すべきなのではないか、とさえ考えました。そうすることによって日本国憲法が目指しているものをより明確に認識できると思うのです。
 そのGHQのメンバーが、いかに日本の戦前の政治、なかでも民主的なものを目指した思想があったことを知っていたかについても資料に基づいて説明されます。
 たとえば国務省出身で外交官だったアッチソンは戦前の政治学者の上原悦三郎や吉野作造らが書き、アメリカで刊行された著作をもとに「明治憲法についての7項目」の問題点を指摘しています。
 また日本生まれのノーマンは、近代日本の研究家で、戦前すでに「日本における近代国家の成立」を発表し、そこには高知の植木枝盛の立志社の憲法草案についても記述しています。
 それらの人がどのような情熱と思いをもって、憲法をとらえ、日本国憲法はどの様なものであるべきかと考えたことが伝わってきます。そういう思いをもってあらためて日本国憲法の条文をひとつひとつ読み直すと、日本国民にとっても幸運な巡り合わせであったような気がしてなりません。
 まさにこの作品の副題にある「私たちの憲法の人々の情熱」です。
 そしてそれが、憲法を作った人々の情熱であるとともに、その時代に生きた日本の国民の思い「戦争はもうこりごりだ」、「民主的な国を作るんだ」という願いや希望を感じさせます。あるいは、「世界から戦争をなくしていこう」とする理想の憲法をもつ誇りさえも感じられてきます。そこにはまた明治以来の民主的な憲法を希求してきた人々の情熱が、ちゃんと生きてつながっていることを感じさせられます。
 私たちは憲法の論議がさらに盛んになるであろう、これからの動きの中で,憲法について知り、考える映画をもっと活用していくことを、拡げていきたいと思っています。
 そうした中でこの映画もまた役に立つ映画と考えています。

【映画情報】

監督・脚本:福原進
プロデューサー:峯岸和生
出演:立川志らく
語り:中田浩二

総監修:原秀成 
監修:新井勝紘/筒井秀一(第一部)・小西豊治(第二部)
監督補・編集:筒井勝彦
撮影:内藤雅行
音楽:三戸誠
録音山田陽(サウンドチーム・ドンファン)
プロデューサー補:福原まゆみ
スーパバイザー:高須基仁(モッツ出版)
CG:岡村武男
ナレーター:高木千穂(劇団「櫂」/尾田量正
協力:国立国会図書館/国立公文書館/日本評論社/高知市/あきる野市/五日市図書館/高知市自由民権記念館/吉野作造記念館/米国国立公文書館/米国マッカーサー記念館/在カナダ大使館/小金井司法クラブ
制作協力:オフィスハル
制作・著作・販売:太陽と月と製作実行委員会
連絡先:0422-41-6232

2008年制作 日本映画 118分

予告編:https://www.youtube.com/watch?v=gN8ExmwXg9I

<法学館憲法研究所事務局から>
当研究所のホームページの今週の一言(2011年9月5日)に、この作品の監督・福原進さんにご寄稿いただいています。
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20110905_02.html


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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