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映画『武器なき斗い』


花崎 哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           

 共謀罪法案をめぐって、「共謀罪が治安維持法と似ている」「それ以上にひどいものだ」と言われることから、憲法を考える映画の会では治安維持法を知るために、三つの映画を選んで毎月連続上映しています。この欄でも紹介させていただいた『横浜事件を生きて』『小林多喜二』そしてこの『武器なき斗い』です。
 この『武器なき斗い』は1960年に制作された山本薩夫監督の作品で、戦前の1929年、治安維持法改悪にただ一人反対し、右翼の兇刃に斃れた労農党代議士、山本宣治の生涯を描いたものです。

 この映画を上映会の準備のために試写したときに、仲間の一人から「あまりに今の状況と重なることに暗然とした思いがした」という感想がありました。
 たとえば、山本宣治が大学にいられなくなるに至る圧力。政府のやり方に反対して物言おうとする人間に対して、表に裏にその動きをかぎまわり嫌がらせを繰り返す警察権力。あからさまな選挙妨害。答えになっていない答弁を繰り返し言い逃れに終始する国会の政府答弁。「ことなきを得る」ために山本宣治に治安維持法改悪反対の演説をさせないことを画策する野党幹部。そして言論を弾圧し、テロという暴力によって社会のために活動する人を抹殺しようとする動き。それらを正しく伝えようとしない報道の規制。まさに今、あちこちで明らかにされないまま進められている例と比べ、ひとつひとつを数えてしまいました。
 侵略戦争への道を開くためのこうした内向けの準備、反対するものを抹殺し、言論を押さえつけることによって着々と進めていった戦前の歩みと、「今」が重なることを感じて慄然とします。

 しかし、戦前のあの時代、何もできなかったとばかり思っていた時代にあっても、農民運動や労働組合運動、あるいは治安維持法反対の運動さえもかなり活発に行われ、暴政を行う権力に対して何とか社会を正しいものにしていこう、人間をまもろうと闘った事実があったことをこの映画で知りました。それぞれの時代の空気のようなものを実感として感じることができました。知ると、それらを今こそ伝えなければならないと感じました。
 同時にまた、ラストで描かれた山本宣治の墓前での誓い「このようなことは繰り返されてはならない」「今度こそ戦争をしようとする奴、民主主義をつぶそうとする奴は絶対に許さない」の誓いは、この映画が制作された1960年の状況を強く反映させるものであり、今また私たちに対しても痛切に訴えてくるものです。

 映画を見ながらなお「わからない」「もっと知りたい」と思えてくることがたくさんあります。
 たとえば山本宣治を暗殺した犯人黒田は、その後、当時の裁判によってどのように裁かれ、処せられたのでしょうか?またこの事件は、当時、どのように報道されたのでしょう。その後、背後関係は戦後になってからでも、どのように明らかにされたのでしょうか?
 戦争ができる、戦争を進める国にしていく時代の中で、報道と司法、教育がどのような役割を果たしたのか、またそれらはどうして国民をまもる本来の働きをしなかったのか、そうしたことを明らかにして同じ過ちを繰り返さないためにも、こうした映画から学び、さらに調べて、今こそ役に立てていきたいと思っております。

 映画『武器なき斗い』は3月26日(日)に「憲法を考える映画の会」で上映し、話し合う場を作りたいと思います。そのころ共謀罪法案の動きはどうなっているでしょうか。
 また、この作品のDVDは購入できますので、共謀罪法についてその危険を感じ、それを多くの人に広めていきたいと考える方は、上映するなどして治安維持法のイメージを共有し、共謀罪法反対の意思を高め,拡げ、役立てていって欲しいと思います。

【スタッフ】
監督:山本薩夫
脚色:依田義賢、山形雄策
原作:西口克己
企画:山宣映画化実行委員会
製作:角正太郎、伊藤武郎
撮影:前田実
美術:久保一雄
音楽:林光
録音:安恵重遠
照明:田畑正一
編集:河野秋和
協力監督:今井正、小坂哲人

【配役】
山本宣治:下元勉
山本千代(妻):渡辺美佐子
山本治子:小谷悦子
山本亀松(父):東野英治郎
山本多年(母):細川ちか子
本田(学生):中谷一郎
のぶ(労組書紀):谷育子
清(農民):小沢昭一
さき(その母):岸輝子
滝井のおばさん:毛利菊江
柳(地下党員):浜田寅彦
谷(地下党員):宇野重吉
木村(労農党書記):山本學
岡本(日農委員長):大町文夫
小原(日農幹部):福原秀雄
久米(地下党員):斎藤美和
中山(支配人):山村弘三
蓮田(宣治の従弟):山内明
加地(弁護士):中村俊一
三浦(教授):信欣三
渡辺(教授):清水優夫
藤崎(大学助手):矢野宣
長船(大地主):河原崎長十郎
大上(大地主):小沢栄太郎
峯(差配):松本克平
北島(刑事):田中邦衛
巡査部長:三島雅夫
杉森(親分):多々良純
春駒(芸者):利根はる恵
黒田(七生義団員):南原宏治
望月(内務大臣):宮口精二
秋田(政府委員):永井智雄
大学教授:市川男女之助
大上の女中:下村重子
配給:大東映画

1960年制作・日本映画・モノクロ/パートカラー・140分

【ホームページ】
●独立プロ名画保存会:http://meiga-hozonkai.com/
【上映・配給・DVD購入の問合せ】
●独立プロ名画保存会 
TEL:03-5929-7326 
mail:hozonkai4057@gmail.com
〒160-0022 東京都杉並区方南2-4-17 方南町コーポビアネーズ303号
【上映案内】
第33回 憲法を考える映画の会 映画『武器なき斗い』
日時:2017年3月26日(日)13:30〜16:30
会場:千駄ヶ谷区民会館 集会室(渋谷区神宮前1-1-10 原宿駅10分)
参加費:一般1000円 学生600円


 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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