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映画『奇跡の子どもたち』


花崎 哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           

 生まれながらに寝たきりで体を動かすことも、寝返りを打つことも、話すことも出来ない希少難病の二人の子どもを育てた家族の10年間のドキュメンタリーです。
 同じ病気のもうひとりの子どもの家族もあわせて、映画を見てまず感じるのはその家族の明るさ、強さです。

 この映画に登場するのは、日本では三人しかいない希少難病「AADC欠損症」の子ども達です。「AADC欠損症」は、身体の運動を司る神経伝達物質ドーパミンやセレトニンをつくり出すAADC酵素が生まれつき欠損している難病。生後一ヶ月以内に発症し、首が据わらず、寝たきりの生活を送り、症状が進むと嚥下困難や呼吸障害となります。
 山形県に住む兄と妹、松林佳汰さんと亜美さん、東京に住む山田慧さんの患者と家族の取材は、2007年に始まりました。

 映画の前半、彼ら患者の家族のごく普通の日常の姿が描かれます。「大変なことだなあ」と見る者はだれでもそう思いますが、そうした奮闘の様子をあたりまえのようにこなしていく家族、とくに母親の瑠美子さんの明るさ、強さ、それでいながら気持ちの細やかさにひかれます。体を動かせないお兄ちゃんの佳汰さんと亜美さんの間に生まれた長女の沙希さん、これまた幼いながらも車椅子を押し、世話をする姿にはそのけなげさに胸が熱くなります。
 主治医の小児科医加藤光広先生、医療スタッフ、そしてこの子ども達が通う養護学校の職員、それぞれが気負わず、支えていく中で子ども達が成長していくことがわかります。
 「AADC欠損症」は、脳性マヒと診断させられることが多いそうです。しかし脳性マヒとは異なるいくつかの特徴があって「不機嫌になる」ということも、その違いのひとつと言われています。つまり脳の働きそのものは異常がなく、ときにその感情が思うように働かせられないことで不機嫌になったり、発作を起こしてしまうのです。彼らは感情や周りの様子を受け取る能力はちゃんと成長しています。また考えることは進んでいるのに、それを表現したり、体の動きにすることができないその間で苦しんだり、喜んだりをする心の動き(感情)をもっているのです。 
 彼らを取り巻く、彼らを支える人びとがこの「AADC欠損症」の原因はわかっているのだから何とか治療の方法が無いものかと、それこそ世界中に情報を探します。

 映画の後半は、この子ども達の「AADC欠損症」の治療に、遺伝子治療が日本で始めて行われる道が開かれたことを紹介していきます。
 自治医大神経内科の村松慎一教授らの研究班は、2007年パーキンソン病の遺伝子治療のために「ベクター」を開発、患者への投与を行いました。その手術情報を知った台湾の「ADCC欠損症」の家族と医師が来日、台湾での遺伝子治療が始まり十数例の運動機能改善が見られました。そして2015年6月、松林佳汰さんの「遺伝子治療」が行われ、その治療は亜美さんと慧さんと続きました。手術の2ヶ月後、脳内に「AADC酵素」が根付いたことが確認され、徐々に改善効果が表れ始めました。
 遺伝子治療を受けてから2年。3人の患者の状態は大きく改善してきました。首が据わり、自分の意志で物を掴み、歩行器を使って歩き出し、車椅子を自分の手で動かしています。長く液状の栄養や薬を"胃瘻"に流し込んできたものが、少しずつ口から食べることを始めています。

 映画はそうした10年間の闘病と治療の経過を、それぞれの子ども達の「成長」の過程をつねに現在形で捉えていきます。その時その時どのような思いで、子ども達を見て、どのような願いを持ち続けたのか。家族やまわりで彼らを支えた人たちとともに、映画を見る者もその中の一人であるような気持ちで見守って、またこの先のさらなる成長を期待していくことになります。
 今後どこまで改善することが出来るのか?未来は明るく広がっていく気持ちになります。  
 映画の終わりの方で、二人の兄妹の世話をかいがいしく手伝っていた沙希ちゃんの手紙が読み上げられます。彼女自身、こうした情況の中で生きてきたこと、そこから受けたものの大きさを彼女の「成長」として捉えています。そうした10年間を同じように共にしたように感じさせてくれるこの映画は、自分のこととして、これからの生き方についていろいろと考えさせてくれます。個人の生きる権利、それを支えていく社会について考えさせてくれます。

【出演】
松林佳汰 亜美 沙希 勝之 瑠美子
山田慧 直樹 章子
語り:加藤登紀子

【スタッフ】
監督:稲塚秀孝
撮影:篠崎順一 岡崎英治
音声:千葉美貴
選曲:山崎夏穂
効果:佐々木良平
MA:有路賢二郎
題字:西本直代
デザイン:大館岳史  小林弥生(イラスト)
海外撮影:中村英雄
プロデューサー:庄司勉

【推薦】
厚生労働省

【後援】
山形県 栃木県 下野市 東京都
難病の子ども支援全国ネットワーク
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)

【特別協力】
山形崇倫 村松慎一 加藤光広 中島剛 小島華林
自治医科大学付属病院
山形テレビ

助成:文化庁文化芸術振興費補助金

公式ホームページ:http://www.kisekinokodomotachi.com/index.html

上映予定:2018年3月18日(日)13:30? 東京・文京区民センター3A会議室

 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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