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映画『アイ・アム・ロヒンギャ』


花崎 哲さん(憲法を考える映画の会)
                                                           

 宗教、民族の異なるロヒンギャの人たちへの政治的・暴力的圧迫、大量虐殺もあったと言われています。それが100万人を超える難民を生み出しています。
 この映画は、ミャンマーを追われ、カナダに向かったロヒンギャの若者たちが、演劇を通して自分たちが経てきた状況を確認し、あわせてその事実を広く伝え知らせようとしていく過程を記録したものです。演劇の大半は、彼らがその演劇を作り上げていく稽古の場面と彼らが経験したことを語るインタビューによって構成されています。

 ミャンマーから命がけでバングラデシュに避難した14人の若きロヒンギャ難民。その後カナダのオンタリオ州へ定住し、拷問、殺人、レイプ、焼き討ちといった壮絶な経験に苦しみながらも、自身の生活を立て直そうと奮闘する。彼らを突き動かすのは、"忘れてはならない悲劇"を伝えていかなければならないという使命感。演劇を通じてロヒンギャの人々が受けてきた迫害、いま直面する現実を世界の人々に伝えようと、トラウマ、自らのアイデンティティに向き合いながら成長していく姿を描く。

 私的なことですが、私は昨年8月、友人たちとミャンマーに旅行しました。そこで感じたことは、ミャンマーの人たちは仏教徒が多いからということなのか、穏やかの人たちの国だという印象でした。他の東南アジアの国よりも親しみを感じました。
 しかし旅から帰ったちょうどすぐ後くらいから、ミャンマー西部でのロヒンギャに対する圧迫や衝突があったことが日本の新聞でも取り上げられるようになり、私たちがのんきに旅行を楽しんでいた間に、そんなことが起きていたのかと半信半疑のような気持ちになりました。
 しかもこの映画を見ると、彼らロヒンギャの難民がカナダに渡ってからもう何年もたっていることがわかります。つまり昨年夏の衝突以前からロヒンギャ問題はその間ずっと続いていて、それを私たちは何にも知らないままにいたということになります。

 演じる彼らは若者が多く、子どももいます。親や家族が殺された子ども、友人や仲間を残していのちからがら逃げ出してきた若者、誰もがそうした傷を持っていて、ここで、その時のことを思い出しながら、それを演じていきます。思い出したくない、やっとふさがった傷から血が吹き出してくるような思いでしょう。途中で演じることを続けられなくなる人もいて、それをみんなで励まし、話し合い、支えます。それはロヒンギャの悲劇がなお続いている、それを何とかしなければならない、できることなら何でもしたい、という気持ちからでしょう。そうして今もミャンマーで苦しんでいる仲間がいること、また世界中に難民として逃れて故郷に帰りたくても帰れない人たちがいることを知らせなくてはという思いに駆られてのことのだと思います。演劇を作り上げていく中でそうした信念のようなものが若者たちの中に強くなっていくことが分かります。

 映画を見終わってからロヒンギャのことを知りたくて調べました。その政治的、宗教的対立にはそれぞれの言い分があって、また事実のとらえ方にも主張していることの違いがあって、調べるほどに真相はますますわからなくなってしまいました。それでも住んでいた土地にいられなくなった100万人を超えるロヒンギャ難民がバングラデシュでいのちと安全の危機にさらされながら避難生活を送っているのは事実でしょう。
 「難民問題」というものを、その当事者の記憶と気持の中にあるものを通して考えさせられる映画でした。

【スタッフ】
監督 :ユスフ・ズィーネ
2018年製作/カナダ映画/90分
予告編(トレーラー):https://www.youtube.com/watch?v=g7XXolxFKi0

【上映情報】
2018年10月8日(祝)10:30〜12:00 創価大学中央教育棟ディスカバリーホール
2018年10月19日(金)16:40〜19:20 創価大学中央教育棟AB102教室
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000035673.html

この映画はUNHCR難民映画祭の学校パートナーズ、法人パートナーズとなることで上映会を開くことができます。
UNHCR 難民映画祭事務局(国連 UNHCR 協会 法人担当)
Email: houjin@japanforunhcr.org




 
                                                           


<「シネマDE憲法」関連情報>

「憲法を知ることは、リアルと普遍の間を何度でも行き来すること——『映画で学ぶ憲法』」志田陽子さん(武蔵野美術大学造形学部教授)



 

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