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映画『みんなの学校』


花崎 哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           

私の自宅から歩いて5分もないところに、客席300席位の市民ホールがあります。今年の夏、そのホールでこの『みんなの学校』の上映会があるというので、少し早めに出かけたのですが、すでに満席。当日券はないそうです。それほど多くの人が見たいと思う映画なのかと、ちょっと驚きました。
それから半年後、やっとこの映画を映画館で見ることができました。けっこう混んでいて、私は最前列で、同じ席の並びに映画を見に来たお母さんに連れてこられた小学生が何人もいました。映画の間、彼らは行儀が良く静かでした。この映画の中で伝えたいことは大人向けで難しいことと思いますが、自分たちの身近な小学校を舞台にした1年の出来事、彼らにとっても関心が無いはずが無いのかもしれません。

【映画の解説】
大阪市立南住吉大空小学校。ここでは、発達障害を抱えた子、自分の気持ちをうまくコントロールできない子など、いわゆる特別支援の対象となる児童も同じ教室で学ぶ。大空小学校が目指すのは不登校ゼロ。
教職員、保護者、地域の大人たちだけでなく、子ども同士も一緒になり「みんながつくる、みんなの学校」のスローガンに取り組む姿を長期にわたり取材。
そこには、ごく普通の公立小学校が実践する濃密な教育の姿があった。(映画.com『みんなの学校』解説より)

発達障害を抱えた子ども、自分の気持ちをうまくコントロールできない子ども。そうした子どもがそれぞれ勝手な動きをする教室の実際の様子を見て、私自身、まず思ったのは「これは大変だなあ」「どうすれば良いんだろう」「こういうの困るよなあ」という気持ちです。
この学校にはいろいろ「問題児」がいるから、子どもをこの学校には入れたがらないと思う親が多いといいます。でもこの学校では、学区の子どもは誰でも受け入れることを方針にしています。
障害の子も、そうでない子も一緒の方が良いということは、頭で考えて、理解しているつもりです。でも授業を抜け出す、大騒ぎする子ども達を目の当たりに見せられると、まわりの勉強したいと思っている子どもはやっぱりこれじゃあ迷惑だろうと思ってしまいます。
映画の中の新任の教員ではありませんが、そんな「処遇困難」、「どうしたらよいかわからない」という思いをしたときのことが思い出されました。

はじめ子ども達が何を感じているのかわからないので、てこずっていたのが、(それこそ先生方の大変な努力の結果)いろいろなきっかけから変わっていく、通じるものができていく過程は確かに感動的です。
しかし私はむしろ、まわりの子ども達の表情の方にひかれました。困ったなあ、でも何とかしなければという彼らの表情が切ないくらいの愛おしさを感じてしまいます。
まわりの子ども達も、そうしたことの間で困ったことで、そしてぶつかりあったことで、彼ら自身が変わっていく、そこがかけがいのないところなのではないでしょうか?ここで彼らのそうした「経験」をもとに、彼らの「人間」が作られていくのを実感します。
木村校長先生の話の中にも、「障害のある子を支える、まわりの子ども達を育てる、親が変わる、そして地域が変わる」ということばが出てきます。あるいは「その子が変わったのは、まわりの子が変わったから」ということがわかってきます。

ここでの実践は、それと同じように、障害のある子どもと障害を持たない子どもが一緒に学ばせることで、むしろ障害を持っていない子どもが育てられるというもっとも奥にあるものが育っていくところをめざしているのではないかと感じました。
そしてそれらは教職員にとっても同じです。
親にとっても、地域の人たちにとっても、またそうした「みんな」が作り上げる社会にとっても新しい可能性が拓かれるものになるということなのでしょう。

この映画をときの文部科学大臣がとても評価して、文部科学省内で大規模な試写会があったそうです。私は学校の現場から障害児を分けて、効率化のみを進めて、差別と選別の教育を作ったのは長年の文部行政が張本人だと思っているので、さて、文部官僚の役人さんたちはこの映画を見てどんな風に思ったのだろうと興味深いものがあります。
せっかくのそうした機会を得て、役人のひとりひとりが個人個人の立場で、自分たちが小学生だった頃のことを思い出し、想像し、自分も含めて、どのような教育を受けることが子ども自身にとって良いことなのかを考え、実践してほしいと思います。

スタッフ
監督:真鍋俊永
企画:迫川緑
プロデューサー:中尾雅彦 加藤康治 兼井孝之
撮影:大窪秋弘
撮影助手:堀貴人
編集:北山晃
編集協力:秦岳志
整音:中嶋秦成
音響効果:萩原隆之
題字:谷篤史
ナレーション:豊田康雄
配給:東風
キャスト
2014年 日本映画 106分

公式ホームページ:http://minna-movie.com/

予告動画:https://www.youtube.com/watch?v=4WV4hqxrafo

自主上映・上映スケジュール:http://minna-movie.com/jyouei.php 
基本上映料=1日につき60,000円(税込)
  ※有料入場者数が150人までは60,000円
  150人を越えた場合は有料入場者数×400円が上映料になります。



 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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